自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ステップ

娘が父親の再婚相手を“お母さん”と呼ぶとか、妻の父親に“君は実の息子のように思っている”みたいに言われたりするといったベタなやりとりで感動してしまう。

 

でも、何か違和感あるんだよな、この作品…。結局、“子育てや家事は母親がやった方がいい”って言っているようにも感じるし、主人公のシングル・ファーザーの女性に対する話し方が何か上から目線なんだよね。ぶっちゃけ、男尊女卑に近い。それで、イクメン作品と言われてもねという感じかな…。

 

あと、どうでもいいことかもしれないが、山田孝之演じる主人公ではなく、義理の兄の名前がヨシヒコってのはネタなのか?

 

ついでにもう一つ、どうでもいい話を。主人公と深い関係になる女性を広末涼子が演じているが、本作で見ると完全にオバさんだな…。劣化知らずの広末みたいによく言われるが、やっぱり、年月の経過を感じずにはいられなくなってきたのか…。まぁ、こういう言い方自体、男尊女卑って言われても仕方ないかもしれないが…。

 

そういえば、家の壁とかに落書きする描写が本作には出てくるが、そういうのって、自分が子どもだった頃を思い出すな。小学校低学年の時はまだ改築して5〜6年だったから、家庭訪問に来た先生が“新しい家なのに落書きしてしまって…”みたいなことを母親に言っていたっけ…。

 

ところで、この作品には“一人二役”で川栄李奈が出ているが、本作の撮影時期って、デキ婚報道がされた頃なんだよな…。
個人的には、彼氏がいない設定のアイドルを卒業して女優になったんだから、恋愛しようが結婚しようが自由だとは思う。
そして、相手が格下俳優だからイメージが良くないというのは女性は男より身分が高くてはいけない=男尊女卑の発想なので、別に彼女の結婚相手が格下だろうと何だろうと構わないとは思う。まぁ、女性関係に問題のある人間だったので、イメージは良くないとは思うが。

そして、デキ婚も世間的には批判的に捉える人も多いから、これでイメージが悪くなる部分があるのも理解できるし、仕事が次から次へと押し寄せている時に妊娠するのは周囲に迷惑をかけて良くないのではと思ったりもする。とはいえ、デキ婚や急な妊娠を批判するのは古くさい仕事優先の日本社会の考え方だと思うので、これ自体を批判するのはどうかとも思う。

 

でも、結婚相手の女性関係を批判されて、それで逆ギレして、批判した相手をdisりまくったり、結婚相手をバカにするような発言までしてしまったことに関しては全く同情できない。この騒動により、それまでの好感度の高い若き演技派女優としての評価が一気に失せてしまったのも事実。

とりあえず、本作はデキ婚騒動が発覚したかしないかの頃の撮影作品=イメージ悪化が確定する前の若き演技派女優としてノリに乗っていた時期に撮影された作品だから見ることにしたが、出産から復帰後の映画やドラマは、たまたま、他の出演者や監督、ストーリーなどで興味を持った作品に彼女が出ている場合は見るかもしれないが、彼女を最大の鑑賞理由にすることはないかなって感じになってしまったな。

 

それにしても、本作でも川栄は良い演技をしているんだよな。特に地味な女性役を演じさせたら本当、うまい。それだけに、イメージが悪化したのは惜しいな…。

 

《追記》
本作は2020年の春で終わるけれど、全くコロナの影響を感じない春なんだよな…。まぁ、撮影していた時には、こんな世の中にはなるとは思っていなかったんだろうけれど…。これからの映画やドラマは現在のシーンってのが描きにくくなったんじゃないかなって思う。かといって、登場人物全員がマスクしてソーシャル・ディスタンスをキープしている場面しか出てこない作品も、それはそれで画面として、どうなのよって気がするし…。現代ものは2019年までの話にするとかせざるをえなくなるのかな?

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