自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”

どう考えても、腐女子とジャニオタ以外の観客はほとんどいないと思える作品なので、見に行くには勇気が必要だった。

見に行くことを決めた最大の理由はTrySailの3分の2が出演しているから。まぁ、ほとんどカメオ出演だったけれどね。

あとは、HoneyWorksの過去の映画も見ているから、今回も見てもいいかなと思ったって感じかな。そういえば、過去のハニワ映画はアニプレックス配給だったけれど、今回は東映配給なのか…。
アニプレとしては、LIP×LIPでは当たらないと思っていたのかな?それとも、CGによる歌やダンスのパフォーマンス描写はアイカツプリキュア東映が得意としている分野だから、東映に任せたということなのだろうか?

f:id:takaoharada:20201226200642j:plain

大雑把にいえば、本作は3分の2がストーリーもの。残りの3分の1がライブ・パフォーマンスという構成だが、手描きのストーリー・パートとCGのライブ・パートの映像が違いすぎるのは違和感ありまくりだったな。
もう少し、それぞれ尺をのばして、別々に公開した方が良かったのではないかとも思った。

ストーリー・パートはよくある話だけれど、まぁ、面白かった。ライブ・パートは曲は良いとは思うが、LIP×LIPで3曲、ゲストで1曲の計4曲とMCだけだから、ちょっと物足りない気はした。だったら、ストーリー・パートの方で描かれていたデビュー・ライブをもう少しじっくり見せて一体化させれば良かったのにと思った。

 

f:id:takaoharada:20201226200654j:plain
ところで、Zeppは実名で出てくるのに、山野楽器はまがいものの丸野になっていたのは何故?あと、LIP×LIPの1人がよくふらついている街中の風景の描写って、六本木かな?

 

ところで、最近のジャニーズのアニメ界への殴り込み状態はすごいよね…。
本作にも、なにわ男子の2人が出ているしね。
まぁ、腐女子のみならず、ジャニオタも動員できるから、売り方としては間違ってはいないんだろうけれどね。

 

そして、ジャニーズは声優のみならず「アニソン歌手」としてもアニメ界に殴り込みをかけている。文化放送で放送されている老舗のアニソン・ランキング番組「こむちゃっとカウントダウン」のチャートも最近は、アニメ主題歌を担当したSixTONESSnow Manが首位を獲得しているしね。
基本的にはアニメやアニソンに興味ないファンの組織票によってジャニーズが首位の常連となっているし、長期ランクインも果たしているからね。

 

まぁ、オタク文化の中で一番フィジカル離れが進んでいないのがジャニーズだから(女子アイドルはコロナによる接触系イベント開催不可能状態でフィジカル離れが進みつつあるしね…)、フィジカルでのヒット曲が欲しいアニソン界隈としてはジャニーズに媚びを売るのも当然といえば当然だけれどね。

 

でも、本当にそれで健全なアニメやアニソンのシーンが形成されているのか疑問だよな…。
キネマ旬報は一時期、読者投票によるベスト・テンがジャニオタによる組織票でジャニーズ出演映画が上位に入りまくるようになってしまったので、ネット投票をやめて、本誌(他の雑誌より高い!)付属のハガキでのみ投票できるようにして、純粋な映画ファンの意見が尊重されるランキングになるようにしたけれど、ラジオ番組のランキングでは組織票排除は難しいからね…。

 

その一方で、アニソン歌手と呼ばれているLiSAが実写映画の主題歌を担当したりもしているし、最初はアニソン歌手扱いされていたAimerも最近はそうではないアピールが増えているしといった感じで逆の現象もあるからな…。

 

慈善活動ではないから売るためには色んなことをするんだと言われれば、それまでだが、何かしっくりこないんだよな…。