約束のネバーランド

実写版「約ネバ」を鑑賞。結論から言うと、想像していたものよりも遥かに見られる映画になっていた。勿論、日本人俳優がアジア系の顔のまま、欧米人風の外国人を演じているので、コスプレ学芸会にしか見えないし、メインの3人組のうちの1人の演技は酷すぎる。でも、全体としては、そんなに悪くはなかった。

アニメやコミックの実写化映画化作品は多くのものが酷評されている。

「るろうに剣心」シリーズや「銀魂」シリーズのように全体的に評価が高い作品は滅多にない。中には、「今日から俺は!!」のように映画マニアや原作ファンからは批判されていても、一般には受けている作品もあるが、でも、圧倒的多数の実写化作品は、映画マニアにも原作やアニメ版のファンにも一般にも酷評されているものが多い。

原作にない設定を加えてしまう、いわゆる原作レイプに対する嫌悪感というものが最大の要因だとは思うが、それと同じくらい批判の対象となるのが、外国人と思われるキャラクターを日本人が演じることだと思う。

「キングダム」のように中国人キャラなら日本人俳優が演じても違和感は少ないかもしれないが、やっぱり、欧米人と思われるキャラクターを日本人が演じると学芸会にしか見えないんだよね。「進撃の巨人」の実写版が酷評された最大の要因はコレに尽きると思うしね。

顔を出さないアニメや、元々、想像力を駆使して見ることが前提の演劇なら、日本人が欧米人を演じていても気にならないが、実写作品だと、やっぱり、ビジュアルとして見えているものが優先されるからね。しかも、ハリウッド映画みたいに金をかけた特殊メイクやCG、VFXを駆使していれば、それもアリかもしれないが、邦画ではそこまでの金も時間もないから、そりゃ、学芸会にしか見えないよねって感じかな…。

もっとも、一応、主人公は日本人ということになっている「ルパン三世」の実写版も酷かったし、日本人が日本で展開する話のはずの「ジョジョの奇妙な冒険」も海外で撮影したことによって、不自然な感じになってしまったし、学園系に関しては完全にドメスティックな話なのに、原作やアニメに出てくる制服や衣装を生身の人間が着た途端、風俗やAVのコスプレみたいになってしまうから、やっぱり、日本映画の金や予算のなさがクオリティの低さにつながっているんだろうなとは思う。マーベルやDC原作のハリウッド製アメコミ映画は学芸会には見えないしね。

本作に関していえば、予告編やポスターなどを見た時点で、“原作レイプ”感も、“コスプレ学芸会”感も強かった。

前者でいえば、原作では孤児院に在籍する子どもたちは12歳までという設定が16歳に引き上げられていた。コレは、子役のみだと客が呼べない。特に日本の映画観客動員数を支配する10〜20代の女性観客を呼べないし、子役のみのキャスティングではワイドショーやスポーツ紙といった芸能メディアが飛びついてくれない。そういう配慮なのだろうが、でも、若手人気俳優を出すために作品の設定を変えるのはダメでしょと思う。しかも、メインの3人組のうちの1人の演技は呆れるほど酷いしね。

まぁ、北川景子と渡辺直美は良かったと思うけれどね。北川景子は普段は酷評される無表情演技がこの役柄には合っていたし、渡辺直美に関しては原作のイメージからもそんなに乖離していないとは思う。人種は違うけれどね。

ただ、メインの3人と彼らをサポートする年長組2人以外は普通に子役だったんだから、本当、中途半端なんだよな…。

それから後者に関しても中途半端。主要キャラを日本人俳優に演じさせておきながら、その他大勢の孤児院の子どもの中には白人や黒人の子役もいるんだよな。だったら、メインどころも日本語の分かる外国人に出演させればいいのではって思うんだよね。

つまり、日本の映画観客ってのは、作品の内容ではなく、イケメンが出ているから、可愛い娘が出ているから、それが最大の鑑賞理由になっている人が多いってことなんだろうね。まぁ、自分も若手女優主演の邦画に関してはそうした鑑賞理由のものが多いから文句は言えないんだけれどね…。

ところで、「約ネバ」という略称だが、ちょっと前までは「ネバラン」って言う人が多かったよね？いつの間に変わったんだろうか？

あと、“THE PROMISED NEVERLAND”という英語表記を見て気づいたが、“PROMISED LAND”＝約束の地という聖書でおなじみの言葉から来ていたのか…。

でも、約束のネバーランドって表記だと、約束の地が元ネタだとは気づかない人も多そうだよね…。

何気に「約ネバ」って何も考えずに権力側を支持している人たちに対して、それでいいのか？って訴えるような作品だと思うが、何故か、無意識に自民党を支持している若者に人気があるのは謎だよな…。