自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

仮面病棟

こういう言い方をすると怒られそうだが、風俗嬢みたいなというか、ヤ〇マ〇というか、ビ〇チというか、そういった感じのルックスの永野芽郁の可愛いさに、ついついつられて見てしまった。

 でも、作品自体はかなり微妙だった。突っ込み所満載だし、ご都合主義だらけだし。

 

ところで、この「仮面病棟」って、やけに「ジョーカー」と多くの共通点があるのだが、狙っているのだろうか?

 

・ワーナー 映画

・ピエロが犯罪行為を働く

・精神病院が登場する

・観客をミスリードするような描写

格差社会そして優遇される上級国民の問題

 

しかし、決定的な違いがある。

それは、5段階評価でいえば、「ジョーカー」は4か5を付けることができるが、「仮面病棟」は1か2しか付けられないということだ。

 

この作品が「ジョーカー」になれなかった最大の要因は社会的・政治的な描写がいかにも邦画的なダメダメさだったってことかな。

 

日本再生を訴え、再び総理大臣になろうとし、なおかつ、スキャンダルを隠蔽しようという政治家は、まぁ、明らかに、あの人というか今の日本の総理大臣を思い浮かべる。

 

でも、そういう人物が出てくるにもかかわらず、その人の所属政党の名称は、自民党ではなく、このキャラのモデルとも呼べる人物が「悪夢」と呼び続けている民主党にそっくりなんだよね。しかも、この人物の働いた悪事に対して「これ以上恨むのはやめよう」なんて訴えたりする。それって、モリカケや桜なんかの追及はやめろとか、従軍慰安婦はなかったと認めろとかいう主張と同じでは?と思ってしまった。

 

つまり、主張したいことの整合性が取れていない。勿論、自分のようにネトウヨもパヨクも大嫌いだが、思想的には右翼と左翼が半分ずつ存在していて、ネトウヨからはパヨク扱い、パヨクからはネトウヨ扱いされるような人間もいる。でも、この作品の政治要素のミックス具合は節操がない。悪役は民主党所属の安倍だなんて話はダメでしょ。右から左からを問わず、文句を言われた際にエクスキューズできるように、中途半端な政治描写をするから日本映画ってダメなんだよねって感じ。自民でも、旧民主系でもいいから、はっきり、悪は悪と描いた方がいいと思うのだが…。

 

それから、本作を見て、相変わらず、日本の映画やドラマはニュースで事件を伝えるシーンにリアリティがないなと思った。アナウンサーや記者は、人数を言うときに、「○名」なんて言わないんだけれどね!日本の映画やドラマを作る人間って、ちゃんとニュースを見たことないんだろうね…。だから、日本映画って社会性がないんだよね。

 まぁ、低賃金の重労働だから、情報を収集する金も時間もないってのが、そうなる要因だとは思うが。

 

あと、容態を「ようたい」と読んでいるのも気になったかな。間違いではないし、現場の医者はどういう言い方をしているかは知らないし、ある程度の年齢以上の人は確かに「ようたい」と読む人が多いが、今は「ようだい」というのが正しい読み方とされているからな…。

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