自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ARIA The CREPUSCOLO

正直言って、かろうじて上映時間が1時間を超えている作品(キネノートやYahoo!映画によると61分)で、1800円均一の入場料金を取るのはぼったくりに近いと思う。しかも、続編の告知もされていたのだから、尚更、だったら、それと合わせて通常の2時間程度の映画として公開しろよと言いたくなる。まぁ、元々、低賃金のブラック労働だったアニメ業界が、コロナ禍になって、余計、懐事情が厳しくなったのだから、寄付と思って見ればいいのかもしれないが…。

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ただ、こうした上映時間の短いイベント上映作品のアニメって、本当、止め画が多すぎる。映画館でかけるんだから、もう少し動かせよと言いたくなってしまう…。

日本のアニオタというのは、やたらときれいな画であるか否かを評価の基準にしていて、画が動いているか否かで批評している人って少ないんだよね…。

彼等が作画崩壊と言う時は大抵、キャラクターデザインなどが雑になっていたり、背景が手抜きだったりすることを指しているようで、あまり、キャラクターや背景が動いているか否かで見ている人って少ないんだよね。だから、日本のアニオタって、CGを毛嫌いするんだろうね。そのおかげで、セルルックなんていうガラパゴスな技術が発展してしまったけれどね。

 

あと、話もなんていうか、DVDやBlu-rayに収録されているオマケって感じで、正直、劇場で見るレベルには達していなかったと思う。まぁ、癒しは感じるけれどね。この「ARIA」というコンテンツは癒しのアイテムみたいなものなんだろうから、癒し効果さえあればいいのかもしれないが…。

 

ところで話は変わるが、自分は声優アイドルブームが起きた90年代に、“米国のアニメーション映画にはミュージカル作品が多い。一方で日本には歌手活動をしている声優が多いのにミュージカル・アニメがほとんどないのは何故?”と思っていたことがあった。

しかし、2000年代以降になると、この状況は逆転してしまった。米国ではCGによるアニメーション製作が主流になり、ミュージカル調のアニメーション映画は一気に減ってしまった。

それに対して、日本ではキャラソンがヒットチャートの上位にランクインするのが当たり前になったり、アイドルものやバンドもののアニメが続々と作られるようになったりして、アニメにミュージカル要素が増えていった。しかも、歌唱やダンスのシーンでは、アニオタが毛嫌いするCGも積極的に使われるようになっていった。

本作はCGを使って動かしまくるようなタイプの楽曲を扱う作品ではないが、広義の音楽ものアニメであることには違いないとは思う。タイトルも「ARIA」だしね。そして、その歌が本作の癒しの要素の一つになっているのだとは思う。

個人的には今回のエンディング曲「echoes」にはかなり癒されてしまった。というか、東山奈央のバック・コーラスがいいよね。

つまり、いつの間にか日本のアニメは広義のミュージカルものだらけになってしまったってことかな。

おかげで最近は音楽ソフトの支出の半数くらいがアニソン関連になっているからね…。

「アイドリープライド」とか、「D4DJ」とか、「ラブライブ!」関連とか、CD出しすぎなんだよ!

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ラーヤと龍の王国

今回のディズニーの新作映画「ラーヤと龍の王国」は邦画大手3社(東宝東映・松竹)が運営するシネコンなどでは上映されない。

その一方でユナイテッド・シネマイオンシネマといった映画が本業ではない企業の運営によるシネコンや、グランドシネマサンシャインのような独立系のシネコンではこれまで通り上映される。

そして、普段はディズニー映画の新作を上映することなどないミニシアターのシネマカリテやシネクイントでも上映される。

そんな異常事態になっているのは、確実にディズニーの最近の映画館軽視策に対する映画興行界の反発が背景にあるとは思う。

 

まぁ、「ラーヤ」を上映しないくせに「ファンタジア」のリバイバル上映は行う松竹のやっていることは中途半端な気もするけれどね。

圧倒的なシェアを持つ東宝や、アニメや特撮では頑張っている東映に比べると、確実に売れるというものがない松竹としては、本音では「ラーヤ」を上映したかったが、同じ大手の東宝東映と足並みを揃えざるをえないから、変わりに「ファンタジア」のリバイバル上映で何とか本来得られるはずだったディズニー映画上映分の利益を少しでも取り戻したいという思惑が透けて見える気はするかな。

というか、松竹は国産アニメのイベント上映作品で、公開開始と同時に館内ショップでDVDやブルーレイを売っている作品も多いから、あまり、ディズニーのことを言えた立場ではないと思うんだけれどね。まぁ、東宝に同調しないと業界で不利になるから足並みを揃えたんだろうね。

 

Netflix映画が邦画大手3社系のシネコンでは上映されないのも、劇場公開と配信開始が同時となった日本映画「劇場」が日本アカデミー賞の審査対象外なのも同じような理由なんだろうね。

 

とはいえ、邦画大手系の映画館がディズニーの新作をボイコットする気持ちも分かるんだよね。

ディズニーのアニメーション映画の実写版「ムーラン」は何度か公開延期された上に最終的には劇場公開を見送り、Disney+での独占配信となってしまった。しかも、Disney+契約者なら誰でも見られる形ではなく、追加料金が必要なプレミア作品として配信された。

