自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

トロールズ ミュージック☆パワー(ネタバレ含む)

トロールの種族を音楽のジャンルによってわけている本作、予告編を見た段階で、ロックが悪役になっていることから、ポリコレ的思想で黒人をたたえ、白人を批判している作品だろうなということは想像できたが、実際に見てみると想像以上に酷い偏ったポリコレ思想の作品だった。

 

本作ではトロールは大きくわけて6つのジャンルにわかれている。

 

①ポップ:白人音楽。若者を中心とした大衆向け。本作のメインキャラたちが属するコミュニティ。

②ロック:白人音楽。本作ではハード・ロックヘヴィ・メタル的なものを特に敵視しているようだが、その中にはハートも含まれているようだ。まぁ、昔はハード・ロックヘヴィ・メタル売り場にハートのCDが置かれていたこともあるから、おかしくはないのだが。

③テクノ:白人音楽。若者向け。テクノという古いジャンル名になっているが、90年代から00年代前半のエレクトロニカや、00年代後半以降のEDMを含めたクラブ・ミュージックという意味合いで使われている。

④クラシック:白人音楽。エリート層向け。

⑤カントリー:白人音楽。保守層向け。

⑥ファンク:黒人音楽。ファンクという古いジャンル名になっているが、本作ではR&B/ソウルやラップを含めた広義の黒人音楽という意味合いで使われている。

 

黒人音楽とか、ブラック・ミュージックという呼び方をいまだに日本ではしている人が多いが、本来は差別用語なので使いたくない。でも、本作のポリコレの偏り具合を説明するためには白人とか黒人といった言葉を使わないと説明できないので、そうした呼称を使用することにした。

 

ということで、各ジャンルを見てみると、ファンク以外は白人音楽となっている。最近のトランプ憎しの思いだけで偏った思想が全開しているハリウッドでは黒人を悪役にはできなくなってしまっているので、本作におけるファンクの扱いが良いのは当然。

だから、本作の終盤では、騒動を解決する立場としてファンク族が登場するし、各種族の争いにより、いったん、音楽が途切れてしまった世界で改めて音楽を生み出すのは、ファンク族の血をひく者となっている。完全に黒人ヨイショの内容だ。しかも、音楽を生み出したのは黒人という捏造まがいのことまでしてしまっている。呆気にとられるばかりだ。

 

そして、残りの白人音楽の中でロックが悪役にされた理由も明らかだ。クラシック好きのエリート層にも、カントリー好きの保守層にも、ロックを毛嫌いする人は多い。そして、ポップやテクノ(というかクラブ・ミュージック)を好む欧米の若者からすれば、ロックはオワコン(死語かな?)で老害のオッサン・オバサンが聞くものという扱いだ。だから、ロックを悪役にしても文句を言う人はロック・ファン以外にはいない。

 

でも、ここまでなら、まぁ、最近のBlack Lives Matterとかの流れに乗ったよくあるポリコレ作品で終わってしまうんだけれども、それだけでは済まないんだよね。

 

白人批判はさらにヒートアップしていて、カントリーもロックと手を組む悪の手先として描かれているし、さらにはメインキャラたちが属するポップも黒人音楽など他のジャンルからアイデアを盗み、独り占めした存在。つまり、本作における真の悪役として描かれている。

さらに悪役扱いされるのは白人だけではない。ロックに協力する存在として、大きくわけられた種族とは別にK-POPレゲトンなども登場する。要はアジア人やヒスパニックなども白人と並んで悪役にされてしまっている。アメリカの黒人というのは、「自分たちは差別されている」と言いながら、平気でアジア人やヒスパニックを見下し、差別しているが、その意識が本作におけるアジア人やヒスパニックなどの悪役扱いにつながっているとしか思えない。本当、腹が立ってきて仕方なかった。

 

本作には、シンディ・ローパーダフト・パンクスコーピオンズオジー・オズボーン(声優として参加)、ディー・ライト、M.C.ハマー、スパイス・ガールズ、マーキー・マーク&ザ・ファンキー・バンチ、シックなど様々なジャンルのアーティストのヒット曲・名曲が取り上げられていて、本来ならジャンルにかかわらず、音楽は素晴らしいというメッセージを届ける作品になるはずなのに、黒人は素晴らしいにしかなっていなくて本当、残念で仕方ない。

まぁ、「全ての人種の命が大切だ」と言うと人種差別主義者扱いされる今の米国では、黒人マンセーするしかないんだろうけれどね。あぁ、はやくトランプ政権が終わって欲しいな…。本当はトランプ大統領ほど大衆の心が分かる指導者なんて世界的に見ても稀有なんだけれど、ハリウッドがトランプ憎しの思いだけでパラレル・ワールドのごとく、偏ったポリコレで作品作りをしているのには耐えられない。だから、トランプ政権が終われば、多少はハリウッドの人たちが偏ったポリコレ思想の押し付けでストレス解消をすることもなくなるんじゃないかと期待している。

 

そもそも、本作のメインキャラの1人の声優を務め、音楽面でもエグゼクティブ・プロデューサーとして参加しているジャスティン・ティンバーレイクはポップ、R&B、カントリー、ロックなど様々なジャンルをクロスオーバーした音楽性で知られているし、イン・シンク時代からR&Bチャートでヒットを飛ばしたりしていたんだから、自分の音楽や自分のファンを否定するような内容の映画を作るって、どうなのかなとも思うな。

とりあえず、ティンバーレイク氏の新作はいつになるか分からないが楽しみにはしている。

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