自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

配信サービスのアコギな商法

コロナ禍で思ったような収益が上がらないのは分かるけれどさ、テレビ局や映画会社主導の配信のやり方は限りなく詐欺に近いよね…。


「親バカ青春白書」「リモートで殺される」などの日テレドラマ
Huluでノーカット版を先行配信した後、地上波では放送枠に合わせてカットしたバージョンを放送するという形なら炎上しなかった。
(映画の地上波放送の多くはこの形だし)
というか、Huluを契約していない人には批判する資格がない。

でも、地上波で不完全なものを先に見せて、実はこれは完全版の予告編でしたなんてことをするから、Huluを契約していない人には詐欺商法扱いされるし、Huluを契約している人にも二度手間を取らせるから反発を買うんだよね。それが分かっていない。
何か、テレ朝の日本版「24」もネット記事を見ると、Hulu商法に近いことやるみたいだし、本当、こういうことばかりやると、ドラマ好きは地上波を見なくなるぞ!


「ムーラン」の劇場公開中止&配信決定
ファミリー向け映画の集客は、「ドラえもん」最新作や同じディズニー配給の「2分の1の魔法」を見れば今のご時世では期待値を下回るのは仕方ない。だから、劇場公開をやめて、家庭で楽しめる配信にするという趣旨は間違っていないと思う。
でも、ディズニープラスに入会させ、月額料金を払わせた上で、さらに、この作品を見るための追加料金を払わせるというのは、やっていることはボッタクリのホスト・キャバクラや風俗と同じ。
デリヘルを利用した際に“あなたの払った料金は私と会うためのもの。性的サービスを受けたければ、追加料金を払って”なんて言われたらブチ切れるでしょ!ディズニーのやっていることはそれと一緒なんだよね。

ディズニープラスに入会し、月額料金を払っている人間だったら、誰でも見られるようにする。ネトフリでは当たり前にやっているこのやり方が一番、不満が少ないと思うんだけれどな。まぁ、追加料金を払わないと見られない作品を提供しているのはディズニーだけではなく、アマプラとかでもやっているけれどね。

そして、できれば、ディズニープラスの会員でない人にも単発契約で見られるペイパービュー的な鑑賞方法を提供するべきだったと思う。最近、音楽ライブの配信の多くが採用しているようなやり方でできるはずなんだよね。

ディズニープラスに入っている人は月額料金のみで。入っていない人にはちょっと高めの料金になるかもしれないが、ペイパービュー的な配信でというやり方をすれば、ここまで炎上しなかったんだと思うな。

それから、プロモーションに協力した劇場への配慮として、今年、邦画の「劇場」がやったみたいに限定公開という形で一部劇場で上映するという形を取った方が良かったとは思うな。

ちなみに、ネトウヨとかパヨクとかの思想にかぶれてしまった連中は“同じディズニー作品の2分の1の魔法は劇場公開できたのに、ムーランが配信になったのは主演女優が中国の香港政策を支持しているからだ”みたいなことを言っているけれど、関係ないから、それ。
単に、「2分の1の魔法」は米国ではコロナが悪化する前にギリギリ公開された作品なので、米国本社からすれば日本で劇場公開しようが、配信オンリーにしようが、どうでもいいんだよね。
でも、「ムーラン」は米国では何度も公開延期されたうえに配信で提供することが決まった作品だから、米国で劇場未公開の作品を日本だけのためにどうこうするわけにもいかないんだよね。
中国のようなディズニープラスが展開されていない国なら劇場公開できるけれど、日本は海外より大幅に質が落ちるシステムとはいえ、ディズニープラスが展開されているから、米国で未公開のものを日本で劇場公開するわけにはいかないってだけだし。

話はそれたが、こういうボッタクリ商法は配信サービスのイメージを悪くするだけだと思うな。

f:id:takaoharada:20200825061806j:plain