それまで、予告編を流したり、館内でディスプレー展開をしたりして、プロモーションを行ってきた劇場や、そうした予告編やディスプレーを見て劇場での鑑賞を楽しみにしていた映画ファンに対する配慮が欠けていると言われても仕方ないとは思う。だから、日本に限らず、海外でもディズニーに対して怒りの声をあげた人は多かった。

 

でも、映画の製作や配給、興行は慈善事業ではない。だから、コロナ禍という通常のやり方が通用しない世界になったのだから、まずは自社が潰れないことを考えるのは企業としては至極当然のことなので、ディズニーは守銭奴だと批判するのは違うとは思う。

 

とはいえ、日本の映画館や映画ファンからすれば、欧米ほどコロナの感染状況は悪化していないんだから、せめて、数週間の先行上映でもいいから、映画館で流して欲しかったというのが本音ではなかろうか。

 

ここ最近のディズニーの実写化作品(続編的・スピンオフ的な内容のものは除く)は、2015年の「シンデレラ」が57億円、2016年の「ジャングル・ブック」が22億円、2017年の「美女と野獣」が124億円、2019年の「ダンボ」が10億円、「アラジン」が121億円、「ライオン・キング」が66億円などといった具合にヒット作が相次いでいる。

「ムーラン」はアニメーション版の興行成績は日本では、「美女と野獣」、「アラジン」、「ライオン・キング」といった辺りからはだいぶ落ちてしまうが、アニメーション版の日本での知名度が低い「ジャングル・ブック」が好成績をあげる一方で知名度の高い「ダンボ」がかろうじて、10億円台になっていることを考えれば、必ずしもアニメーション版の興行成績と実写版の興行成績はイコールではない。なので、実写版「ムーラン」はどんなに低く見積もっても、実写版「ダンボ」の興収10億円は稼げたはずである。

実写版「ムーラン」の配信開始と同時期に劇場公開された「テネット」が難解な話で、しかも長尺であるにもかかわらず、コロナ禍になって久しぶりに海外とリアルタイムで公開されるハリウッド大作ということで興収27億円の大ヒットとなったことを考えれば、実写版「ムーラン」だって、そのくらいの数字を稼げた可能性はあったと思う。

 

また、ピクサー作品「ソウルフル・ワールド」もコロナの影響で公開日程が変更された上に、「ムーラン」のように追加料金は発生しないものの、最終的にはDisney+での配信という形に変更されてしまった。

米国ではコロナが深刻化する前にギリギリで公開されたものの、日本ではそこまでに公開できなかったために去年の夏公開となった「2分の1の魔法」は興収8億円台とふるわなかったが、コロナ禍になる前でいえば、興収が10億円台に届かなかったピクサー作品は「メリダとおそろしの森」だけ。

「ソウルフル・ワールド」と雰囲気も近く、監督も同じである「インサイド・ヘッド」が興収40億円を記録していることを考慮すれば、コロナ禍なので、そこまでのヒットとはいかなくても、20億円台は期待できたのではないかと思う。コロナ禍公開となり、出来もイマイチな「2分の1の魔法」ですら、8億円台に乗せられたのだから。その分がごっそり消えたのだから、予告編を流したり、ディスプレー展開したりしていた劇場が怒るのは「ムーラン」と同様だと思う。

 

また、これ以外にも日本での大ヒットは期待されていなかったかもしれないが、「アルテミスと妖精の身代金」、「ゴリラのアイヴァン」も劇場公開を見送り、Disney+配信作品にしている。

 

こうした“配信スルー”が続いているので、ディズニーは映画館の存在を軽視していると映画館や映画ファンが思うのは当然のことだと思う。

 

ユニバーサルが米国でやっているような、とりあえず劇場公開して、数週間後に配信するとか、ワーナーが米国でやっているような、劇場公開できない地域のことも考えて、とりあえず、劇場公開と同時に配信を開始するけれど、配信は1ヵ月で一旦停止にするみたいなやり方なら、まだ、コロナ禍だから仕方ないよねって気持ちになれたのかなって気はするかな。

 

そんなこともあって、今回の「ラーヤ」は、“配信スルー”ではなく、米国でも日本でも劇場公開とDisney+の同時配信を行うという米国でのワーナーのやり方に近い形を取ることになった。

とはいえ、同時配信では劇場へ足を運ぶのを見送る人が出てくるのは当然だから、劇場側は全面的には歓迎できないと思う。

というか、これまでの度重なる裏切り行為に対して劇場側としては“許せない”って思いが強いし、特に邦画大手系の劇場からすれば、強敵・ディズニーが去ってくれれば、自社作品のシェアが上がるという思いもあるだろうから、今回は見せしめ的に上映拒否をしたってところなのかな。

 

というわけで、アート系ではないハリウッド・メジャー作品を今年初めて劇場で見ることになったが、ディズニー映画の新作にもかかわらず、劇場はガラガラだった。日本劇場公開のディズニー・アニメーションでここまで、ガラガラだったのって、「トレジャー・プラネット」以来な気がするな。

