自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BESTIA

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」がBESTIAというシステムで上映されるということで、今まで鑑賞する機会を逃していた「逆シャア」を初鑑賞。

コロナによる自粛モードに入る前にドルビーシネマによる上映で「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」を見た時は、画面サイズがスタンダードサイズだったことを除けば、音声も画質もクリアになり新しくなったと感じたが、今回の「逆シャア」にはそこまでのモノは感じなかった。

また、「めぐりあい」はドルビーシネマで見た時は、テレビ版が放送された70年代末、これを基にした劇場版3部作が公開された80年代初頭という時代を感じなかったが、この「逆シャア」は、キャラクターや衣装のデザイン、劇伴などで80年代のアニメというのを感じる部分は結構あった。

 

そして、80年代要素を感じる最大の要素はTM NETWORKによる主題歌「BEYOND THE TIME」だが、かかっている時間短かったな…。というか、エンド・クレジットが短い。だから、クレジットが流れ切っても、曲が黒味で流れている時間がちょっとあったし…。でも、名曲だ!というか、「RESISTANCE」、「SEVEN DAYS WAR」、そして、この曲とTMが1988年にリリースしたドラマや映画の主題歌はどれも名曲中の名曲だ!

 

その一方で、ストーリー自体は現在の話のようにも感じた。根本は同じなのに、ちょっとの違いで対立する様子は、まさに同族嫌悪でいがみ合っている今の与党と野党、ネトウヨ とパヨク、日本と韓国の関係そのものにも思えた。

また、シャアが安倍に重なる部分もあった。

地球を破壊しようとするシャアの姿は、実際は日本を破壊しようとする行為なのに、何故か保守・愛国を主張する人たちに支持される安倍にも見えた。

また、ララァを巡る私怨を晴らすために政治を動かすところも、何かというと「悪夢の民主党政権」というキャッチフレーズを出してくる安倍そのものだ。

もっとも、私怨を晴らすために政治をやっているのは安倍だけではない。

与野党含めて、今の日本の政党の幹部クラスの連中は全員そうだよね。というか、今の主な国々の首脳って、そんなのばかりだよね…。

それから、世間知らずのエリート人間が理想を語るから矛盾だらけの政治になるというのも与野党問わず、今の政治家に言えることかなと思った。

そんなことを考えさせられる実に政治的な作品だった。

 

f:id:takaoharada:20200616160903j:plain