自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

今までの「ラブライブ!」関連作品はCDはよく買っていたし、劇場版は映画館で見た上にブルーレイも買っているけれど、テレビシリーズに関してはほとんど見ていなかったんだよな…。「無印」は1期の頭数話しか見ていないし、「サンシャイン」に至っては1期の1話しか見ていない。なので、今回の「虹ヶ咲」の全13話を完走できたのは奇跡に近いかもしれない。

 

なんだかんだ言って、今期一番面白かったアニメはコレかもしれないな。でも、不満点は多かったかも…。

 

過去シリーズはまともに見ていないので偉そうなことは言えないが、今回はグループではなく、ソロ・アイドルの集団という位置づけになっているので、シリーズを通じてメンバーが増えたり、グループへの支持が高まっていく様子を見せながらメンバー間の結束が高まっていっていくという王道展開ではなく、1〜9話までは、個々のメンバーにクローズアップしたエピソードを展開し(22/7のアニメみたいだな…。まぁ、あっちはソロ集団ではなく、きちんとグループだったが)、クライマックスにはそのメンバーのソロ曲を配置するという構図になっていた。なので、スクールアイドルフェスティバルのステージを描いた最終回で前半のソロ・パフォーマンスが止め画ばかり、後半ではやっと、きちんと動くパフォーマンスになったと思ったら、メンバー全員による合同パフォーマンスを披露して終わりというのも本末転倒な気がして仕方なかった。

 

ところで、最終回といえば、Zepp前のガンダム像が出てきたが、これは、「ラブライブ!」も「ガンダム」もサンライズバンダイナムコの作品だから、簡単に使用できたってことなのかな?

 

それから、最終回で描かれるスクールアイドルフェスティバルというイベントだが、お台場を舞台に、複数のステージをアイドルたちが移動し、屋台なども登場してお祭り気分で開催されるというのは完全にTOKYO IDOL FESTIVALだよね。まぁ、今年はオンライン開催になってしまったけれどね。というか、現在の日本及び世界の新型コロナウイルスの感染状況を鑑みれば、来年も有観客開催は無理だとは思うが。

 

 そして、本作を見ていて途中まで違和感を抱いていたことがあったのを思い出した。オープニングに映っているキャラクターは10人なのに、オープニングで名前付きで紹介されているのは9人だけ。オープニング曲やエンディング曲を歌っているのも9人。「うん?1人いないぞ?」と思った。まぁ、ゲーム版をやっていた人には常識なんだろうが、主要キャラ10人のうち1人はメンバーではなく、アイドル同好会を再建し発展させるための裏方的存在だったのか…。別のアイドルアニメでいうところのプロデューサーさんみたいな存在なのかな?これも今までの「ラブライブ!」と大きく違う部分だなと思った。

 

そして、その裏方的存在である侑と、幼なじみでアイドル集団がグループとして活動する時にはセンター的ポジションにもなる歩夢の百合展開は本当に「ラブライブ!」なのかと思うほどヘビーな展開だった。というか、鬱展開、サイコパス的要素も含まれたガチな百合描写だった。「リズと青い鳥」や、「フラグタイム」などの佐藤卓哉作品も驚くほどの百合描写だった。正確にいえば、侑は別に百合ではないんだけれど、歩夢の方が一方的に、他者と仲良くする侑に対してジェラシーを燃やしていて怖かった。こんな娘、センターにして大丈夫?作品のイメージ悪くしていない?って心配したくなるほどだ。

 

まぁ、一般的には、せつ菜が人気ありそうだよね。表の顔はメガネっ娘堅苦しい生徒会長、裏の顔は人気アイドルというのは、遠山の金さんみたいで面白いけれど、よくアレで、生徒会メンバーにバレないよなって思う…。とりあえず、生徒会メンバーにも秘密がバレる展開を2期や映画があるなら期待しています。

 

あと、鬼頭明里演じる彼方の演技は、最初聞いた時、「なんだ、このヘタクソなのは?」と思ったが、聞いているうちに慣れてしまった。というか、「鬼滅の刃」のムー子演技でも、たまに、彼方っぽい時あるから、アレは鬼頭節なんだろうね。

 

それはさておき、個人的には、かすみが、かすかすと呼ばれると嫌がり、かすみんと呼べと言う一連のお約束、結構好きだったな。なので、自分はかすかすと呼ばせていただきます。

 

それにしても、オープニング曲の「虹色Passions!」もエンディング曲の「NEO SKY, NEO MAP」も良い曲だよな。「虹色」のサビの高揚感はたまらないよね。その他、メンバーのソロ曲も含めて楽曲は全体的に良曲揃いだったと思う。

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