 

作品自体は、「アナと雪の女王」以降のディズニー作品で顕著になっているポリコレ路線を突き進めたって感じかな。全体としては、悪くはないけれど、物足りないって感じはするし、テンポは悪いかなって気もした。

本作は、ジョン・ラセターが関与していない最初のディズニー・アニメーションということだが、やっぱり、ラセター抜きの影響は出ているのかもしれないな。80年代末から90年代前半にディズニーが復活した際の立役者、ジェフリー・カッツェンバーグが追い出されても、ディズニーは何とか持ち堪えたけれど、今回もそのようにうまくいくのかどうかは、今回の「ラーヤ」を見ただけでは不安要素の方が多いかなという気もする。

 

今回のポリコレ描写に関して一番気になったことは国家間の対立の描き方かな。対立する国々(部族?)が協力できるか、信頼しあえるかという話だったが、舞台がアジアらしいということで、嫌でも“大東亜共和圏”とか、“一帯一路”といった言葉を思い浮かべてしまった。

まぁ、本作の舞台は正確には東南アジアのようなので、日本や中国をメインに語るのは違うかもしれないが、でも、キャラクターの中には東南アジア系とはちょっと違うタイプの者もいたし、悪役とされる国(部族)が歴史を捏造して子どもたちに教えていたりする様子を見れば、嫌でも日韓関係を想起してしまう。そして、この悪役、ちょっと韓国人っぽいルックスなんだよね…。

もしかしたら、“お前らアジア人は基本的には同じ文化なのに隣国同士いがみあってんじゃねぇよ!”みたいなことをこの映画は言いたいのだろうか?

日中、日韓、中韓と対立はあるけれど、よく考えたら基本は日本も中国も韓国も同じような食生活だしね。味付けが違うだけでね。

それ以外にも、中台、中香、南北、印パなどの対立があるが、欧米人から見れば、何、同じような連中同士でいがみあってんだって感じに見えるのかもしれないね。そんなことを言いたくなる映画だった。

 

それから、敵も味方も女性中心になっているってのは、ここ最近の女性活躍推進の流れなんだろうけれど、そうした国や地域ごとの対立をぼやかすためにやっている部分もあるのかなとは思った。

 

そんな作品だけあって、本作は世界的に活躍しているアジア系女性の参加も目立っている。

スター・ウォーズ」のローズ役で世界中のSWファンからバッシングされたケリー・マリー・トランが主人公の声を担当しているのはどうなのかとは思う部分もなきにしもあらずだが、主題歌担当のジェネイ・アイコやドラゴン役で声の出演をしているオークワフィナは納得の人選だと思う。

まぁ、ジェネイ・アイコによる主題歌の歌詞は、映画の内容そのものを歌っていて、いかにも昔ながらのアニメ主題歌って感じだったけれどね。

それから、オークワフィナの演技、声だけ聞いていると、米国の黒人コメディアンかラッパーに聞こえるな…。「ムーラン」のエディ・マーフィ的ポジションなのかな?

 

あと、詐欺師赤ちゃんの可愛さは必見!

 

そして、併映の短編「あの頃をもう一度」は感動的な作品だった。まぁ、台詞はないから、ほとんどMVみたいな感じだし、実際、MVでこういうストーリーのものをよく見かけるから、目新しさはないけれどね。そして、メインの老夫婦をはじめ、モブキャラにも異人種間カップルが多いのが、ちょっと気になった。ポリコレを意識しているんだろうね。

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六畳間のピアノマン

また、南沙良が音楽絡みの作品に出演した。おそらく、2018年の映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で同級生と音楽ユニットを組む女子高生を演じ、その演技が絶賛されたことから、そのイメージが定着したんだと思う。

その後、映画では、2019年一般公開の「無限ファンデーション」では謎の制服姿のミュージシャンと交流する女子高生の役。

ドラマでは、「ココア」でストリート・ミュージシャンと交流する女子高生役。

「これっきりサマー」では夏フェス好きの女子高生役。

うつ病九段」では吹奏楽部に所属する女子高生役。

そして、本作「六畳間のピアノマン」ではアイドル活動をしながらシンガーソングライターを目指す女子高生役。

CMでは、「午後の紅茶」では女子高生バンドを結成しているし、宮沢りえの娘役を演じている「ポッキー」シリーズは事実上、B'zのMVだしね。

ちなみに、上記の作品はいずれも女子高生役だが、それらの作品以外でも、映画「もみの家」やドラマ「ピンぼけの家族」でも女子高生を演じている。

本当、制服姿のイメージが強いんだよね…。

 

そういえば、今回の「六畳間のピアノマン」を見て、“南沙良が歌っている!”と騒ぎそうになったが、よく考えたら、注目されるきっかけとなった映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では歌いまくっていて、サントラにも彼女の歌唱が収録されていたし、「午後の紅茶」もガールズ・バンドのメンバー役だったんだよね。忘れるところだった…。

 

でも、これまでは弾き語り系とかバンドだから、今回のアイドル歌唱は珍しいよね。そして、これまでの作品では見せなかったアイドル風衣装・メイクの南沙良も可愛い!

