自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

各年間チャートの結果で思うこと

Billboard YEAR-END CHARTS HOT 100 SONGS

 

そんなに驚きはない年間チャートだった。やはり、全米チャートの年間1位はザ・ウィークエンドの「ブラインディング・ライツ」だった。トップ5内滞在週数、トップ10内滞在週数の新記録を樹立したのだから、年間1位は予想通り。ロディ・リッチ「ザ・ボックス」やダベイビー feat. ロディ・リッチ「ロックスター」は首位獲得週数は長いけれど、トップ10内滞在週数はそんなに長くないから、この結果は妥当だと思う。

とりあえず、今回のグラミー賞では無視され、1部門にもノミネートされなかったザ・ウィークエンドだが、年間チャートでは報われたってところかな。

 

驚いた点をあえて挙げるとすれば、ハリー・スタイルズの年間トップ10入りかな。しかも、週間チャートで1位を獲得した「ウォーターメロン・シュガー」ではなく「アドア・ユー」の方が年間トップ10入りってことに驚いた。でも、長期ランクインしているから、冷静に考えれば納得なんだよね。それにしても、これまでワン・ダイレクション関連ってグループでもソロでも年間トップ10入りしたことなかったんだから、いかに固定ファンの組織票でヒットしていたかってのが分かるよな。要は「Dynamite」がリリースされる以前のBTSと一緒。つまり、ハリーはソロ2作目のアルバムでやっと、その組織票ヒットの枠組みから抜けられたってことなのかな。

 

それから、カントリー系が結構、ランクインしている。ビルボードの集計にダウンロードのセールスを加算するようになった時も、ストリーミングのポイントを加算するようになった時も、最初は保守的なリスナーが多いジャンルだから苦戦するんだけれど、そのシステムが定着すると、あっという間にヒット曲を増産するようになるのがカントリーって感じなんだよね。まぁ、地方というのは店舗も少ないから、よく考えたらフィジカルよりも、スマホやPCさえあれば、どこでも最新音楽を入手できるダウンロードやストリーミングってのは相性が良いんだよね。つまり、中高年のファンがそのシステムを理解するまでには時間がかかるかもしれないが、それに慣れれば、後はアクセスが一気に増えるだけって感じだしね。元々、使い捨てに近いメディアのカセットテープで人気のあったジャンルだから、まぁ、ストリーミングと感覚が近いのかも。

 

逆にフィジカル志向の強いロックは相変わらず苦戦。年間トップ10入りしているマルーン5はロック扱いされていないし、年間チャートに2曲を送り込んでいるビリー・アイリッシュもロックかと言われると考えてしまうし、年間トップ50内に入っている24kゴールデン feat. イアン・ディオールの「ムード」はロック・チャートでもヒットはしているものの正確にはラップだしね。まぁ、この曲、バンド・サウンドではないかもしれないが、バック・トラックはギター・リフみたいな感じなんだよね。だから、ラッパーのコラボ曲でもロック・チャートでヒットするってのは何となく分かるな。

 

ところで、ビルボードの年間チャートの集計期間って、以前は前年12月第1週からその年の11月最終週だったのが、今は前年11月下旬あたりからその年の11月中旬あたりに変更になったのって、毎年11月下旬にクリスマス・ソングがリエントリーするのが最近の恒例になっているからなのかな?そのおかげで、今年の年間チャートでは遂にマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」がランクインを果たせたしね。

 

2020年年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”

YOASOBI「夜に駆ける」の年間1位は納得。ただ、YOASOBI、この曲以降の楽曲が大きなヒットにはなっていないんだよね。「ハルジオン」、「群青」あたりはそこそこヒットしてはいるかもしれないが、すっかり「夜に駆ける」の影に隠れてしまった感もある。そして、同じ夜好性にくくられるアーティストであるヨルシカやずっと真夜中でいいのに。も人気が失速している気がする。ヨルシカやずとまよは、去年あたりからの人気ではあるが、一般への知名度が増したのはコロナ禍になってから。YOASOBIも含めた夜好性のアーティストは緊急事態宣言下のステイ・ホームによる内向的な気分で人気が出た部分もあるから、緊急事態宣言が解除され、エンタメがある程度再開されるようになると、需要が減るという部分もあるのかもしれないな。まぁ、「夜に駆ける」という楽曲だけは、エンタメが再開されても生き残ったけれど、それは、プロ・アマ問わず多くの人がこの楽曲をカバーしたことも影響しているような気もする。

 

ところで、Billboard JAPANの年間チャート、K-POPを除くと100位内に入った洋楽はたったの3曲しかないのか…。本当、洋楽って聞かれなくなったな…。

まぁ、洋楽を好きになるのって、親や兄、姉などの影響がなければ中2の頃ってのが多いと思うが、今はその時期に興味を持つ対象がK-POPになっているってことなんだろうな。

その数少ない3曲で最も順位の高いビリー・アイリッシュ「バッド・ガイ」はグラミー賞効果で日本では2020年度のヒットとなっているけれど、実際は去年のヒット曲だしね…。まぁ、本家のビルボードでもグラミー賞効果でロング・ヒットとなり、2年連続で年間チャート入りしているけれどね…。

