自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ワンダーウーマン 1984

グランドシネマサンシャインで鑑賞。

回線が重い時のYouTubeとか、大人数でリモート会議中のZoomやMeetみたいな画質だった。米国ではまだ公開されていないので、データのダウンロードがきちんとされていないうちに日本公開が始まってしまったのだろうかと思ったりもした。

なので、劇場スタッフにクレーム付けて払い戻ししてもらい、後日、鑑賞し直そうかなという気持ちも起きたりもした。

 

しかし、いかんせんつまらない…。コレをもう一度、頭から退場したシーンまで見直すのは拷問だし、しかも、上映時間も約2時間半と長い。なので、断念して、最後まで見ることにした。

 

前作はアカデミー作品賞にノミネートされてもおかしくない作品だと思うくらい、個人的には評価していた。賞レースに関われないのは女性監督差別だと言われても仕方ないかなという部分も確かにあった。

しかし、前作の公開直後にワーナー映画と関係の深いブレット・ラトナー監督のセクハラ問題が明らかになり、主演のガル・ガドットがラトナー監督との関係をワーナーが切らなければ、続編は作らないと言い出した辺りから、おかしな方向に行ってしまったような気がする。

トランプ憎しの思いで、本当、この4年間の米エンタメ界は偏ったポリコレを展開し、映画や音楽、演劇をつまらなくしてしまったからね。

 

そして、続編を女性による女性のための映画として作った結果、非常につまらない作品になってしまったって感じかな。

こうした意見に対して女性差別と思う人もいるかもしれないが、やっぱり、女性クリエイターって男と違って、“ヤオイ”的作品が多いんだよね。

そのシーンのみ、その台詞のみを取って評価すれば素晴らしいかもしれないが、作品全体で見ると、ヤマなし・オチなし・イミなしの“ヤオイ”になりがちなんだよね。

本作鑑賞日に同じく女性監督作品である邦画の「私をくいとめて」も見たが、やっぱり、女性監督って、男の監督と比べて、その傾向が強いなと思った。

 

そのシーンのみ、その台詞のみでは良いと思っても、前後のシーンや台詞、作品全体と見比べると全然、整合性が取れていないんだよね。というか、本作は同じ監督なのにシリーズ前作とも取れていない。

 

まず、続編ものなんだから、前作同様、主人公の幼少時代を出す必要がないと思うのに、改めて出しているのが蛇足。そのせいで約2時間半の長尺になってしまっているわけだしね。

 

しかも、この幼少時代エピソードで“不正はダメ”というメッセージを送り込んだにもかかわらず、1984年の世界でワンダーウーマンは、自分の姿を知られないために、ショッピングモールの監視カメラを破壊したりしているし、警察官に犯人を突き出す際にも自分の姿を見られたくないから、犯人をパトカーの上に落としてパトカーを破壊したりしている。

 

そして、男の犯罪者には容赦なく攻撃するくせに、万引きした女子グループは見逃しているのも意味不明。男は徹底的にこらしめるが、女性の不正は見逃すってのは理解できない。

まるで、元をただせば犯罪者なのに、その犯罪を取り締まる警察官が厳しく罰したために、その犯罪者が亡くなってしまい、その犯罪者が黒人であったために黒人差別だとされてしまい、デモという名の暴動まがいの活動が行われてしまうBlack Lives Matterみたいだ。

 

かと思えば、ワンダーウーマンの職場にやってきた冴えない女性を悪役の手先にしてしまったりするし、しかも、その悪役は移民系だったりする。結局、イケてない女性や移民系は出しゃばるなってことなの?女性などに対する差別をなくそうと訴える作品のテーマや主演女優の主張と矛盾しているよね。

 

そして、この悪役、どう見ても、トランプを意識しているでしょ!ルックスやビジネスマンという設定等々見ても、それは明らか。まぁ、リベラル思想の連中はその点だけで喜んで、本作を評価しそうだよね。実際、日本でもトランプ政権批判が好きな連中は、本作を高評価しているようだしね。

 

つまり、偏ったポリコレを何の間違いもないと信じ切っている連中には傑作なんだろうが、そう思えない人々からすれば、かつてないほどの駄作って感じかな。個人的には、「ダークナイト」以降のワーナー作品として公開されたDC映画では一番のクソ映画だと思う。

 

米国では映画館の営業が再開されていないNYやLAを無視して、一部地区での劇場公開を無理してでも2020年のうちにしたかったのは悪役がトランプ風の人物だったからなんだろうね。バイデン政権になってしまう来年ではトランプを悪役にした映画なんて賞味期限切れになってしまうしね。

 

というか、元々、本作は2019年公開予定だったからね。1984年から35年の節目の年の2019年に公開したかったのが諸事情で今年に延期されたが、今度はコロナでまた年内で何度も延期されたって感じだったからね。

 

それから、1984年を舞台にしたということだし、スタッフ・キャストは80年代のヒット作を意識して作ったと言っているが、どこが?って感じだった。上映開始早々、主人公の幼少時代の話が延々と繰り広げられるんだから、80年代感を抱けと言われても無理だよね。その後のショッピングモールのシーンと、悪役の暴走の背景に冷戦があるというのが80年代っぽいだけで、予告編であったような80'sテイストは全然なかった。まぁ、新しい予告編では、そうした要素がなくなっていたので、まぁ、期待はしていなかったけれどね。

 

それにしても、以前の予告ではニュー・オーダーの「ブルー・マンデー」がカッコよく使われていて、期待を煽っていたのに、本編では使われていなかたし、それどころか、作品自体に全然、80年代感がなかったよな…。まぁ、「ブルー・マンデー」は84年ではなく83年のリリースなんですけれどね…。その辺のディテールのいい加減なところも、女性クリエイター作品って感じはするかな。

 

ところで、本作を鑑賞した劇場では、CM・予告編タイムに流れた予告編はこの作品と同じワーナー映画のものばかりだった。しかし、「トムとジェリー」以外は全て邦画として作られたワーナー作品だったのには驚いた。ワーナーは日本においては、米国映画の会社というよりかは日本映画の会社と言っていいレベルになっているような気がするな。

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