それにしても、シンガーソングライターになりたいのに嫌々アイドルをやっているギター女子設定なのに、“ピアノガール”のハンドルネームで投稿しているのは意味不明だなと思ったら、ラストのイベントシーンでは女子高生バンドのボーカル兼キーボード担当=本当に“ピアノガール”になっていた。めちゃくちゃだな!南沙良が可愛いから許すが本当酷い。

 

ところで、本作では出演者による歌唱バージョンのみならず、ビリー・ジョエルのオリジナル・バージョンでも、名曲「ピアノ・マン」が使われているが、楽曲の邦題は中黒付きなのに、ドラマのタイトルは中黒なしなのは何故?オリジナル・バージョンでも楽曲を使用しているということは権利的にクリアになっているはずなのに。まぁ、原作の表記に中黒がないからだとは思うが…。NHKニュースの外来語表記で基本、人名以外では中黒を使わないという決まり事は多分、関係ないと思う。

 

それにしても、全4話で毎回主人公が変わる構成の連ドラというのは日本の地上波ではNHKでしかできない芸当だよね。キー局のドラマは1クール9〜10話程度(ひと昔前は11〜12話だったが、最近は期首や期末の特番が増えたし、さらに、ここ1年はコロナの影響もあるからエピソード数は減った)にこだわっているが、スポンサーを獲得する必要のないNHKは3ヵ月間、同じコンテンツを放送することにこだわる必要もないしね。

 

それから、主人公が毎回変わるというのも、スポンサー獲得の必要がないNHKだからできることだしね。キー局だと、配信サービス向けに作った深夜ドラマではそういう作りのものもあるけれど、ゴールデンの連ドラではできないしね。

 

本ドラマは「六畳間のピアノマン」という動画を配信していた営業マンがパワハラによる過労で事故死してしまったことに関係する人間たちに毎回スポットを当てていくという構成になっている。

1話ではその営業マンの同僚、2話では父親、3話ではパワハラしていた上司といった具合に直接関係していた人間が主人公になっているが、4話の南沙良演じる女子高生アイドルは1話の主人公の元同僚とは別の元同僚とは多少の接点はあるけれど、基本は、動画を見ていただけの人だからね…。まぁ、南沙良が可愛いからいいんだけれどね。

 

彼女がメインの4話だけ別のストーリーって感じがするんだよね。一応、3話までの登場人物も出てくるし、特に1話の主人公とは別の元同僚の大道芸人南沙良と絡むシーンも多いけれど、ぶっちゃけ、3話までを見ていなくても通じる展開だしね。3話までは、全話見ていないと話が通じないが、4話だけは別物って感じだな。まぁ、南沙良くらい魅力的な女優ならワン・オブ・ゼムにはできないよね。それにしても、アイドル姿も制服姿も普段着姿も可愛いな!なので、作品としては微妙かもしれないが、4話は南沙良ファンなら大満足できるとは思う。

 

4話だけ浮いていること以外の問題点としては、パワハラに関する描写でも納得いかない点が多かったことがあげられるかな…。

 

1話では元同僚が別の会社で派遣社員として勤務し、その合間に社会保険労務士の資格を取り、その派遣先のパワハラ上司を懲らしめるという内容になっていた。おそらく、多くの人は「水戸黄門」的(最近では「半沢直樹」的って言った方がいいのかな?)結末でストレス解消できたのかもしれないが、実際の社労士って、全員がそうとは言わないけれど、多くの連中が企業寄りだからね。

そりゃそうだよね。自分に金を払ってくれるのは労働者ではなく企業だからね。企業に都合のいいアドバイスをするようになるに決まっているんだよ。最初は正義感に燃えていたような連中でも、精神論・根性論から来るパワハラを続ける上司側に洗脳されてしまって、結局、パワハラ野郎と同じ思考になっているんだよね。

 

自分の高校時代の同級生だった奴にも社労士になった奴がいた。一時期は、“コイツは生涯の親友だ”と思っていたが、社労士としてのキャリアを重ねれば重ねるほど、老害思想が悪化していくし、どんどん、ネトウヨっぽいことを言い出すようになったんだよね。いったん、仲違いした時にはあっちが折れてきたけれど、それから半年もしないうちに彼とは完全に縁を切ることになってしまった。

39度くらいの熱がある時に(コロナ前の話です)、SNSで“久々の発熱でつらい…”みたいなことをつぶやいたら、“自分は体を鍛えているから大丈夫です”とかリプしてきたからね。

もう腹立って仕方なかった。社労士には、そういう精神論・根性論的思想が蔓延しているんだと思う。だから、病気になるのは根性が足りないって思うんだろうね。なので、本作の社労士描写はウソくさいものにしか見えなかった。

 

それから、3話では、パワハラによる過労で部下を事故死させたクソ上司にも“いい人”になるチャンスを与えようという話が描かれていたが、これも綺麗事すぎる、偽善すぎると思った。この作品の原作者や脚本家は、本当のパワハラを知らないから、そんな綺麗事が言えるんだと思う。パワハラを受けた人間からすれば、パワハラ上司に願うことは改心してもらうことではなく死んでもらうことだよ。

 

そういう視点で考えれば、一番納得できたのは息子を死なせたパワハラ上司を殺そうと思ったけれど、できなかった父親を主人公にした2話かな。リアリティがあって感動的だったと思う。この回が全4話の中ではベストのエピソードだと思う。この回は2回見てしまったしね。というか、自宅の風呂がわく時のあの曲に泣かされてしまうなんていうドラマ(映画やアニメも含む)なんて初めてだよ!

