自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

魔女見習いをさがして

自分は「おジャ魔女どれみ」の熱心な視聴者ではなかったかもしれない。スタート当初は見ていなかったし、途中から見るようになってからも、いわゆるながら見で視聴する程度だった。この番組がスタートしたちょっと後くらいの時期から自分は帯番組のOAに毎日立ち会うというシフトに就くことになった。なので、毎週日曜日の夜には出社しなくてはいけなくなった。そのために、体力温存の観点からも、ある程度、日曜日の日中に寝ておく必要がある。最初の頃は夕方に3時間半くらい寝れば大丈夫かなと思っていたが、とてもではないが体がついていかなくなったので、13時くらいには寝るようになってしまった。それに合わせて日曜日の朝はいったん、6時までには起きて、その13時までの間は、食事を取りつつ、その合間でテレビやビデオを見て過ごすことが多かった。そういう生活になった流れで「おジャ魔女どれみ」を目にする機会が増えるようになった。ちょうど、朝食後くらいの放送時間だったので、ダラダラと新聞を読んだり、食事の後片付けをしたりしながら見ることが多かった。まぁ、その当時の担当番組に就いていた学生バイトがオタクだったので(自分もその一員だけれど)、会話にこの番組の名前が出ることもあったので、とりあえず見てみるかという所もあったのかも知れない。オタクはこういう本来は女児向けのアニメを好みやすい傾向にあるからね…。そして、ながら見ではあるものの、何だかんだ言って自分も楽しむようになり、関連CDを買ったりもするようになってしまったんだよな…。「おジャ魔女音頭でハッピッピ」なんて、タイトルもめちゃくちゃだけれど、ハマる曲だしね…。

 

そんな「おジャ魔女どれみ」の20周年(というか、99年スタートだから21周年だろ!コロナの影響で公開延期になったけれど、元々の公開予定も今年の5月だったんだから、やっぱり21周年だし…。本当、何周年とか何年目とかの数え方ってデタラメなのが多いよね。報道関係者でも間違っている連中多いし…)を記念した作品なのに、何故、メタ構造の作品なの?というのが本作を見た人の多くが抱く疑問だと思う。

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20年前を知る人に、あの頃の気持ちを思い出してもらいたいから、「おジャ魔女どれみ」好きの女性の話にしたってこと?確かに今更、過去作の続きやリメイク、リブート、プリクエル、スピンオフの類をやられてもねという気持ちも分からないではないが。でも、だったら、その女性3人組をリアルタイム世代のアラサーのトリオにはせず、1人だけをアラサーにし、残りは女子大生と10代女子(作中で成人になるが)という設定にしたのか理解に苦しむ。まぁ、リアルタイム世代だけではなく、再放送やDVD・ブルーレイ、配信などで後追いしてファンになった人も多いんだよ。決して、過去の遺物じゃないんだよということをアピールしたいという東映の大人の事情なんだろうが。

 

そして、この3人組のキャラ設定が失笑したくなるほど、ステレオタイプというかテンプレというか、そういう感じなんだよね。

他人への配慮に欠け、言いたいことを言うために嫌われる帰国子女。

地味で遠慮がちなメガネっ娘だけれど、メガネを取ると可愛い娘。

健気で可愛いけれど男運が悪く、彼氏がヒモになるのを許す娘。

いつの時代の設定だよって感じ。シリーズが放送中だった90年代末から00年代初頭ならまだしも、2020年にそれはないでしょって感じはする。まぁ、一応、3人ともそのステレオタイプというかテンプレというかといった感じの設定の呪縛から最終的には抜けられるのは救いではあるが。

 

ただ、細かいことを言わせてもらうと、その3人組の1人は教育実習生として小学校で教えたりしているのに、小学生を生徒と呼ぶのはダメでしょ。子どもの発達障害を理解できないとか、そういう話以前の問題でしょ。小学生は生徒ではなく児童だということを知らない人間は先生になる資格はないよ。

こういう細かいことを言うと、マスコミ関係の人間でも、「そんな細かいことは気にするな。面白ければいいだろ」って言ってくるのがいるんだよね。特に女性。よく、そんなのでニュース原稿を書いていたね、あんた?って言いたくなるけれどね。まぁ、そういう細かいことを気にしない女性観客に向けた作品なんだろうね。

 

それはさておき、3人組のボイスキャストだが、予告編を見た時点では、本職でない人が声優を務めるとブーブー文句を言うオタク連中に酷評されても仕方ないかなと思ったが(声優がアニメ声で歌った楽曲をCDで出し、その楽曲を披露するコンサートを開くのは許すのに、非本業声優を叩くオタクは矛盾もいいところだと思う!)、実際に本編を見ると、結構、良かったと思う。

松井玲奈は、朝ドラ「エール」などでも評価されている演技を声優演技でも見せてくれたと思うし、森川葵は多分、前情報がなければ彼女が演じていると気付かない人も多いのではと思った。そして、ももクロ百田夏菜子は予告ではヘタクソに聞こえたが、本編ではかなり可愛らしい感じが出ていたと思う。

 

ももクロといえば、本作には百田夏菜子が出演し、同じ東映の「セーラームーン」の新作映画ではももクロが主題歌を担当している。「おジャ魔女どれみ」のコアなファン層はアラサー、「セーラームーン」はアラフォーなのに、どちらも、ももクロが絡んでいるんだなと、ふと思った。それだけ、ももクロのファン層は広いってことなのかな?まぁ、他のアイドルグループよりも、アニメに絡んでも叩かれにくいってのはあるかも知れないかな…。

 

ところで、本作でも両方出てきたけれど、「おジャ魔女どれみ」の略称って、「おジャ魔女」なの?それとも、「どれみ」なの?自分は「おジャ魔女」派だったが。

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