自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ルパン三世 THE FIRST

誰もが言うように「ルパン三世 THE FIRST」ってタイトルおかしいよな…。まぁ、ファイナルなのにシリーズ化している「ファイナルファンタジー」みたいなものか?

予告を見た時は本当、日本のCGアニメって世界から半世紀以上遅れているなと思った。CGアレルギーのアニメ好きが多いから、彼らにこびてセルルックなんていうガラパゴス化した変な技術ばかり発達し、本来のCGアニメとしての技術はゲームレベル、しかもだいぶ昔のゲームレベルで止まっている日本は本当ダサいな。何がクール・ジャパンだと思っていた。(ゲームを見下しているわけではないのであしからず)でも、本編を見たら、そうでもなかった。予告より本編の方がいいってレアなケースだな。つまり、予告の映像は不完全だったってことかな?

ところで、時代設定は現代じゃないのか…。でも、メインキャラ5人の関係は、誰もが知っているものになっているし、パラレル・ワールドか?それはいいとしても、第二次世界大戦から十数年後って設定なのに、ルパンが銭形に言う「昭和一桁」って台詞は確実におかしいよね。

声優陣の演技に関しては、まぁ、レギュラー陣に関しては次元の衰え以外は何の問題もない。というか、いまだにクリカンを認めない奴って老害もいいところだろ。ルパン歴は先代と同じくらいの年数になったわけだし。まぁ、トータルの演技時間は先代の第2シリーズが150話以上もあるから、さすがに追いついてはいないけれどさ。それはさておき、ゲスト陣だが、広瀬すずは決してうまくはないが悪くはないって感じかな。可愛いし。あえて言えば、実写キラキラ映画におけるアイドルメンバーの演技みたいな感じかな。吉田鋼太郎は良かった。BLおっさんでチャーミングなイメージになってしまったが、よく考えたらおっさんで大ブレイクする前はパワハラオヤジ役とかやっていたんだし、こういう小役人系パワハラオヤジ役はうまいよな。というか、ここ最近の何を演じても吉田鋼太郎というのよりかは、この作品の声優演技の方がうまい!

内容に関しては突っ込みどころも多いし、相変わらずカリ城もどきの作品になっているが、まぁ、この前のTVスペシャルよりはよくできているんじゃないかなって感じかな。ナチスものだし、アドルフ・ヒトラーに対する扱いとか、「イングロリアス・バスターズ」を思い浮かべる要素もあるし、ぶっちゃけ、これが米国公開が展開されるような映画だったら、「天気の子」よりも賞レースに参戦できたのにとは思った。

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ちなみに、先日のTVスペシャル「プリズン・オブ・ザ・パスト」の私見は以下の通り。

内容は、カリ城のコピペみたいなよくあるルパンSPだからどうでもいいのだが、何よりも酷かったのはエンドロールがなかったことだ。オープニングに主要スタッフ、キャストのクレジットは出てはいたけれどさ、それだけじゃ名前を出してもらえないアニメーターとかたくさんいるでしょ。
いつの間にか、洋画のみならず、邦画でも映画を地上波で放送する際はエンドロールをカットするのが当たり前になったけれどさ。昔は邦画では流れていたのは、邦画大手にテレビ局がさからえなかったからなんだろうな。今はテレビ局幹事映画が増えたから立場が逆になったってことかな。
確かに、マニア以外には誰だか知らない人間がズラズラ流れてくるエンドロールは見ない人も多い。それによって他局にチャンネルを変えられたくないからカットするという発想は理解できなくはない。でも、それって、作品やスタッフ、キャストに対するリスペクトがないよね。しかも、今回は映画のテレビ放送では初放送の新作なのに。
米国のテレビ業界はどれだけ、視聴者数を獲得できたかに血眼になり、打ち切りになるドラマとかが多いにもかかわらず、きちんとエンドロールが流れるし、アカデミー賞とかグラミー賞の中継番組なんてかなりの長さだもんな。つまり、それだけ、米国のテレビ業界は作品やスタッフ、キャストをリスペクトしているってことだよな。
日本のテレビ業界は、単なる素材としか思っていないから、こういう放送になるんだよな。