自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

映像研には手を出すな!

「続きは映画館で!」商法の作品なので、ドラマ版終了時ではブログの類を書くのを避け、映画版が公開されてからまとめて言及しようと思っていたが、コロナの影響で公開が遅れてしまい、当初の予定より4ヵ月遅れで、やっと、この手の記事を書くことができた。

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まず、結論から先に言うと、ドラマ版の方が映像面でもストーリー面でもクオリティが高かった。ドラマ版は深夜ドラマにもかかわらず、その辺の日本映画よりも遥かに手の込んだCGが使われていたし、アニメ版に比べれば多少の物足りなさは感じるものの、水上要塞都市みたいな芝浜高校の雰囲気は描かれていた。でも、今回の映画版は室内シーンが多いのでドラマ版よりもスケールダウンしたように感じるんだよな…。
それから、上映開始後、ドラマ版のダイジェストが長々と続くのも映画としての魅力を削いでいる気がする。

それにしても飛鳥の浅草役はアニメ版の伊藤沙莉同様(本業でない人が声優をやると文句を言うアニオタですら認めたしね)、良いキャスティングだったと思う。乃木坂メンバーの中で飛鳥を演技派とか女優向きとか意識したことはこれまでなかったが、ドラマ版・映画版を含めた本作の浅草役では演技力に感心せざるをえなかった。というか、これ、日本で今もっとも人気のあるアイドルグループの中心メンバーがやる演技のレベルではない。「あの頃、君を追いかけた」はアイドル映画の領域内の演技だったけれど、本作はビジュアルも含めて、乃木坂の中心メンバーとしてのイメージを捨てているからね。先日の単発ドラマ「リモートで殺される」のメンヘラ○ッチ役(しかも死んだ時の顔が怖い…)も良かったが、もしかしたら、彼女も女優としてブレイクしていくのだろうか?個人的には乃木坂メンバーで一番演技派だと思うのは、さゆりんごかな。生ちゃんはミュージカル女優って感じだから、ちょっと、ストレートものでは違うかなと思うところもあるしね。

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それはさておき、絶大な権力を握る生徒会が本作には登場するが、その生徒会のメンバーが自分たちのことを学生と呼ぶのはどうかと思うな。本当、映画・ドラマ・アニメ・コミック・小説などの関係者って、高校生は学生ではなく生徒だということを知らないよね。
というか、マスコミでもニュースデスクとか報道記者とかをやったことがない人は知らないんだよね。偉そうにプロデューサーとかチーフとかを名乗っている人ですら知らない。そして、こちらが“高校生は学生ではない”って指摘すると、自分の無能さを指摘されたことに腹を立てたみたいに逆ギレするのが多い。最近もこうした自分の指摘に対して、かつての担当番組の出演者が“高校生を学生と呼んでもいい。そんなのを気にするのはおかしい”とかFacebookで言ってきたので、面倒くさくなって、Facebookの更新を一切しないことに決めたくらいだったしね。仮にもニュースを伝える番組をやっていた人間が言うことじゃないでしょ!きちんと、児童・生徒・学生の呼称の仕方の決まりは守ろうよ!
もっとも教育関係者とニュース原稿書いたことのあるマスコミ関係者(一般紙の記者含む)以外は、この違いって把握していないんだよね…。政治家や弁護士ですら間違えているしね。
まぁ、英語では小学生も中高生も大学生もstudentなのに、日本語では小学生は児童、中高生は生徒、大学生は学生と呼称が変わるのがおかしいんだし、専門学校でも、中卒で入れる学校は生徒で、高卒でないと入れないのは学生とか分けられているしね。
さらにいえば、少子化の影響などで幼稚園、保育園、保育所の違いも曖昧になってきている。
文科省なりなんなりが、きちんと呼称のあり方を改めて定義した方がいいとは思うかな。そもそも、小学校も中学校も高等学校も学という文字が入っているんだから、大学と同じ学生でいいんだけれどね。
でも、マスコミに属する人間だったら、現行のルールに従って表記しようよ!そういうのがないから、日本のエンタメ作品や文学はリアリティがないって言われるんだよね。

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