タイトル、拒絶
上半身はブラジャーだけ。でも下はスカートをはいているという、私のような変態にはたまらない格好で伊藤沙莉が「ポン引・街娼禁止」の看板の前に突っ立っているビジュアルを見た瞬間から“見たい!”と思っていた作品がやっと一般公開されたので鑑賞した。
看板の雰囲気から赤線時代の話なのかと思ったりもしたが、どうやら現代の話らしい。そして、舞台ははっきりとは明言されていないが、映されている風景を見ると鶯谷のようだ。
鶯谷は世間一般的には、山手線の駅の中で“影の薄い駅”ランキングで1位に選ばれるほど知られていない駅だが、ある方面に精通している人にとっては都内有数のエリアでもある。
そう、デリヘルなど風俗が盛んな町(街より町の方がしっくりくるかな)で、立ち○ぼ(外国人だけではなくニューハーフもいる)もいまだに存在するらしい。なので、そういう“産業”の需要に合わせて、一大ラブホ街としても有名だったりする。
そんな聖地(性地と表記した方がいいかな)を舞台にしているということなので、嫌でも期待度は高まっていた。
そして、上映開始前に場内を見渡したところ、イケメン俳優出演系映画でもないのに女性客が多かったことを思い出した。もしかすると彼女たちは風俗嬢なのかな?それだけ、リアリティ溢れる作品なのかなと、さらに期待値は上昇した。
確かに、鶯谷駅ホームから聞こえる列車の到着アナウンスが効果的にSEとして使われているのはリアルだと思った。でも、何か見ているうちに風俗に関する描写がテンプレ的・ステレオタイプ的に感じた。
監督・脚本は女性だから、客として風俗を利用した経験はないはず。勿論、こういう作品を作るにあたって風俗嬢や客、風俗店関係者からリサーチはしているとは思うが、何かひと昔前の風俗のイメージで止まっている気がするんだよね。
舞台となっているのはデリヘル店。勿論、店員と関係を持っている嬢や、店に内緒で客に裏オプを提示し本番行為を行っている嬢もいるだろうが、デリヘルは本番行為は禁止ということになっている。売春行為そのものが違法だしね。なのに、台詞ではやたらと、セックスという言葉が出てくる。素股やフェラ、手コキなども含めてセックスと呼んでいるというよりかは、デリヘルとひと昔前のホテトル(言うまでもなく犯罪行為の売春)の区別があまりついていないようにも感じた。
そして、その思いが確信となったのは、本編中に登場人物たちが見ているテレビに、制服風の衣装を着たアイドルが出てきた際に、そのキャラクターの1人が“制服風の衣装を着たアイドルは、そういう格好をさせる人たちも、そういう格好をしている人たちも嫌い”と言っていたことだった。
コレって、ひと昔前のフェミ的視点だと思うんだよね。確かに自分もAKB48が出てきた時は気持ち悪いと思った。「スカート、ひらり」とか「制服が邪魔をする」とか、いかにも、ロリコンのキモヲタが喜びそうな、少女を性の商品としたようなタイトルの曲を、制服風の衣装を着てパンチラまがいの振り付けでパフォーマンスしているわけだしね。だから、彼女たちに対しても、それをさせている大人たちにも、それを喜んでいるドルヲタに対しても、キモいという感情を抱いた。「ロマンス、イラネ」という曲を出した時は、“イラネェのはお前らだよ!”と思ったくらいだ。「ポニーテールとシュシュ」のMVにおけるメンバーたちの着替えシーンで、おっぱいなどが見えそうになると何かがその前に現れて見えなくなるみたいな演出も気持ち悪くて仕方なかった。
でも、その後、AKBの知名度が上がるとともに、そういうロリコン的パフォーマンスを受け入れられるようになってしまった。そして、自分だけではなく若い女子たちにも受け入れられるようになり、今では風俗嬢の中に多くのドルヲタやアニヲタが存在するようになっている。
ひと昔前の借金を返すためとか、仕事を失ったからとか、といったような浪花節的な理由で風俗嬢をやっている娘ばかりではなくなったんだよね。要はアイドルのイベントやコンサートに参加したりするための資金集めのために風俗嬢をやっている娘が増えた。そして、それに合わせて、それまでは風俗に興味を持たなかったドルヲタやアニヲタも客としてやってくるようになった。
さらに、そういう風俗シーンの変化に伴って風俗嬢のサービスも良くなった。ひと昔前は、金をためることだけが目的だから、とっとと客を抜かせてしまえばいいやみたいな考えの風俗嬢がかなりいたが(特に00年代後半から10年代初頭)、今は嬢も客も一緒になって、イチャイチャしながら、アイドルやアニメの話で盛り上がるようになっているんだよね。
フェミ的視点の人だと、風俗嬢もアイドルも男社会の性的被害者みたいなイメージしかないのだろうが、今はそうではないんだよね。風俗嬢はアイドル好きでヲタ活を楽しむために風俗をやっているのが多いというのが、この映画では描かれていなかった。おそらく、制作側のリサーチした情報はひと昔前のものだったのでは?
