自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN- 

ネット上でこの作品のいわゆる「エログロ」描写について、「意味がない」とか「記号的だ」とかいう批評を見かけたが、そういう意見に納得した。

エロに関しては、女性キャラクターが入浴しながら身体について語るシーンや、全く関係ない行為をしているのに女性キャラが性行為をしていると思わせるような台詞を言うなどといった深夜アニメやその劇場版でおなじみの描写のみならず、性的暴行シーンもある。

グロに関しては、いわゆる首チョンパもある。しかも、味方陣営のキャラの生首も出てくる。さらに、敵のゴブリンも次々と無残に殺されていく。

まぁ、量産されすぎている、異世界もの、なろう系にあきてしまった人にとっては、一種の刺激になっていることは間違いないとは思う。

でも、そのエログロが前述のように「意味がない」「記号的」なものに見えるんだよな…。

なろう系の作者や、そのファンの発言にはネトウヨ的なものが多いのは周知の事実だと思う。(本作は厳密には、なろう系ではないかもしれないが)

そういうのが「意味がない」とか「記号的」とかに思えてしまう背景にあるのかもしれないが、味方陣営のゴブリン退治が、どうしても、ホロコーストとか南京大虐殺のようなものと結びつけたくなってしまうんだよな…。

というか、関東大震災における朝鮮人殺害の方が近いかも…。

犯罪行為を行う民族ではあるかもしれないが(まぁ、この考え方自体、ネトウヨ的かな…)、根絶やしにされる必要性はあるのかというのを考えると、コリアンの存在を認めたくない、世界的には評価されている映画や音楽の分野ですら、それどころか、食文化すらもコリアンのものは認めず、抹殺したいと願っているネトウヨの思想と、ゴブリンを抹殺しようとする本作の味方陣営の考えは何かかぶってしまうんだよな…。

勿論、味方陣営がゴブリンから受けた暴力や性的暴行に対して怒っているという背景は理解しているが、民族抹殺の必要性は感じないしね。しかも、作中では、ゴブリンの発言が理解できない言語として表現されていて、それが観客に明らかにされていないので、本当に味方陣営のやっていることは100%正しいのかという疑問もわいてくる。

もしかしたら、ゴブリンは米国でいえば、ネイティブ・アメリカンのような存在で、近代文明を持つ人たちに生活の場を奪われたので、味方陣営に復讐という形で犯罪行為を働いたのではないかとも思えてくるんだよな…。これが、ゴブリン側の発言がはっきりと分かるように表現されていれば、冷静にどちらが悪か判断できるのだが。

ああでもない、こうでもないと、見た人間が思いをめぐらすように製作者側が仕組んだのであれば見事なのだが、どうも違う気がするんだよな…。エロもグロも何かネトウヨ的なんだよな…。宇崎問題やヒロアカ問題のどこが問題かも分からない人たちの発想に近い気がするな…。

f:id:takaoharada:20200206193022j:plain

 

とりあえず、自分が好きな女性声優がたくさん出ているので見たけれど、テレビ版を見ていないので、見終わるまで、誰がどの声か理解しきれなかった…。