自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか

誰もが指摘していることだが、本当、「妖怪ウォッチ」というコンテンツは迷走している。特に劇場版は酷すぎる…。毎回、違うフォーマットだもんな…。

1作目は記録的大ヒットとなり、2作目や3作目は興収ではなく観客動員数で発表する(=子どもやシニア動員の強い作品=邦画が優位になりやすい)日本の映画ランキングでは同時期公開の「スター・ウォーズ」に勝ってしまった(最終的な興収は1作目を下回ったし、「スター・ウォーズ」にも差をつけられて負けてしまったが)ほどの勢いがある作品で、「ポケモン」を上回る存在になるとまで言われていたのに、このありさまだからな…。

 

ちなみに、劇場版の変遷はこんな感じ。

①『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(2014年)

傑作とは言えないが、まぁ、よくあるテレビアニメの劇場版って感じ。

この調子で普通は続くと思うが…。

②『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』(2015年)

いきなり、2作目でオムニバス映画になってしまうんだからな…。

つまり、もうネタ切れな雰囲気…。

③『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』(2016年)

それで、3作目では実写とアニメのミックス作品と完全にネタ切れが露呈…。

④『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』(2017年)

4作目になると、それまでの主人公ではないキャラを主人公にし、しかも、シリアス調にするという感じでさらに迷走…。

⑤『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年)

さらに、5作目は1~3作目の主人公とも、4作目の主人公とも違う主人公の話で、しかも、昔の時代を舞台にしたノスタルジー感動路線。は?って感じだよな。出来の良し悪しに関係なく…。

そして、6作目となる2019年の新作は、1~3作目のキャラクターを彷彿させる登場人物が出てくるものの、一応、別キャラと思われるキャラの話。つまり、また、これまでの作品とは異なる主人公の話になってしまった…。いい加減にしろって感じ…。

しかも、テレビシリーズもこの設定をもとにしたストーリーにリニューアルされるらしいので、この劇場版はいわゆる、テレビシリーズの「エピソード0」とか「パイロット版」みたいな作りになっている。だから、不自然なキャラ紹介や設定紹介のシーンが多いし、後にテレビ版で取り上げるからなのだろうが、「七不思議」と言っておきながら、作中では1つしか怪現象が出てこない。酷すぎる!

さらに酷いのが、主人公が成長したと思いきや、成長していないというクソみたいなオチ。本当、腹が立つ。

クソといえば、ウンコとか肛門とか、ションベンとか、タマタマとかレベルの低いギャグばかり。まぁ、この辺はいつの時代も幼稚園児や小学生が好きなものだからいいとしても、40代・50代に向けたギャグは滑りまくりだと思う。「妖怪ウォッチ」初期の頃は、そういう親世代にアピールするネタのセンスが良いのも評価の対象だったのに、今では、そのセンスも悪化している。それから、ピンク・レディーの主題歌も酷い。かつてのスーパー・アイドルの劣化を見せつけられている感じだ。

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