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ナタ転生

月に最低でも1回以上映画館に行ったにもかかわらず、その鑑賞作品に洋画(アジア作品を洋画と呼ぶのはいまだに違和感があるから外国映画と呼んだ方がいいかな?)が1本も含まれていなかったのって、いつ以来だろうか?

去年の緊急事態宣言の時は5月に映画館に全く行かないことはあったけれど、緊急事態宣言明けの6月は新作の公開を見送る邦画が多かったせいで洋画しか見なかったし…。

 

社会人になって以降、去年を除くと、映画館で映画を1本も見なかった月があったのは1995年だけだが、この年は逆に映画館で邦画を1本も見ていないしね…。

となると、高校生の時以来なのかな?でも、高校生の時は普段つるんでいるグループに映画好きがいなかったから、あまり映画館に行かなかったんだよな…。

結局、この時つるんでいた連中との縁は切れてしまった。体力作り以外の趣味のない連中って、大人になると話が合わなくなるんだよな…。だったら、この時、映画に興味を持っている別のグループとつるんでいれば良かったって思ったりもするが、当時、スクールカーストでいうところの下層もしくは、そのカーストにすら入れてもらえない存在だった自分は、そういうグループに入る余地もなかったんだけれどね…。そんなわけで、月に映画館に1回も行かないこともあったので記憶はあまり定かではない。

 

ただ、月に複数回、映画館に行ったにもかかわらず、その鑑賞作品の中に外国映画が1本も含まれていないって言い方なら、確実に小学生の高学年の時以来って言えるかな。

この頃は、映画館で見る外国映画というのは、「スター・ウォーズ」シリーズとカンフー映画(広義で香港映画)くらいで、それ以外だと「E.T.」とかがあるくらいだったからね。

 

そんな、いつ以来だろうと思うような珍事が今月は起こりそうな状態だったが、何とか2月最後の日に外国映画を映画館で見ることができた。まぁ、アニメだし、しかも、中国作品だけれどね。

 

それくらい、外国映画の供給がコロナの影響で減っているってことなんだよね。正確に言えば、供給はされているけれど、ほとんどが小規模公開やミニシアター公開で、1日フルに上映されている作品は少ない。シネコンなんかは、ほぼ邦画に独占されている。そりゃそうだよね。ハリウッドのメジャー・スタジオの新作がほとんど供給されていないんだからね。

ディズニーは次から次へと話題作を配信オンリーにしているし、ワーナーは米国では劇場公開と同時に配信開始となっているし、ユニバーサルは劇場公開数週間後に配信開始となっている。また、劇場公開が延期されたままの作品も多い。

既に米国で劇場公開された作品でも、従来のワイドショーやスポーツ紙稼働のプロモーションが難しいから、日本では劇場公開が決まらないものも多い。中には「X-MEN」という日本でも知名度のあるシリーズのスピンオフにもかかわらず、日本では劇場公開を見送られた「ニュー・ミュータント」なんていう作品もある。そういう状況だから、外国映画を映画館で見る機会は圧倒的に減ってしまった。

 

なので、観客動員数ランキングでは現時点で4週連続でトップ10内に外国映画が1本もないという異例事態となっている。

ここでいう外国映画というのはハリウッドの実写映画だけではない。ハリウッドの実写映画がランキングのトップ10内にランクインしていないような状況だったら、邦高洋低の興行になって久しいので、これまでにも何度かあった。

しかし、この4週間は、ハリウッドの実写映画のみならず、アニメーション映画も、ヨーロッパや(日本を除く)アジアの作品も、米国製アート系作品も入っていない。吹替版のみで公開の作品や、日本と海外の合作作品すら入っていない。

こんな状況って、外国映画がほとんど上映されなかった戦中以来の異常事態なのではないかという気もする。まぁ、その頃にランキングが発表されていたかどうかは知らないが…。

 

コロナ前から日本人、特に若者がK-POPや海外ドラマを除く海外エンタメに興味を持たなくなってしまっているってのはあるが、それが、コロナによって一気に拡大したって感じなのかな?

