自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

まつもと泉氏追悼

本来なら訃報を知った当日に書くべきだったが、遅れてしまったのは多分、自分でも分からないくらい、「きまぐれオレンジ☆ロード」という作品に影響されていたんだろうなと思う。

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小学生の頃は何となく父親が買ってきた「週刊少年ジャンプ」を読んでいたけれど、いつの間にか、読まなくなっていた。

それが再び読むようになり、父親が買ってくるよりはやく読みたいから自分でも買うようになったのは「きまオレ」が目当てだったような気がする。単行本でいうと、4巻か5巻が出たくらいの頃なのかな?

1985年に発表されたジャンプのイベント用のスペシャルアニメはなかなか見る機会が訪れなかったが、それでも、サントラ盤ははやくに買っていたから、多分、85年の時点ではハマっていたんだと思う。

そして、やっと日比谷公会堂で本作を見られた時はかなり興奮した記憶がある。

何故か帰りは亀戸で下車した後、東武に乗り換えずに家まで歩いて帰ったんだよな。記憶が正しければ、同級生と妹が一緒だったような気がする。

もしかすると、今でいうところのオタバレを同級生や妹にも堂々としていたということなのかな?

 

それから、映画誌「スクリーン」の読書投稿欄によく、映画のパロディネタが掲載されていたんだけれども、そのページにミュージカル映画コーラスライン」のキャッチコピー“史上最高のムービー・イベント”というのをパロって、「ローカルライン」“史上最高の廃線イベント”(今でいう鉄オタでもあったのかな…)というのを檜山ひかる風のキャラで描いて投稿したのが何故か採用されてしまったことも思い出した。採用されたはいいが、その時点でも、つまらないネタだし、キャラはパクリだし、申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、今、振り返って見ても、恥ずかしい気持ちであふれている。

 

さらに、中学の時の美術の課題か何かで、ポスターを描くことになったんだけれど、何故か、鮎川まどかターミネーターを合体させたようなキャラを描き、薬物使用をやめようと訴える意味不明なものを提出してしまったんだよな。当然、通信簿では3しかもらえなかったが。まぁ、当時は実技系科目は、英国数理社の成績が良い者は、悪い者を受験で救うために、本来の段階より一つ二つ下げられるというのが当たり前に行われていたので、この意味不明なポスターが成績を下げられた理由ではないとは思うが。

 

そして、1987年にテレビアニメが放送されたが、今思うと、月曜日の夜って、すごかったな…。「シティーハンター」と「きまオレ」(いずれもジャンプ作品)が続けて放送されていたんだからな…。

まぁ、「きまオレ」テレビアニメ放送時の思い出というと、祖母が体調を崩した日に、きまオレを見ながら、夕食の準備を自分がしたことしか覚えていないけれどね。しかも、きゅうりを切ったことは覚えているが、それ以外は何をやったか記憶にはない。

 

でも、連載が終了し、テレビアニメも終了すると、一気に熱はさめてしまったんだよな…。88年の劇場版もテレビ放送されるまで見なかったしね。何故か、89年のOVAをまとめてオムニバス作品のように公開したやつは、タダ券もあったので映画館で見たけれどね。

 

それにしても、今思うと、「きまオレ」って、色々な漫画、アニメ 、ラノベなどに影響を与えたよね…。

 

ブコメ作品でよくある、冴えない主人公が色々な女子と関わる、いわゆる“ハーレムもの”の元祖だろうし、ラブコメにはかかせないツンデレのヒロインというのも、「きまオレ」のまどかが原型になっていると思う。

それから、主人公が複数の女子の間で迷う“優柔不断”キャラというのも本作が雛形だろうなと思う。そして、日常ではほとんど耳にしない“不純異性交遊”なんていう言葉が学園系ラブコメで定着したのも本作のおかげかもしれない。

 

アニメ化された時期でいえば、00年代初頭の「ラブひな」、10年代の「ニセコイ」、「冴えない彼女の育てかた」、20年代の「彼女、お借りします」等々、様々なディケイドの作品に影響を与えてきたような気がする。

「かのかり」で主人公がツンデレの千鶴が本命なのに、健気でちょっとウザい瑠夏との関係を捨てることができないってのは、まさに「きまオレ」における春日恭介とまどか、ひかるの関係だしね。

そういえば、普通に「かのかり」と書いてしまったが、「彼女、お借りします」が「かのかり」になったり、「冴えない彼女の育てかた」が「冴えカノ」になったりと、この手の作品では、かな読み4文字略称にするのが定着しているが(最近は実写ドラマでもやっている)、「きまオレ」はそういう4文字略称の先駆けでもあるような気がする。

 

それから、忘れてはいけないのが、「きまオレ」はSF作品でもあるということ。主人公一家は超能力一家でもあるし、作中にタイムスリップの話とかも出てくるしね。そういう意味でいえば、学園の日常生活とSFが融合し、様々なタイプの女子が出てくるという共通点を持つ「涼宮ハルヒの憂鬱」も影響下にある作品なのかもしれない。

 

とりあえず、階段をのぼる時は段数を数えてしまいたくなる、今日この頃です。

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