自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ペイン・アンド・グローリー

まさか、錦糸町ペドロ・アルモドバル監督作品を見られる日が来るとは思わなかった…。
映画館の営業は再開したものの、新作が不足しているってことなのかな?
 
アルモドバル版「ニュー・シネマ・パラダイス」みたいな宣伝文句で紹介されていたが、それは何か違うって感じはしたな…。まぁ、映画監督が少年時代を回想するという部分だけをとれば、「ニュー・シネマ・パラダイス」なんだけれどね…。
あと、監督の自伝的作品とも言われているので同性愛的な描写が気になっていたのだが、想像していたものよりも、というか過去のアルモドバル監督作品よりも遥かにマイルドだった。まぁ、イケメン青年のフ○チ○はあったけれどね。R-15指定はコレのせいかな?
ストーリー自体は淡々と進むんだけれど、飽きることなく見ることができる作品だった。というか、結構感動する。別に自分はゲイではないが、アルモドバル監督同様、クリエイティブ職の世界にいるから、監督をモデルにした主人公と母親の絡みのシーンは泣けてくるよな…。あと、こういう仕事していると体調が万全な時なんてないから、満身創痍な状態ってのも共感するな。
ところで、ラスト・シーンって意味深だよな…。何パターンかの解釈ができる。まぁ、本作が賞レースを賑わせ理由の一つにラスト・シーンがあるのかなという気はする。
それにしても、アルモドバル監督作品常連でなおかつ、ハリウッド・スターでもある2人は素晴らしい!
結構出番はあるのに、特別出演扱いのペネロペ・クルスは美しい!日本でいえば、我々と同じ団塊ジュニア世代なのだが、そうとは見えないし…。というか、演じている主人公の母親役って、おそらくアラサーくらいの年齢だと思うが、違和感なく演じているしね。
そして、主人公の映画監督役のアントニオ・バンデラスもカッコいい!初老の枯れたカッコ良さが何とも言えない素晴らしさ!
そういえば、自分が初めて劇場で見たアルモドバル監督作品「アタメ」(91年日本公開)にもバンデラスは出ていた。その時は、ポルノ女優を監禁する精神病院を出たばかりの若者という謎の役をやっていたが、こんなにいい感じに枯れた役者になるとは!
というか、本作に出てくる男優、中年、青年、少年問わずイケメンだらけ!しかも、いろんなタイプが出てくる。さすがは男にうるさいアルモドバル監督だ!

f:id:takaoharada:20200621135958j:plain