自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

みをつくし料理帖

その気になればいくらでも続編が作れる終わり方なので、そんなに高評価はできないとは思う。でも、角川映画時代も含めた角川春樹が関わった映画の中では最高傑作の部類に入るのではないかなとも思った。

そして、冒頭のシーンにフイルムのリーダーが流れたり、エンド・クレジットに流れる料理の数々がフィルムのフレームで彩られたり、最後はフィルム映写音のノイズで終わったりってのは、大林宣彦的というか、昔の角川映画的だなと思った。エンド・クレジットの合間に出てくるおまけのシーンのちゃちい合成も大林宣彦的というか昔の角川映画的だった。

角川映画的といえば、薬師丸ひろ子滝沢馬琴をモデルとした人物の妻役で出てくるのが面白かった。「里見八犬伝」ネタかな?

それから、渡辺典子も出てきたのには驚いた。というか、角川映画のアイドルだった頃からイメージ変わっていないな…。最近は出演作品が少なかったのに、出てきた瞬間、“渡辺典子だ!”って分かったからな…。

角川映画つながりでいえば、主題歌の作詞・作曲をユーミンが担当しているのもそうかな。原田知世が歌った「時をかける少女」の同名主題歌とか、自身が歌った「ねらわれた学園」の主題歌「守ってあげたい」とかあるしね。

 

それにしても、角川映画ってどこまでが角川映画なのか分からなくてなってしまったよな…。角川春樹が逮捕されて以降の角川映画も、角川春樹がその後、角川映画とは別に行っている映画製作も世間が持つ角川映画のイメージとは違うしね…。

現在の角川映画に関しては、ラインアップを見ても実写・アニメ問わず、角川春樹時代とは別物って感じだし、旧大映や旧ヘラルド作品も今は角川映画になっているし、洋画の配給もしているからね…。

まぁ、世間一般的な角川映画のイメージって、金かけている割には内容のない作品か、プログラム・ピクチャー的な2本立て作品が多く、冷静に考えると名作・傑作と呼べる作品って、ごくわずかだったんだよな…。洋画好きに邦画が嫌われる最大の要因とも言えるのが、製作委員会方式の映画製作だけれど、その雛型を作ったのが角川映画でもあるんだよな。そして、本作は角川映画出身者というか、角川映画の礎を築いた人間がメガホンをとっていることもあり、製作委員会に名を連ねている企業の数が通常よりも遥かに多い…。

 

とりあえず、本作を見て思ったことは、奈緒に下の名前を呼び捨てされたいということだった。年下女子に下の名前で呼び捨てにされることに興味を持ったきっかけは多分、「ラブひな」だと思うが。

そういえば、予告では松本穂香演じる主人公と奈緒演じる幼なじみの花魁は対立しているように見えたが、本編を見ると全然違うな…。こういう予告編詐欺やめてほしい…。

そして思った。松本穂香って、時代ものが合うな。現代ものより可愛く感じる。

それにしても、松本穂香奈緒がメインキャラなのに、自分より若い観客ほとんどいなかったな…。

 

f:id:takaoharada:20201017195523j:plain