自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ジョジョ・ラビット

この映画を見ると、ネトウヨって、ナチスの劣化版だなというのをつくづくと実感する。見た目はドイツ人と見分けがつきにくいユダヤ人に対する差別って、まさに、日本における在日への扱いと同じだしね。

それから、戦況が芳しくないのをごまかすのをやっていたり、子どもを戦争に駆り出したり、日本でいうところの鬼畜米英みたいな考えも持っていたりといった具合に、ドイツも日本と同じことをしていたんだなというのもよく分かる。

戦後対応では全然違うとか、働き方改革のレベルが違うとか、最近は日独の違いを強調する意見の方が目立つが、やっぱり、似ているんだな…。

 

そして、アカデミー助演女優賞にノミネートされているスカーレット・ヨハンソン。確かにこの演技はノミネートされますよ!って感じの素晴らしい演技だった。彼女が演じる母親に関する重要なシーンで、彼女の顔をきちんと見せずに表現するのはすごかったな…。

 それにしても、FOXサーチライト作品は秀作が多い。前年度の作品賞候補の「女王陛下のお気に入り」も、その前の年の作品賞受賞作「シェイプ・オブ・ウォーター」&作品賞候補の「スリー・ビルボード」も素晴らしかったが、本作もアカデミー作品賞にノミネートされるのが納得の秀作だった。

FOXがディズニー傘下になり、本作はディズニー配給の公開となったが、まだ、製作時はディズニーの影響下になかったから、作風はサーチライトなものだけれど、今後はディズニー色が強まっていくのだろうか?

それから、サーチライト作品といえば、音楽の使い方がうまいのも特色だと思うが、本作も素晴らしかった!

オープニングのドイツ語版によるザ・ビートルズの「抱きしめたい」は一気に映画の世界に飛び込ませてくれるし、エンディングのドイツ語版によるデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」はイントロを聞いただけで泣いてしまった。

つまり、誰でも、ちょっとした勇気でヒーローになれるってことですね。

それに、厳密には音楽ではないかもしれないが、FOXのファンファーレのアレンジは前年度の「女王陛下」でもやっていたが、本作もかなり面白い形にアレンジされていた。

 

そういえば、自分も子どもの頃、靴ひも結べなかったな…。そんなことを思い出させてくれる映画だった。

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