自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

空の青さを知る人よ

今年、あいみょんが主題歌を担当するアニメ映画を見たのは、これが3本目だが、どれも良い作品だと思った。

f:id:takaoharada:20191022184243j:plain

中途半端なクリエイティブ職をやっている人間(表に出るような名前が知られた存在ではないが、音楽とか映像、マスコミ、アート、デザインなどの業界にいる人)なら泣かずにはいられないなと思った。

もし、カタギな生活をしていて、さやかな幸せ、たとえば、毎週日曜日に家族と公園で遊んだり、買い物に行ったりするのが普通な生活だったら…。なんてことをよく想像するもんな…。

もちろん、クリエイティブ職をすることによって、カタギの人間には経験できないようなことも色々味わうこともできたが、ささやかな幸せを犠牲にするほどの成功は手にしていない。本当にそれで良かったのか?ってふと思うことはある。そういう、自分のような中途半端なクリエイティブ職に就いている人間にとっては非常に共感できる作品だった。

それから、男でも女でもいいが、長子(きょうだいの中で一番目の子ども)なら、やはり泣かずにはいられないよなとも思う。長子は色んなことを犠牲にしなくてはいけないからね。これも、自分と重なり泣ける要因だった。

ストーリー展開や出番の多さからいえば、明らかに主役は女子高生のあおいなのだが、クレジット上では3番目で、中途半端なプロ・ミュージシャンになった男が1番目、亡くなった両親のかわりに妹・あおいの面倒を見る姉が2番目となっているのは、やっぱり、この作品が、そういう人生を犠牲にしてきた人への、人生再出発応援的な意味合いを込めているからなんだろうなと思う。この映画の泣けるポイントってのは、1番目と2番目のクレジットのキャラの13年間の生き方にあるからな…。まぁ、単に演者の格でそうなっているだけなのかもしれないが…。

そして、本作でやたらとプッシュされている「ガンダーラ」で思い出した。学級会でみんなで歌う曲がこれになり、それを伝えてきた同級生にムカついて、小突いたことあったな…。その原因は父親にあるんだけれどね…。それだけ、「ガンダーラ」が主題歌になっていた「西遊記」が流行っていたってことなんだが、チャンネル権を持っている父親はスポーツ中継かスポーツコーナーのあるニュース番組ばかり見ていて、そのどちらもない時は、テレビの洋画劇場か海外ドラマを見るくらいって感じで、子どもの好きな番組はほとんど見せてくれなかったんだよね。おかげで、同級生と話が合わないことも多かった。そういう父親に対する怒りと、流行っているものは全員共有していて当たり前という考えの同級生たち。その両方に対する怒りが込み上げて小突いてしまったんだよな…。

それにしても、超平和バスターズ作品もついに東宝配給になってしまったか…。しかも、東宝配給になったことで、メインキャラの声優も本職でない人になってしまった…。まぁ、自分は本職でない人が声優をやることを何でもかんでも批判するような輩ではないが、こういうのを見ると、アニメ映画のキャスティングって、大手映画会社の意向なんだなというのがよく分かるな…。

東宝って、他社で話題になった人をかっさらってくるのが好きだよね。細田も新海もそうだし、ジブリ作品だって、最初のジブリ作品「ラピュタ」や、その前作でジブリ設立のきっかけになった「ナウシカ」だって東映配給だったのに、「トトロ」と「火垂る」の2本立てでかっさらったからな。それで、それがコケたから、次の「魔女宅」はまた、東映に戻ったんだよな。でも、それが大ヒットになったから、また、次の作品では東宝がかっさらっていったし…。

逆に東宝で失敗作が続くと、東宝常連だった人がはずされるというパターンもあるが…。実写だと、矢口とか周防がそうだよな…。

 

ところで、「あの花」のぽっぽにしか見えないキャラが出てくるよな…。性格もみちんこというあだ名も似ているし…。

f:id:takaoharada:20191022184630j:plain