 

CDなどフィジカルの売り上げ以外の要素も集計しているBillboard JAPANの年間チャートで100位内に入った洋楽って、K-POPを除いたら、シングルでは3作、アルバムでは2作しかないからね。つまり、洋楽のシェアは数パーセントしかない…。しかも、洋楽アルバムのうち1作品は「アナ雪2」のサントラ盤だからね。日本盤のサントラには吹替版キャストによる日本語バージョンも収録されているからね。つまり、完全な洋楽として去年ヒットしたアルバムは実質ビリー・アイリッシュグラミー賞受賞作だけなんだよね…。

 

そんな海外文化摂取が難しいご時世の中、公開されたのが中国製アニメーション映画の「ナタ転生」だった。

おととしの字幕版の限定公開で密かなブームとなり、去年、吹替版が公開されると、中国映画、しかも、アニメ映画としては異例の観客動員数ランキングでトップ5入りを果たした「羅小黒戦記」のヒットのおかげで他の中国アニメも公開されるようになったということだろう。

それから、「ナタ」というキャラクターは、「羅小黒」にも出ていたので、「羅小黒」の次に見る中国アニメとしてプッシュしやすいというのもあったのかもしれない。「羅小黒」では、男の娘みたいな雰囲気で出てきたが、今回は、本来の神話に出てくる「ナタ」に近いイメージって感じなのかな?それでも、お団子ヘアには変わりなかったけれど。

 

ただ、公開劇場がTOHOシネマズの池袋と上野のみというのは、日本の観客には受けないかもという不安もあったんだろうね。いまだに、CGアニメを毛嫌いする連中が多いからね。特に中高年に。「羅小黒」は手描きアニメで日本のアニメっぽい雰囲気がしたからすんなり受け入れられたけれど、「ナタ」はCGアニメーションで、ハリウッドのアニメーション映画に近い作画なので日本の中高年にはアレルギー反応を起こす者も多いかもしれない。だから、中国人が多い池袋と上野。オタク街にあるTOHOシネマズ池袋とオタク街の秋葉原に近いTOHOシネマズ上野のみの上映で様子見しようって感じなのかな?

 

実際に見た感想としては、CG作画はハリウッド製に比べると若干ぎこちない感じはするけれど、見ているうちにすぐに慣れてしまったし、ベースとなっている話はアジア人なら何となく知っている内容だし、アジアに共通するモノの考え方とかも描かれているから、結構、楽しむことはできた。ちょっと、くどいかなとは思ったけれどね。中国の料理のおもてなし方みたいな感じかな。

 

全体としての感覚としては、日本のアニメと香港のカンフー映画・アクション映画、ハリウッドのSF・ファンタジーといったあたりが一体化したみたいな感じかな。既視感は多いかもしれないけれどね。

 

思想的な面でいうと、いくら謝罪しても許さないキャラクターというのは中国や韓国から執拗に謝罪を求められ続けている日本みたいだなとは思った。今では世界的には日本を上回る存在の国になったんだから、そんなことする必要ないのにね。まぁ、日本を反面教師と見ていれば、いつ自分も落ちぶれるか分からないから不安なんだろうね。

 

それから、ヒロインの扱いも若干気になった。当初、ヒロインと思われたキャラが闘いに巻き込まれて障害者になってしまい、主人公が憧れていた女性が途中からヒロインのようになってしまう。そして、終盤では三角関係のようになっているってのは、どうなのよって気もした…。

 

でも、全体的には面白かったとは思う。ただ、エンド・クレジットの途中で本作と同じ日本の配給会社が担当する作品(中国アニメ映画「白蛇:縁起」)の予告編が挟まるのはふざけんなと思った。

ディズニー映画「ヘラクレス」が、本編とエンド・クレジットの間に藤井フミヤによる日本語版主題歌のMVを挿入される形で公開されたり、ラトビア製のアニメーション映画「Away」が台詞がない静寂の世界を描写している作品内容に合った短いエンド・クレジットが本来の形なのに、その後に、ノリノリの邦楽ナンバーをかける日本独自のエンド・クレジットが付けられたりしたことと並ぶ、ふざけんな事案だったと思う。

 

ところで、「Away」もそうだし、日本語吹替版スタッフ・キャストの詳細を紹介するエンド・クレジットが追加された「羅小黒」の吹替版もそうだし、本作もそうだけれど、エンド・クレジットに日本独自のものが追加されると、邦画と同じように最後に映倫マークが出て来るんだね…。どうでもいい話だけれど…。

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Tokyo 7th シスターズ-僕らは青空になる-

本作を見て、正直なところアイドルアニメって飽和状態なんだなというのを実感した。ファンにとっては待望のアニメ化なのだろうが、映画館はかなり空いていた。上映館が都内でたったの2館しかないのにもかかわらず空いていたんだからね…。

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結局、「アイドルマスター」、「ラブライブ!」、「アイカツ!」といった“老舗”のシリーズには勝てないんだろうね…。

現在放送中のテレビアニメ「アイドリープライド」なんて結構面白いのに、主題歌シングルはオリコン最高位32位で終わってしまっている。

スフィアのメンバーが劇中に登場するグループ名義で出した楽曲はオリコン週間チャート初登場30位。同様にTrySailのメンバーが劇中に登場するグループ名義で出した楽曲はオリコンのデイリーチャート初登場27位。スフィアやTrySailを動員してもこんなもんだからね。

しかも、キャストには神田沙也加も参加しているし、演じている役が元アイドルの幽霊っていうとんでもない設定なのに、ほとんど話題になっていないしね…。

 

アイドルアニメの派生ともいえるガールズ・バンドものは、「けいおん!」以降も「BanG Dream!」とか人気コンテンツは出ているし、演劇モノの「レヴュースタァライト」とか、DJモノの「D4DJ」とかは何とか頑張っているとは思うけれど、アイドルアニメは老舗御三家の新展開を追うので精一杯って感じになっているのかな?

