自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

デッド・ドント・ダイ

新型コロナウイルスの感染拡大により、公開延期作品が相次ぎ、営業休止や営業時間短縮の映画館も多いことから、TOHOシネマズ日比谷の別館(旧スカラ座)という大規模スクリーンでジム・ジャームッシュ監督作品が上映される異常事態となったが(そもそも、TOHOシネマズ日比谷での上映は先行上映だったが、コロナの影響で本公開が延期になったため、先行上映だけ引き続き行われているというものだし)、これは大バコで見る映画ではないな…。やっぱり、ジャームッシュ作品はシャンテ辺りの規模でいいのかも。

 というか、この映画、キャストは超豪華(洋画に興味ない人にとっては、「誰?」かも知れないが、洋画や洋楽が好きな人、ジャームッシュ作品のファンにはたまらないキャストだよね)だけれど、本当、退屈な作品なんだよね。何度、あくびが出たことか…。

ここまで、あくびが出る映画って、1年に1本とか2本レベルだよな…。

 

かといって、面白いシーンとか台詞は結構あるんだよね…。何故か…。

何度も繰り返される「野性動物に襲われたよう…何頭もの…」というゾンビの被害にあい命を落とした人に対する状況説明なんて、「どうせ、また同じこと言うんでしょ?」と思っていたら、予想通り言ってくれたし、そういうベタな展開は好きだな。

 

ベタなギャグといえば、何度もネタにされるスタージル・シンプソンの主題歌いじりも面白かった。まぁ、この主題歌いじりを含めて、メタな構成が時々出てくるのは、若干、唐突には感じたが…。

あと、ビル・マーレイの起用は勿論、過去のジャームッシュ作品に彼が出ているというのもあるが、何よりも「ゾンビランド」シリーズを意識したキャスティングであることは間違いないだろうし。

 

それにしても、このご時世の中、この作品を見ると、ゾンビ=ウイルスに思えてくるよな…。ゾンビが蔓延し、それから逃げることに心身ともに疲れていき、ゾンビと戦うよりも、いっそのこと、そちら側に行った方が楽なんじゃないかと、ゾンビの群れに飛び込んで行くキャラクターが登場するが、それはまさに、コロナ疲れにも通じるものがあるよね。

いつ自分が感染するか分からない。感染したら、命にかかわる事態になるかもしれない。快復できても、仕事を失うかもしれない。そんな不安を抱えて生活していると、コロナに感染しなくても、メンタル経由で免疫力が弱ってくるからね…。

そういう、観点で見れば非常にタイムリーな映画だなとは思う。

 

でも、あくびが何度も出るほど退屈。キネ旬のレビューで、「ジャームッシュ作品を見たことない人には勧められない」みたいなことが書いてあったが、「確かにそうだね」と思った。

f:id:takaoharada:20200406151732j:plain