自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

横田滋氏の訃報で思うこと

拉致被害者問題って小泉純一郎が中途半端に手をつけたことによって、余計問題が複雑になっただけだよなという気もする。

 確かにそれまでほとんどの日本人が認識すらしていなかった拉致被害者問題を誰もが知る問題にしたことは良かったと思うが、結局、中途半端に何人かが帰国するだけで、ほとんどの人は生存するか否かすらまともに分からない状態で現在にまで至っているわけだし…。

 そして、拉致被害者問題が明らかになって以降、確実に増えたのが、いわゆるネトウヨ思想。そりゃ、日本人を拉致し洗脳して自国民にしてしまう民族なんて許せないよね。

 

そして、拉致被害者の何人かが帰ってくることになった小泉訪朝の時期が、日韓共催のワールドカップの直後だったというのも影響していると思う。

 ロビー工作により共催にされただけでも腹立つのに、結果としては韓国の方が成績が良かったんだからね。

この要素が混じって、北朝鮮・韓国問わず、コリアンという民族に対する怒りが増していったのは事実だと思う。

 

さらに、小泉が進めた構造改革により、利権にあずかれなくなった人も増えたし、さらには派遣労働の定義を広げてしまい、多くの非正規労働者が誕生することになったのも、ネトウヨ思想を増大させる要因の一つだったと思う。

 

つまり、ネトウヨ思想にしろ、派遣問題にしろ、何にしろ、今、日本が抱えている問題のほとんどは小泉のせいなのに、ネトウヨは悪夢の民主党政権のせいだといい、パヨクは安倍のせいだと言っているんだよね…。お前らの敵は小泉なんだよって言いたい!

 

そして、小泉訪朝時点では、ほとんど右翼団体のような思想に感じた拉致被害者家族が、今では、左翼団体のように感じるのも時の流れを感じる。

 まぁ、安倍が全然、自分の利益にならない拉致被害者問題に手を付けないせいで、拉致被害者の間に反安倍の考えが増していっただけといえば、それだけなのだが…。

 

安倍としては困った時には、北朝鮮の危機を煽ったり、韓国批判したりすれば、この何年かの間に国民に蔓延したネトウヨ思想(あからさまに韓国人は○ねとか出ていけという人間に限らず、安倍批判はしたくないという一般人が多いのもその傾向)を刺激し、自分の支持率アップにつながるから、そりゃ、コリアン問題は片付いてはいけないんだろうね…。

 

それにしても、昔は極右に思えた三島由紀夫が今のネトウヨ思想から見れば左翼に見えるし、皇族のメッセージと共産党の考えが一致することも多くなっていて、逆に保守を主張する自民党の方が反皇室の意見を述べているようにも思えるし、時代の流れを感じるな…。

 

とりあえず、安倍政権が続く限りは拉致被害者問題の進展は期待できないから、今後も拉致被害者や帰国者の悲しいニュースは続くんだろうなとは思う。

 

最後になりましたが、ご冥福をお祈り申し上げます。

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