自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

泣きたい私は猫をかぶる

劇場公開予定作品だったが、新型コロナウイルスの影響で公開延期が発表され、その直後に劇場公開ではなくネトフリ配信に変更されたアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」をやっと見た。

夏祭りのシーズンの話だし、3曲を提供しているヨルシカの楽曲もいずれも、夏の切なさを描写した曲だから夏のうちに世に出したいという気持ちも分かる。
しかも、「君の名は。」以降、大量生産されるようになった一般観客を狙っているのに、一般にはオタク向き扱いされ、その一方でオタクからは非本業声優がメインキャラを演じているから嫌われるというタイプの作品だから、大ヒットするとも思えない。新海や細田作品みたいに一般に名前が浸透している監督やスタジオの作品でもないしね。
だから、鮮度のあるうちに、しかも、ネトフリが金を出してくれると言っているんだから、配信でもいいから世に出そうというのはビジネスとしては至極真っ当だと思う。
(エンド・クレジットには、ネトフリの名前が入っている一方で、製作委員会メンバーの所属する個々の企業名が省略されていたりしたが、ネトフリ配信が決まったのに合わせて差し替えたのかな?)
 
ただ、実際に本編を見ると、やっぱり、これって映画館で見るように作られた作品だよなと実感した。
自宅PCだと所々、台詞が聞き取りにくいんだよね。これは、映画館での大音響で見てこそ、台詞や音楽による心情の描写を感じとれる作品だと思う。

自宅PCで見ても、終盤は感動したから、劇場で見たら、さらに好きになっていたかもしれないな…。特にちょっとウザい主人公が良い。主人公を演じた志田未来の声優演技も結構良かった!

本業でない人が声優を務めたってだけで批判するアニオタが多いが、アレはなんなんだろうか?じゃ、声優がCDを出したり、コンサートを開くのはいいのかよ?って話だよね。本当、ああいう思想は害悪でしかない。勿論、本業でない人の声優仕事で棒演技している人は許せないよ。でも、こういう批判するアニオタは歌唱力のない声優が音楽活動することには文句言わないんだから、自分勝手もいいところだ。本業でない人の声優演技にも、声優の歌手活動にも素晴らしいものはあるし、クソなものはある。なのに、本業でない人の声優演技は認めないが、声優の歌手活動は認めるってのはおかしな話だよね。

それにしても、ヨルシカって夏って感じだよな。最近は一般邦楽に近づきつつあり、イマイチ、ピンとこない曲もあるが、本作に使われた3曲を始めとする陽キャではない人々の夏をイメージしたような楽曲は良い。

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