自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

批判できなくなった日本人

安倍政権の7年8ヵ月で一番変わったことといえば、国民の間に権力や権威を批判してはいけない病が蔓延したことかな。
これは別に政治の話だけではなく、音楽や映画などでもそう。
というか、店の営業姿勢や店員の勤務態度とかでもそう。
そんな批判していけないような世の中で物事が良くなるわけがないのにね。

 

安倍内閣の支持率を平均すると、だいたい4割程度だと思う。つまり、国民の6割は安倍不支持なのに、安倍支持の人たちは全国民が安倍を支持していて、支持しないのはパヨクやリベラル、在日コリアンなどの偏った思想の反日勢力だと思っているんだよね。
少なくとも、自分の周囲では自民支持者でも安倍嫌いはたくさんいるし、昔ながらの右翼の街頭演説を耳にすれば、大抵、安倍批判しているのに、安倍支持者からすれば、そういう安倍嫌いの自民支持者や昔ながらの右翼ですら反日・在日になってしまう。

 

これと同じ現象がアイドルの世界にも起きている。AKBグループのオタクの間では、自分の推しであろうとなかろうと、メンバーの批判をすると吊るしあげられるという風潮がある。これは、このグループの最大派閥のファンを抱えていた指原莉乃が、オタクたちに“メンバーを批判するのは嫌い”と言ったことが原因なんだよね。それを盲信的なオタクが守った結果、メンバーたちは好き勝手するようになり、NGT事件が起きてしまったわけなんだけれどね。まぁ、指原は安倍マンセーだから、そういうメンバー批判するなってのは政権批判するなにもつながるしね。あと、オッさんのドルオタにはネトウヨが多いから、簡単にこの考えには賛同してしまうんだろうね。

 

同様のことはジャニーズのファンにもある。彼女たちは、街録では自分の推しでないグループやメンバーについては良いことでも悪いことでも語らないってのが結構いる。つまり、ジャニオタの間にもAKBグループのオタと同様にメンバー批判をしてはいけない風潮がある。だから、彼女たちは一般人だったら淫行で逮捕されていてもおかしくない山下智久のことも相手が悪いと全面擁護している。

 

ただ、AKBグループやジャニーズのファンはまだ、世間にはグループや自分たちファンのことを嫌っている人たちがいるって認識しているから、マシな方なんだよね。

 

もっと酷いのが、米津玄師と氷川きよしのファン。全国民がファンだと思っているからね。ファンでない人間が“あの曲はイマイチ”だとか、“あの発言はよろしくない”って言っただけで、“謝罪しろ”みたいなことを言ってきたり、“老害”扱いしてくるからね。
ファンであろうと、なかろうと、楽曲の出来がイマイチだったり、発言内容に問題があれば批判する資格はあると思うんだけれどね。
そもそも、自分は米津にしろ、氷川にしろ何枚かCDを持っているから、嫌いではないのに、彼らのファンには、ちょっと批判したというだけでアンチというかクレーマーにされてしまうんだよね。

この考えって、安倍批判=反日・在日と呼ぶ安倍支持者とそっくり…。全国民が支持者だと思い、批判する人間は支持者ではない。支持できない人間はおかしな人間だみたいな考え方だからね。ネトウヨが政権批判するなら、総理大臣になってから言えっていうのとそっくりだよね。
そもそも、正しいファンなら自分が支持する歌手や政治家などがイマイチな仕事をしたり、問題発言をしたりしたら批判するものだと思うのだが。

 

それから、勤務態度がなっていない店員を批判したり、レジ袋有料化制度に疑問を呈しただけでも、クレーマーとか老害扱いされるのも同じような流れだと思う。

 

そのくせ、地下アイドルとかK-POPとか外資系企業や日本企業でも外国人経営者ならいくらでも批判してOKな風潮はあるんだよな。
本当、安倍政権批判=反日・在日という洗脳が効きすぎたせいで国民のほとんどがネトウヨになってしまったんだろうな…。

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