そして、次がエド・シーラン「シェイプ・オブ・ユー」。えっ?って感じ。

2017年の曲がいまだに入っているんだからな…。邦楽でもいまだに2017年の「打上花火」や2018年の曲でも「マリーゴールド」、「Lemon」などが入っているし、去年のヒット曲で引き続き年間チャート入りしている曲も多数ある。

結局、日本人って、洋楽どころか、新しい音楽そのものにほとんど興味を持っていないんだろうなというのを実感する。

 

そして、洋楽ランクイン曲で唯一、今年の新曲であるのが、レディー・ガガアリアナ・グランデという普段洋楽を聞かない人でも何となく知っているアーティストのコラボ曲「レイン・オン・ミー」。とはいえ、ガガもアリアナも今年リリースしたアルバムが米国では好成績をあげているものの、日本では過去作品と比べると大幅にセールスを落としているから、本当に洋楽は大不振と言わざるをえない。相変わらず、ガガやアリアナが人気なのはTOKIO HOT 100などラジオ系のチャートだけで、フィジカルにしろストリーミングにしろ、かつてほどは売れていないしね。

 

米国の年間1位、ザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」はステイ・ホーム中の自宅エクササイズのサウンドトラックとして世界的大ヒットとなったけれど、日本でのリアクションは低く、Billboard JAPANの年間チャート入りはできなかった。本当、洋楽人気って、年々落ちているなと改めた実感した。

 

 

タワーレコード「2020ベストセラーズ

●洋楽アルバム TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

 タワレコの洋楽年間トップ10全部持っていた。なんだかんだ言って洋楽好きは変わらないんだな…。というか、年間チャートをトップ10までしか発表しないほど洋楽って売れなくなったんだな…。上半期は20位まで発表していたのに…。

 

●邦楽アルバム TOP20 - TOWER RECORDS ONLINE

 11枚持っていた。でも、自分が買う邦楽作品はタワレコでは売れないんだなというのを実感。

 

●邦楽シングル TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

半分持っていたが(全部ジャニーズ)、ここでは何故か買ってしまった1位の作品、Snow Man/SixTONES「D.D./Imitation Rain」について一言。レコード会社の違う両者の曲を両A面として、それぞれのレコード会社から出し、その売り上げを合算してリリースするってのは、握手券などイベント参加券or応募券つき、総選挙などの投票券つき、アートワークやカップリングの内容が異なる複数バージョン販売以上に汚いやり方だと思うんだけれどな…。それで年間1位と言われてもね…。でも、それ以上に腹立つのがSixTONESって名前だよね。“ストーンズ”って検索すると、こっちばかり出てくるんだからね。普通は間もなく結成60年となるザ・ローリング・ストーンズの略称と同じグループ名なんてつけないよ!ロック界で転がり続けるレジェンドに対するリスペクトがないよね。ジャニーズ事務所にしろ、ジャニオタにしろ、これを容認している日本の芸能界・マスコミにしろね。

なので、腹が立つので、SixTONESの2nd以降のシングルは買っていない。でも、Snow Manは2ndシングルを買ってしまった。というか、SixTONESよりSnow Manの方が人気あるような気がするな…。

 

それはさておき、こうやってタワレコの年間チャートを見ると女子ファンの多いアーティストばかりだな。元々、秋元系アイドルは握手会参加のための劇場盤購入者が多く、CDショップでの売り上げは高くないと言われていて、タワレコの年間チャートでは例年、オリコンビルボードのセールスチャートほどの成績を上げることはできないのが実情だが、今年はコロナの影響で秋元系アイドルのリリースが減ったから、尚更、その感は高まった気がするな。まぁ、ジャニーズもファンに複数買いさせているという点では同じだから、どっちも音楽を売っているとは言えないんだけれどね…。

 

K-POP国内アルバム TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

 持っているのは4枚だった。

 

●JAZZ TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

半分持っていた。

 

●クラシック TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

 1位(ジョン・ウィリアムズ(指揮)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/アンネ=ゾフィー・ムター(Vn)「ライヴ・イン・ウィーン デジパック版」)しか持っていない…。

 昔からタワレコの年間クラシックチャートとは相性悪いからな…。

 

●アニメ総合 TOP10 - TOWER RECORDS ONLINE

 自分のフィジカル出費のおよそ半分はアニソン系なのに、この中で持っているのはたったの2作(どちらもLiSA)。アニソン系は腐女子受けするものが売れているってことがよく分かる。そして、それは自分の苦手分野でもある。

アニソンもジャニーズ同様、女子ファンの購入で支えられているってことが明らかだ。

そういえば、風俗嬢やメンズエステ嬢って、アニオタや女子アイドル好き、ジャニオタが多いが、彼女たちって、その資金集めのために風俗とかをやっているんだろうなと、ふと思ってしまった…。結局、ホストに貢ぐかアニメやアイドル、ジャニーズに貢ぐかの違いって感じなのかな…。

 

 

f:id:takaoharada:20201205195058j:plain