自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

=LOVE「CAMEO」

新型コロナウイルスの影響で発売延期になっていた指原莉乃プロデュースのアイドルグループ、=LOVE(イコラブ)の新曲「CAMEO」がやっとリリースされた。本当はGW中に出るはずだったんだよな…。

正直なところ、最近のさっしーの公平な立場で正論を言っているようでいて、実は権力に媚びまくりという姿勢。特に政治問題や社会問題、芸能界のパワハラ・セクハラに関する時のコメントには、イラっとすることが多い。
しかも、実際は権力の犬なのに、言いたいことを言っているように見えるから、普段は反安倍的なポジションの人まで彼女を讃えているのもイラっとする気持ちを増幅させているのだと思う。そういうのはある意味、圧倒的な得票数で再選した小池にも近いのかな。
そんな、アイドルを卒業してからのタレントとしての指原莉乃には胡散臭さしか感じないが、でも、アイドル・プロデューサーとしての彼女は間違いなく天才なんだよな…。

 

今回の新曲「CAMEO」で一番感心したのは歌詞。普通の邦楽では出てこないが、英語圏では普通に使われているフレーズが歌詞に入っているんだよね。
米国映画を字幕で見る人なら一般常識だが(自分は10代の時から認知していた)、英語というだけで聞き取るのを拒否してしまうような人とか、吹き替え版を好む人には全く知られていないし、学校でも教えてくれない“Are you kidding me?”というフレーズが使われているんだよね…。
それ以外にもCrazy about youとかCrush on meとか、洋楽や洋画が好きな人にはおなじみたが、邦楽の歌詞にはほとんど使われないような英語が次々と出てくる。
これって、宇多田ヒカル以来の衝撃かもしれない。宇多田もMovin' onとかAddicted to youとか洋楽や洋画ではおなじみだが、邦楽の歌詞ではほとんど使われないフレーズを使っていたが、イコラブの歌詞もそうなんだよね。デビュー曲「=LOVE」の時点でidealという単語が使われていたし。


そして、驚くのが、宇多田ヒカルは帰国子女というか現在も海外が生活の拠点だけれど、イコラブの歌詞を担当しているさしさんは、そういうバックボーンでもないし、どちらかといえば、学歴とは縁のない人だし(まぁ、英語は好きだったようだし、兄は教師らしいが)、それどころか、洋楽や洋画に対する興味も元々なかった人なんだよね…。どこまで本当かは知らないが、かつては「映画なんて5本しか見たことない」って言っていたくらいだからね…。
まぁ、コンサートの演出を任せられる機会が増えたり、プロデューサー業をやったりするようになって、国内外のエンタメを勉強しまくって吸収していったんだろうね。
少なくとも、英単語のセンスに関しては、いまだに、中学生の教科書レベルの英語が出てくる師匠・秋元康をこえたと言ってもいいんじゃないかなという気がしてきた。

 

そして、もう一つ感心するのが、女性ファンや男でも若い世代のファンの獲得のうまさ。
今回の新曲は、ネトウヨのオッさんドルヲタが嫌いそうなK-POP風だし、曲調だけでなく、ジャケ写やMVも振り付けもK-POP風だからね。NiziUの人気を見ても分かるように、女性は韓国ものが好きだし、男だって、高校生あたりなんかは、TWICEが新曲を出せば、CDショップにうれしそうに買いに行ったりしているんだよね。K-POP人気が捏造なんて言っているのは無知なネトウヨのオッさんだけ。そんな80年代、90年代あたりで思考が止まった人を相手にしていたって将来性はないから、女性ファンや若い男のファンも含めた幅広いファン層を獲得するには、この指原プロデュースは正しい選択だと思う。


テレビやネットではネトウヨのオッさんに媚びた発言をするさっしーだけれど、アイドルプロデューサーとしてはきちんと今の音楽シーンでやるべきことをやっているのは本当感心するな。その辺は師匠の秋元康にも通じるんだよね。安倍政権に媚び売っておきながら、反権力の曲を次から次へと出しているしね。

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