自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

はちどり

やっと、韓国映画「はちどり」を見ることができた。
日本人の観客にとっては、「パラサイト」より、こちらの方に親近感を抱きやすいのではと思った。ぶっちゃけ、テアトル新宿とか新宿武蔵野館など、新宿のミニシアター系の劇場でやっていそうな内容の映画だしね。

風景も日本のものに近いし(まぁ、90年代のソウルは東京というよりかは千葉や埼玉に近いように見えたが)、家族関係とか友人関係とかも、小池が悪者扱いしている20代、30代の人たちはそう思わないかもしれないが、本作の主人公と同じ、現在40代以上の人には、あるある描写満載の作品ではないかと思う。

兄妹の仲の悪さ、子どもの前で夫婦喧嘩する両親、友人との仲違い、万引きチャレンジ(立派な犯罪なのでやってはダメ!)等々。見覚えのある風景だらけだもんな…。

そういえば、本作では担任が生徒に「不良と思われる生徒の名前を書いて報告しろ」なんて、今だと吊るし上げられるようなアンケートを取っているシーンがあったが、それを見て、中学生の時、学級委員になる人間が誰もおらず、困窮していたにもかかわらず、担任がカゲで自分に対して、「あいつにだけはやらせるな」と吹聴していたことを思い出した。そんなことを言う担任もクソだが、「担任がこんなこと言っていたよ」とワザワザ報告する同級生もクソだよね。

それから、本作の舞台となった1994年の出来事として、金日成主席の訃報を伝えるニュースの場面があったが、それで思い出したことが一つある。
当時、ADチーフ的なポジションで担当していた番組で、「金日成のXデーが近い。だから、生涯を振り返る完パケVを作っておいて」とディレクターに命じられて、一人で資料映像を集め、編集し、ナレーション収録をして完パケVを作ったんだけれど、訃報が伝えられた当日に、自分も自分に命じたディレクターもいなかったために、このVの存在が忘れさられてしまい、別の番組が作った完パケの流用だかなんだかが放送されてしまったんだよな…。苦労が無駄になって、ガッカリしたのを覚えている。

 

《追記》
主人公であるJCのウニ、ポスターとか雑誌記事とか静止画で見ていると、そんなに可愛く見えないんだけれど、こうして動いている姿を本編で見ると、めちゃくちゃ可愛いな。それから、彼氏と添い寝しているシーンは、風俗嬢と客がイチャイチャしている場面みたいな感じで、ちょっとやらしい。

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