自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

さくら

原作は読んでいないので何とも言えないが、原作を忠実に映画化した作品だったとしたら、スタッフ・キャストは“本作が酷いのは原作のせい”と言い逃れできるほど酷い映画だった。

 

まず一番酷いのは、タイトルが主人公一家の愛犬の名前から取られているにも関わらず、その“さくら”の登場シーンをほとんどカットしても話が成立するということ。というか、“さくら”が体調不良になったことにより、バラバラになっていた家族が本音をさらけ出し、一致団結したというオチにするために犬が利用されているだけなので、おそらく犬映画だと思って見た犬好きの人は心底ガッカリするのではないかと思った。

 

一方で俳優陣の演技は良かったと思う。登場人物の誰にも共感できないというのは、それだけ、演じた俳優の演技が良かったということなのだろう。まぁ、永瀬正敏にしろ寺島しのぶにしろ、年齢以上におじさん、おばさんになったように見えるなとは思ったけれど。

それはさておき、そんな共感できない人物だらけの中でも、さらにイラつきや怒りを覚えたのが小松菜奈が演じる妹(3番目の子ども)だった。

極度のブラコンというか、近親相姦的恋愛感情を一番上の兄に対して抱いているのは明らかで、その恋心から来る嫉妬のために、この妹は長兄やその彼女の恋路を妨害することになる。そして、彼女との仲がうまくいかなくなったことによって精神が病んだ長兄は事故に巻き込まれて障害者になり、さらに精神を病んで自殺することになるわけだから、そのきっかけを作った妹に共感なんてできるわけがない。

また、この妹は2番目の兄を下の名前の呼び捨てで呼んでいる。日本では、双子でもない限り、兄や姉を下の名前の呼び捨てで呼ぶことは滅多にない。しかも、この妹は長兄に対しては、ちゃんと“お兄ちゃん”と呼んでいるのに、2番目の兄に対してのみ、呼び捨てにしている。2人とも呼び捨てとか、○○兄ちゃんみたいな呼び方なら違和感ないが、1人だけ呼び捨てにしているというのは兄扱いしていない。というか、恋心を抱いている長兄よりも格下。さらにいえば、自分よりも格下と思っているということなんだろうなと推測できる。

 

それから、作中ではきちんと言及されていないが、場の空気を読まない行動を繰り広げるこの妹はおそらく、発達障害なんだろうと思う。でも、その設定が活かされているようには到底思えない。行き当たりばったりの展開をゴマかすために障害を抱えた人物を配置したと批判されても仕方ないレベルだと思う。

 

原作を読んでいないし、作中でも明言されていないので、本作の時代設定はよく分からない。スマホや地デジも出てこない。かといって、ガラケーやブラウン管も出てこない。これが、はっきりと80年代とか90年代の話として描かれているのであれば、身体障害は苦痛だから自殺するとか、精神障害を抱えた人間は自分勝手とかいう描写は当時の空気感を再現したということで容認できるのだが、現在の話とも取れる作品では、容認できないと思う。また、オカマとかレズという偏見に満ちた言葉が安易に使われているのも同様。もう少し、ポリコレ意識を持つべきだと思う。ハリウッドみたいに偏りすぎたアンチ・トランプの思いを具現化したパラレル・ワールドみたいなのはやり過ぎだが、日本映画は少しは、そういう意識を持った方がいいと思う。まぁ、日本の映画人というのは低賃金の長時間拘束が当たり前で、映画以外のことに興味を持つ金も時間もないから、何十年も前で社会的な意識がストップしているんだろうね。

 

でも、本作の小松菜、可愛いんだよな…。いつまで経っても幼稚性が抜けないキャラクターということで、ずっと部屋着のような格好で出ていたので、そういうロリ属性が好きな人にはたまらないだろうね。家にいる時は太股を見せているし、胸の谷間が気になるシーンもある。そして、学校にいる時はセーラー服だし、まぁ、下手なAVよりも興奮するという人もいるかもしれない。

 

AVといえば、小松菜が中途半端に放○(失○)するシーンとか、おなじく中途半端に自○するシーンもあるし、さらには、手で犬の排泄物を受け取るスカ○ロシーンまである。何なんだ、この映画は?

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