それにしても、「ラブライブ!」は遂に新シリーズはNHK作品になってしまった…。これまで、「進撃の巨人」など多くの民放コンテンツがNHK作品にされてしまっているけれど、遂に「ラブライブ!」も再放送ではなく新作がNHK作品になってしまうとはね…。このままだと、「鬼滅の刃」2期もNHKが持っていきそうだな…。

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ということで、本作を見て、アイドルアニメの新規参入の限界を感じてしまった。まぁ、「ナナシス」というコンテンツ自体はパッと出ではないけれど、アニメとしては新参者ということで…。

 

そして、本作自体の出来も微妙だった。「ナナシス」を長年追ってきた人にとっては感慨深いものかもしれないが、映画としては不出来もいいところだと思う。

 

まず、本編前の“舞台挨拶”と称した特典映像がいらないな。ほとんど止め画だし。

それから、この特典映像の中で観客にスクリーンの撮影を許可する“フォトセッション”タイムなんてものがもうけられているが、これもいらない。まぁ、このサービスは本作以外にもやっているけれどね。

テレビ番組やネット配信なら、ながら見も多いから、そういうスマホ連動的イベントも分からないでもないが、映画館に来ている人間にスクリーンから目を離させる行為をさせるというのは理解できないな。

映画を作っている人間としてのプライドがあったらできないと思うんだけれどね。結局、その撮影画像をSNSやブログで拡散してもらわなければならないほど出来に自信がないってことでしょ。

 

そして、本編だが、いきなり延々とメンバーや世界観の説明台詞が不自然なくらい続いてしまい、見るのをやめたい気分になってしまった。テレビアニメの第1話なら分かるけれど、劇場公開作品でこれをやるのは無能としか言えない。

それから、アイドルアニメなのに、パフォーマンス・シーンが少ない。予算の都合もあるのかもしれないし、作品タイトルにちなんで上映時間を77分にしたかったので削られてしまったのかもしれないが、物足りないとしか言えない。

あと、2034年の世界を舞台にしているというが、モニターディスプレーが映画やアニメでよく登場するテンプレ的な未来風のものになっている以外は全然、現在と同じ風景描写だし、女性観なんかも古い日本の考え方のまま。胸や股間を強調して映す萌え描写も相変わらず。全然、未来という感じがしなかった。

というか、もう、コロナ前と同じようなアイドルのライブのやり方って、コロナが完全に終息(最低でも収束)しない限り無理だと思うんだよね…。

 

それはさておき、水瀬いのりが元アイドルのマネージャー役。つまり、ベテラン扱いになる時代になったことには衝撃を受けた。

アニソン・カウントダウンの老舗「こむちゃっとカウントダウン」で男性声優の楽曲が上位を占めるようになって久しく、最近はそれにプラスして、ジャニオタの組織票も入るようになったから、水樹奈々田村ゆかりのようなレジェンド級を除くと、女性声優が上位にランクインするのは難しい状況となっている。

なのに、何故かアイドル声優的人気を誇る女性声優の中で水瀬いのりだけはシングルを出すたびに首位争いを繰り広げているのが不思議で仕方なかったが、今回の「ナナシス」における立ち位置でベテラン扱いされていることが分かり、「こむちゃ」における好成績の理由が何となく分かった。

でも、声優アーティスト活動をはじめて5年ちょっとでベテラン扱いって、女性声優のサイクルはやすぎでは?まぁ、声優として登録されている人の数が過去最大と言われているから、アイドル声優でいられる期間も短いってことなんだろうね。

それで、ベテラン扱いされる人は声優人生を長生きできるが、そうでない人は“あの人は今?”状態になってしまうってことかな?

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半径1メートルの君~上を向いて歩こう~

面白いか否かと聞かれたら面白いと答えるけれど、映画としての出来ということでいえば評価はできないかなとは思う。8エピソードとも面白かったとは思うし、芸人勢の演技も良かったけれどね。

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一応、全8エピソードには

①タイトル通り半径1メートルほどの距離感で2人の登場人物の心情の変化を描く 

②他の登場人物がちらっと出てくるエピソードもあるが、基本はメインの2人で話が進み、その2人のうちの1人を芸人が、もう1人を俳優が演じる

③サブタイトルにあるように上を向いて歩きたくなるような希望が持てる終わり方になっていて、嫌なヤツ・気持ち悪いヤツに思えるキャラクターもラストでは実はそうではないと思えるようになっている

