自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

望み

清原ちゃんが出ている映画はチェックせずにはいられないということで「望み」を鑑賞。本作では、まだ可愛いらしいところを見せてはいるけれど、最近のテレビ出演や雑誌取材、それから、彼女が歌う楽曲のMVでは完全に大人の顔になっているよね。しかも、服装もひと昔前の言葉でいうところの“森ガール”みたいな感じ。この感じが続くとすると、彼女に対する熱がさめる日もはやそうだな…。そんなことを言うと、女優をルックスで見ていると批判されそうだが…。

その清原ちゃんは加害者扱いされた少年の妹役だったが、この妹が“お兄ちゃんのことばかり優遇している”的な台詞を親に放ったのが印象的だったな。

きょうだいの上の方は下の方ばかり優遇しているって思っているんだけれど、下の方は上の方を優遇しているように見ているんだよね。うちの妹も小中高のあたり、よくそんなこと言っていたもんな…。

でも、大人になると完全に親が可愛いがるのは下の方だと思うよ。上には責任を押し付けるだけ押し付けておいて、下の方には結構いい思いさせているからね。うちの場合、父親も母親も自分の知らないところで結構、妹に援助したりしていたからね。こっちなんて、逆に家計を支えさせられたり、家の売買など対外的・法的なこともやらされたり苦労しているのにさ…。

本作でも結局、兄は死んだけれど、妹は志望校に無事入学できて、両親と仲良く暮らしていますみたいな感じで終わっていたしね。

本当、きょうだいの上の方はつらいよ…。

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それはさておき、肝心の内容についてだが、マスコミ・ネット民・警察・一般市民、それぞれに対する批判の描写があり、バランスは良かったと思った。大抵の作品は「マスゴミはー」とか「ネット民はリテラシーがない」とか、「警察は市民の相談に応じない」とか分かりやすい敵を作って観客を洗脳するが、本作では、どの勢力に対しても問題があると描かれていた。

事件が起きた際に、加害者や被害者の家族や友人、知人の日常に勝手に土足で踏み込んでくるマスコミ。

マスゴミは報じない。だから、俺たちが真実を暴く”とか言っておきながら、フェイクの情報を拡散しまくるネット民。

初動が遅い上に、いざ、捜査をはじめても自分たちの都合のいいストーリーを作り、それにあてはまる結果しか認めない警察。

マスコミ・ネット民・警察の真偽が確かでない情報を鵜呑みにし、加害者と確定したわけではない人物の家族を攻撃する一般市民。

さらには、加害者とされる人物の家族や、被害者の家族の問題点にも言及していた。

日本の映画やドラマで、ここまでバランスよく描いた作品というのは滅多にないと思う。

 

でも、ツッコミどころだらけなんだよね…。

テレビ局のリポーターやディレクターは、容疑者とされる人物が未成年だったら、その名前はカメラが回っている場では口にはしないし、親の名前だって口にしない。なのに、カメラが回っている際にバンバン、容疑者とウワサされる未成年やその親の名前を連呼しているのは違うでしょと思った。それに、普通なら自宅周辺は全部ボカすし、親の声だって加工することが多いと思う。

それから、警察が何度も容疑者扱いされた未成年の家にやってきているのに、この未成年の部屋を全然、捜索していなかったのは謎。親がこの未成年の部屋を何気なく捜索していたら無実の証拠が見つかったってのはおかしいでしょ!

あと、息子を加害者扱いし、自分に対しても酷い仕打ちをした連中に対して、父親があっさり許すのも偽善のかたまりでしかないと思う。

 

まぁ、堤幸彦作品だから、ツッコミどころだらけなのは当然といえば、当然なんだけれどね…。

 

ところで、本作って、監督:堤幸彦、主演:堤真一のW堤映画だったんだな…。

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