劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死身の剣士と破滅の本／劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME

正直なところ、見るかどうか迷った。でも、ちょっと空き時間ができてしまったし、ちょうど上映時間が合う作品がこれしかなかったので鑑賞することにした。

とりあえず、「セイバー」、「ゼロワン」に限らず、最近の「ライダー」ものって、ライダー要素が薄いよねとは思うし、改造人間でもなくなったし、そもそも、平成以降の「ライダー」シリーズを「仮面ライダー」と呼んでいいのかは疑問だよなとは思う。まぁ、今更何を言っているんだと思われるかもしれないけれどね。

そして、グループで敵と戦うのも当たり前になっているから、「戦隊」シリーズとの違いも曖昧になっているしね。

それから、敵もライダーに変身するのが当たり前になっているが、それって深夜アニメ的展開だなと思う。

なので、結局、「ライダー」シリーズというのは大きなお友達に支えられている部分も大きいんだろうなとは思った。

あと、「ライダー」シリーズに限らず、「戦隊」シリーズもそうだけれど、男優陣は女性好みのイケメン揃いだし、女優陣も大人の男、特にオタ要素を持った人間が好みそうな可愛い系が多いし、そういう面でも特撮モノというのは大きなお友達が支えているんだろうなとは感じている。

今回出かけた映画館でも、ガラガラというのもあったけれど、1組の父子連れを除けば全て大人の観客だったしな…。要はアメコミ映画の低予算版みたいな扱いになっているのかもしれないなと思った。

ということで、前置きはこれくらいにして本題に入りたいと思う。

「劇場短編 仮面ライダーセイバー」

正式タイトルに“短編”って入れるんだ…。それが一番の感想かな。

まぁ、“劇場版”ではなく“短編”と名乗っておけば、作品の出来が微妙でもエクスキューズできるという逃げの姿勢が見え隠れしているよね。

実際、特撮もテレビならこんなもんでもいいけれど、映画だったら、もう少し力を入れようよ！って言いたくなるレベルだったしね。

ところで、本作では、敵がライダー側に対して、ざっくり言ってしまえば、“平和のために戦うと言っているが、戦うことは暴力をふるうことだから、主張と矛盾しているだろ”みたいなことを言っている。

確かに、米国でBlack Lives Matterと称する運動に賛同してデモを行っている人の行為には、単なる略奪行為にしか見えないものも多い。

また、沖縄での米軍や自民党に対するデモや、香港での中国政府に対する抗議活動も、平和的とは呼べないものも多い。

そして、そういう様子を見れば、特別な政治思想がない人間でも、左翼は暴力主義者と思ってしまうのも事実。

そうした、世界的に見れば認められなくても、多くの日本人がおかしいと思っている現象を描いているこの作品は、どんなに酷い政治ばかりしていても、野党アレルギーが強くて自民党を支持してしまう。自民党よりも野党の方がヤクザに見えてしまう国民性に寄り添った、いわば、自民党のプロパガンダなのではないかという気もしてしまった。

悪政を働く人間にいくら進言しても、改善されないなら、ガマンするしかないのだろうか？

何度注意しても、言うことを聞かない児童・生徒・学生に対して教師が手を出したらいけないのか？

いくら経っても、きちんと仕事をしない部下に上司が手を出してはいけないのか？

周囲に迷惑ばかりかけている子どもに親が手を出してはいけないのか？

それでは、悪いことをする連中のやり放題になってしまう…。

だから、結局、本作でも最終的には敵は成敗されるわけだしね。まぁ、夢オチみたいな終わり方にしているのは、結局、被害者側が反逆したら、今度は被害者側が悪者にされてしまう。現実は被害者側になった人間はそう簡単には勝ち組にはなれないんだよということを突きつけている、なかなか夢のない作品のような気もしてきた。東映という映画会社はどちらかと言えば権力側の犬だからね。

「劇場版 仮面ライダーゼロワン」

こちらは逆にネトウヨ的思想の人間を中心としたネット民を批判している作品にも思えた。

権力側に利用されているだけなのに、自分は選民だと思い込み、悪役の破壊行為に手を貸すネット民の姿は、実際は負け組なのに、それを認めたくないために、自民党の悪政の恩恵を受けていると思い込み、自民党を批判する人たちを反日だの在日だのと言って叩いているネトウヨの姿そのものにしか見えない。

そして、この“ネット民”たちは自分たちが利用されていると分かるや否や、悪役に攻撃を仕掛けるが、その身のかわりのはやさもネトウヨ的だ。あれだけ、安倍マンセーをしていたのに、「桜を見る会」前夜祭問題で安倍が不起訴になるや否やヤフコメは安倍批判コメントで溢れていたからね。

あんたたち、ついこの間まで安倍批判する人間は日本人ではないとか言っていなかったっけ？って感じだよね。

まぁ、彼らは今は菅マンセーで忙しいんだろうね。つまり、その時の権力者をマンセーすることで、自分もそちら側の人間だと思い込みたい連中というのがネトウヨの実体なんだろうね。

本来の右翼は、自民党の政治家がクソなことをやっていたら、とことん批判するからね。だから、昔ながらの街宣活動をしている右翼の連中はよく安倍批判していたしね。

そもそも、一般市民でも自民党の政治家がスキャンダルを起こしたら、近所付き合いで何も考えずに自民党に投票するような連中でも、ボロクソに批判していたんだよね。

それが、この8年くらいはなくなってしまった。つまり、自分がうまくいっていないのは自己責任という洗脳を国民に対して自民党が巧みにやったおかげで、国民は自民党批判できなくなってしまった。だから、自分を負け組と認めたくない人たちは自民党をマンセーするようになったってことなんだよな。

あと、自民党批判する人間は反日・在日というイメージの植え付けに成功したことも大きいよね。反自民的な思想の人でも、非国民扱い、コリアン扱いされるのは嫌だというのは多いからね。そういう意味では、自民党の世論操作のテクニックは見事だと思う。

そんなことを思ってしまう映画だった。