自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来(日本語吹替版)

普段、自分は吹替版で映画を見ない主義だ。最近はあまりそういう仕事は来ないが、仕事の都合でどうしても吹替版で見なくてはいけない時は見るけれど、自腹で映画館へ行った時はまず吹替版で見ることはない。

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」が地上波で放送された時には吹替版で見ることはあるかもしれないが。あと、「アナと雪の女王」シリーズは例外的に吹替版キャストの演技も歌も好きなので、短編も含めて、これまでに劇場公開された4作品は全て字幕版と吹替版の両方で見たが、それくらいだ。

日本劇場公開が吹替版のみの作品の場合は大抵、見るのをあきらめている。

 

でも、今回は“これは映画史的にも見ておいた方がいい”という直感に突き動かされ、超例外的に吹替版で見ることにした。

去年の字幕版公開時から、この「羅小黒戦記」という作品の存在は知っていたけれど、上映回数も少ないし、同時期に他に見たい作品も多かった。特に去年の秋は海外アニメーション映画の公開が相次いでいたので、自分からすると、この作品の字幕版は海外アニメーション枠では後回しになってしまっていたのが本音だった。でも、見ておけば良かったと後悔している。

 

そして、吹替版という形で本作を見たが、最大の感想はアニメということもあるが、全く外国映画を見ているという感じがしないというものだった。

ディズニー・ピクサーなどの英語圏アニメーション映画を吹替版で見た時は、聞こえてくる台詞は日本語でも、そして、ディズニー・ピクサー作品は劇中に出てくる文字も日本語に直したりしているにもかかわらず、外国映画を見ている感は抜けることはなかった。

また、近隣のアジアの国や地域の実写映画を見た時には、親近感を抱いても聞こえてくる台詞が外国語なので、どうしても、外国映画を見ていることを意識せずにはいられなかった。

 

でも、本作は吹替版で見るアニメだから、全然、そういうのがないんだよね。

まぁ、絵柄やストーリーが日本のアニメに近いってのもあるのかもしれないけれどね。

 

そして思った。日中、日韓、日朝、中韓、中台、南北など、東アジア地域内で様々な対立があるけれど、結局、同じ文化圏なんだなと。対立しているのって、単なる同族嫌悪みたいなヤツなんだろうなと改めて思った。

 

それにしても、中国でもアニメ映画って日本同様、冒頭に配給会社や製作会社のロゴがたくさん出てくるんだなと思った。

 

それから、本作では、オリジナルのエンド・クレジットが流れた後に吹替版のスタッフ・ロールが流れるけれど、そこでかかっている吹替版主題歌のクレジットを見て驚いた。ジャム&ルイスがプロデュースしてんのかよ!いかにも、声優やアニソン歌手でないアーティストが歌ったアニメ映画の主題歌って感じの曲なのに、ジャム&ルイスなんだってのがビックリだった。さらに、外国映画なのにエンド・クレジットの終わりにマルシーと映倫マークが出るのもビックリ。この吹替版って邦画扱いなのか?

 

とりあえず、主人公の吹替を担当した花澤香菜はやっぱりすごいなと思った。そりゃ、ただでさえ数少ないおいしい枠を花澤香菜が次から次へと持っていくわけだと改めて実感した。

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