④ワンシチュエーション(ワンロケーション)で撮影されている

⑤感動路線かギャグ路線かは作品によって異なるもののコントのようなオチがある

⑥尺は十数分程度

といった共通点はある。

 

しかし、全エピソードを通じて1年間の話を描くとか、あるエピソードのメインキャラが別のエピソードに脇役で登場するようなクロスオーバー構成にするとか、それぞれのエピソードをつなぐ狂言回しが出てきたり、各エピソードの登場人物が勢揃いするプロローグやエピローグをもうけるといったオムニバス映画でよく使われる演出もされていない。なので、映画を見たというカタルシスのようなものを得ることはできない。

 

この作品は劇場公開ではなく、深夜ドラマ(15分枠)もしくは配信ドラマとして世に出した方が評価されたのではないかなとは思う。ワンシチュエーション(ワンロケーション)のいかにも低予算の画は映画館向きではないからね。

 

本作をTOHOシネマズ日比谷で見たが、TCX対応のスクリーンで上映されていたことには驚いた。まぁ、さすがにTCX上映はされていなかったが…。それだけ、コロナの影響で大スクリーン向けの作品が不足しているってことなのかな。まぁ、本作はミニシアター公開ならありかなとは思うけれどね。

 

ちなみに、自分が本作を見ようと思ったきっかけは白石聖が出ているから。でも、個人的には本作のようなショートカットよりかはロングの方の白石聖が好きだな。どうでもいいことだけれどね。

そして、本作や昨年のドラマ「時をかけるバンド」では成人女子イメージなのに、4月放送予定の深夜ドラマ「ガールガンレディ」や6月公開予定の映画「胸が鳴るのは君のせい」では女子生徒役と若返っているのは謎だ…。何か、大人イメージがあるから、コスプレにしか見えないんだけれどな…。まぁ、売り出したいから、そういう役が回ってきているんだろうけれど、無理がある気がするな…。

そもそも、彼女が注目されるきっかけとなったNHKのよるドラ「だから私は推しました」のアイドル役の時点で19歳の役だったんだから、それから約2年経って、演じる役が若返るってのは無理があるよね。しかも、ショートにしたら余計、年上っぽく見えるようになったしね。

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テート美術館所蔵 コンスタブル展

去年は一度も美術館・博物館に行くことがなかった。というか、美術館・博物館以外で開催されたものも含めて展覧会・展示会に行くことができなかった。

理由は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で、美術館・博物館の営業が休止された期間があったうえに、緊急事態宣言が明けた後も多くの展覧会・展示会で、事前予約制を取るようになったからだ。

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基本的に自分が美術館などに行きたくなるのは、映画を見るほどの時間はないが、ちょっと時間に余裕ができたという時だ。

映画なら上映開始時間も、上映時間も決まっているから、2時間分なり、3時間分なりの時間を割かなくてはならない。でも、展覧会なら自分のペースで鑑賞することができるから、1時間くらいのちょっとした空き時間でも楽しむことができる。

でも、こうしたちょっとした空き時間というのは、その時の仕事終わりの時間帯とかでコロコロ変わってしまう。日時指定されたのでは映画館へ行くのと同じだから、全然、ふらっと空き時間に見に行くという感じではなくなってしまう。だから、足が遠のいてしまっていた。

 

しかし、最近は日時予約制を取っていないものや、予約制は取っていても当日券も購入できるものが増えてきたということで、実に1年2ヵ月ぶりに美術展に足を運ぶことになった。会場は1年2ヵ月前と同じ三菱一号館美術館だ。

 

それにしても、コロナ禍になる前からその傾向はあったが、最近、美術展の入場料が高くなったよね…。

狭い三菱一号館美術館で何故、1900円も取られなくてはいけないのだろうか…。TOHOシネマズなど一部映画館の一般の入場料と同じだからね。邦画大手が都内で運営するシネコンでもMOVIX亀有なんかは1800円だから、それを考えると割高感が強いよね。

国立西洋美術館みたいに膨大な量の常設展も鑑賞できるならそのくらいの金を払ってもいいけれど、60点くらいしか展示されない三菱一号館美術館で1900円というのは納得いかないな…。

まぁ、人件費も給料も物価も上がっている海外から作品を借りてくるわけだから、その経費が入場料に上乗せされるのは当然だし、コロナ禍で美術館・博物館の運営も厳しくなっているから仕方ない面もあるとは思うけれどね。

 

そんな不満を抱いたりもしたけれど、今回の「コンスタブル展」で見ることができた作品に関してはそんなに文句はありません。風景画が大好きなので。風景画を見ると落ち着くしね。

 

とりあえず、チケット売場は列ができていたけれど、場内はガラガラだった。後日の鑑賞チケットとかパスの購入者が多かったのだろうか?

三菱一号館美術館は細かい部屋ごとにわかれた展示の仕方をしているけれど、途中から部屋に自分以外いない時間の方が多かったしね。

まぁ、三菱一号館美術館って、国立新美術館とか森アーツセンターギャラリーみたいな熱心な美術ファンでない層に媚びを売った美術館とは違うから、元々、そんなに混んだりはしないけれどね。

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