自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

新感染半島 ファイナル・ステージ

このご時世の中で見ると、ゾンビになる=新型コロナウイルスに感染するにしか見えない。ゾンビになってしまった人を乗せた船の受け入れの拒否は、世界が新型コロナウイルスというものを意識しはじめて間もない頃に感染者が乗っている豪華客船の寄港を認めるか否かで世界中がもめていたのを思い浮かべてしまう。また、ゾンビに襲われそうな人を見捨てる人々の様子は、コロナ感染者の濃厚接触者を汚物扱いする現状とだぶって見えて仕方ない。

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ただ、本作をいわゆるネトウヨ思想に感染した連中が見たら、間違いなく“反日映画”と騒ぐだろうなと思った。冒頭で“日本に着くはずが香港に向かうことになった”っていうのは、日本がゾンビウイルスの受け入れを拒否する非人道的な国家と言いたいのだろうか?まぁ、その一方で到着先の香港の人たちも、韓国人をバイ菌扱いする嫌な連中的な描写にされているから、中国や香港もdisる対象なんだろうなとは思ったが。あと、米国人も信用ならない奴扱いされていたな。そのくせ、国連にはおべっか使っているんだからな…。

 

そして、作中に登場する631部隊というのは、誰もが731部隊を思い浮かべてしまう。ネトウヨが大嫌いない私でも、これは“反日映画か?”と思ってしまったほどだ。

 

それから、どこかで見たような要素も多い作品だなと思った。ぶっちゃけ、ゾンビと戦っている場面よりも人間同士でやり合っている描写の方が目立つ。つまり、化け物よりも怖いのは人間ってのは、「ヘレディタリー」と同じテーマだ。

また、主人公らと合流するボーイッシュな少女のドライブテクニックは、いやでも「頭文字D」を思い浮かべてしまう。

そして、中盤の人間とゾンビが戦わされる“競技場”は、「サンダードーム」にしか見えないし、終盤のカーアクションは「怒りのデス・ロード」にしか見えない。要はゾンビ要素の入った「マッドマックス」をやりたかったんだろうね。

 

まぁ、全体としては面白いけれど。去年公開の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」、「エクストリーム・ジョブ」、「はちどり」なんてあたりと比べるとお話にならないって感じかな。

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ところで、自分は本作をオリナスの方のTOHOシネマズ錦糸町で見たが、ガラガラだったな。最近、TOHOシネマズ錦糸町って、オリナスよりも楽天地の方のスクリーンを重視している気がするな。

楽天地シネマズがTOHOシネマズの別館として、「TOHOシネマズ錦糸町 楽天地」にリニューアルされて間もない頃はまだ、様子見って感じだったが、最近は完全に話題作の上映は楽天地が優先されている気がする。大ヒットが見込める作品だけは大スクリーンの2番スクリーンがあるオリナスの方で上映するけれど、それ以外は楽天地優先になってきている気がするな。実際、ホームページでもオリナスよりも楽天地の方が先に名前が書かれているしね。

楽天地のビルの大部分がPARCOになって、錦糸町の人の流れが変わった影響なのかな?まぁ、元々、錦糸公園を突き抜けていく必要があるオリナスは不便だから、駅前の楽天地の方が栄えるのは当然なんだよね。TOHOシネマズになる前の楽天地シネマズは昭和な映画館だったし、ビル自体もLIVINがメインだったから集客が弱かったが、それがTOHOシネマズとPARCOになれば、そりゃ、若者を中心に人は集まるしね。

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そういえば、TOHOシネマズで「飲食は上映が開始されるまでするな」というお達しが出るようになったが、これを見て、やっぱり、TOHOシネマズって、「鬼滅の刃」の記録的な大ヒットが新型コロナウイルスの感染拡大の原因の一つであることを認識していたのに放置していたんだというのを改めて実感した。

要は、「鬼滅」が新記録を達成したから、まぁ、この先はオマケみたいなものだから、ここで客足が鈍化しても、まぁ、いいかみたいな感じになってきたから、客に色々と制限をかけるようになったのでは?

そりゃ、上映開始前からマスクを外して、飲食しながら、友人や家族、彼氏・彼女とくっちゃべっていたら感染するよね。そんな分かりきっていたことを放置していたのは、「鬼滅」が記録的なスタートを切ったからでしょ?都内に限らず、国内での感染状況もどんどん悪化していったのに、長らく放置していたからね。それが、新記録を達成した途端、感染拡大防止に協力しますアピールしだすんだから、いい加減にしろ!って感じかな。