自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

犬鳴村 恐怖回避ばーじょん

多少興味はあったし、サプライズヒットにもなっていたけれど、あまり評判も良くないし、自粛モード前は他に見たい作品もあったしといった感じで、これまで見逃していた「犬鳴村」に効果音やスーパー、イラストなどを付け加えた「恐怖回避ばーじょん」なるものが映画館の営業再開に合わせて上映されるということで、まぁ、今年のヒット作の一つだし、このバージョンで試しに見てみるかって感じで見ることにした。

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とりあえず、自分がニコ動が嫌いな理由を再確認できたし、最近の金曜ロードSHOW!が好きになれない理由も再認識できた。

完パケ作品に余計なものを足すのが好きではないってことだな。画面上を次から次へとコメントが流れていくニコ動や、「この後なんちゃら!」みたいな煽り文句のスーパーが出てくる金ローに拒否反応を示すのはそういうところなんだよね。作品に直接関係ない音声や文字が足されるのが大嫌いってことかな。

映画作品をテレビ放送する際に、地名や人名のスーパーを入れる。次週放送作品の告知が入るってのは、必要な情報だとは思うが、「いよいよ感動のクライマックス!」とか「みんなでつぶやこう!」なんてのは作品に不要な情報だし、ましてや、視聴者のどうでもいい感想で画面を汚されるのなんて腹立つしね。

そういうのを改めて実感することができた。

 

しかも、この「恐怖回避ばーじょん」で追加されたスーパーやイラスト、音楽、効果音など、どれもセンスがダサい!

まぁ、本編自体たいして怖くないので、この「恐怖回避」ネタをあきれながら見ることで何とか完走できたってのはあるかもしれないな…。

 

ところで、少女の放尿シーンかと思ったら、ペットボトルから水がこぼれているだけみたいな描写があったが、変態だな。まぁ、その後に歩きながらのお漏らしシーンもあったが…。

 

それはさておき、この「犬鳴村」って、東映なのに左寄りの作品だなと思った。

九州の男尊女卑的な社会の批判と思われる描写もあるし、環境破壊や原発に対する批判もされているしね。そして、何よりも、この犬鳴村の文化ってのは、もしかすると、在日の文化なのではと思えた。犬とか差別とか日本国憲法の通じない村などというキーワードと合わせるとね。

そういう意味では、かなり社会派の作品には思えたが、いかんせん、ホラー映画としては怖くないな。多分、この「恐怖回避」の余計な装飾がなくても怖くない。というか、この余計な装飾のおかげで飽きずに見られたのかもしれない…。

 

追記

渋谷TOEIで見たが、自分以外誰もいなかった。というか、この映画館、コロナに関係なく前から、ガラガラだよね。平日なら観客一桁はデフォルトだし、土日でも20人以上いることなんて滅多にない。自分の記憶にある限りでは、この映画館で50人前後の客が入っている風景を見たのなんて、1回とか2回しかないし。この映画館、前から経営状態が大丈夫なのかって気になっていたんだよな…。

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