それはさておき、伊藤沙莉は風俗嬢(デリヘル嬢)になろうとしたが、客に触られたりキスされたりするのに耐えられなくて嬢になるのを断念したが、何故かスタッフとして風俗店で働くことにしたという、よく分からない人物を演じていたが、彼女みたいなタイプの風俗嬢とかメンズエステ嬢って、ハマりやすいんだよね。自分が気に入っているメンズエステ店の嬢って、見た目が彼女みたいなタイプだもんな…。
ところで、伊藤沙莉といえば、ラブホを舞台にした「ホテルローヤル」も本作と同日に公開されたが、風俗・ラブホ絡みの作品に立て続けに起用されるってのはやっぱり、風俗嬢っぽいイメージがあるってことなのかな?
《追記》
そういえば、映画で資源ゴミ泥棒の描写が描かれたのって初めて見るような気がする。資源ゴミというのはゴミと呼ばれてはいるけれど、実際はリサイクル業者に買い取ってもらう“売り物”なわけで、それをゴミ収集場などから勝手に持ち去る行為というのは金品を盗むことと同じことだと思う。そして、リサイクル業者に買い取ってもらって得た収入というのは自治体の収入でもある。つまり、公金の横領でもある。また、微々たる額かもしれないが、その収入が減れば住民から徴収する住民税だって上がる。
だから、本来は役所も政治家も警察も血眼になって、こういう連中を取り締まらなくてはいけないはずなんだよね。でも、役所はリサイクルによる収入が減れば住民税を上げればいいくらいにしか考えていないし、政治家や警察はそんなのを取り締まっても自分の評価は上がらないから何もしない。そして、リベラル思想の連中は、ホームレスがゴミを金にかえて自立しようとしているんだから、その邪魔をするなという偽善的な態度を取っている。
本当、どいつもこいつも現実を知らない!
資源ゴミを盗んでいる連中はホームレスでも何でもないんだよ!単なる犯罪組織なんだよ!それに日本のホームレスと呼ばれている連中に純粋なホームレスはほとんどいない。大抵は、仕事したくない。税金を払いたくない。だから、ホームレスのフリをしているというような連中ばかりなんだよね。
結局、政治家にしろ、警察にしろ、リベラルにしろ、恵まれた環境の連中は、専業主婦の妻とかがゴミ捨てをしてくれるから、自分はゴミ捨ての現場なんて見たことないんだろうね。だから、何が問題か分からない。
それは、レジ袋有料化を進めてしまった政治家や、それに賛同した環境保護の連中にも言えることだけれどね。自分でゴミ捨てをしていたら、レジ袋がいかにゴミ捨てに活用されているか分かっているはずだしね。しかも、レジ袋が有料化されたことによって、直接、半透明のゴミ袋に生モノを入れる人が増えたから、それによって、ゴミ袋を漁るカラスも目立つようになってきたしね。結果として、ゴミ収集場の景観が悪化しているわけだし、何が環境保護だよって感じだよな。
まぁ、映画の中ではそういう連中の描写が出てきただけで、それ以上の問題提起とかはされていなかったけれどね。