自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

銀魂 THE FINAL

銀魂の原作第1話を当時、毎週購入していた「週刊少年ジャンプ」で読んだ時は、当時はそんな言葉はなかったかもしれないが、今でいうところのネトウヨ思想(=排外主義=外国人差別)の作品だなと思った。

大雑把にいえば、日本にやってきた異人を追いだそうとする人たちの話だからね。しかも、この異人は醜いルックスだから、外国人は醜いって言っているようなものだしね。

しかも、メインキャラの1人のチャイナドレス少女は、そんなこと言う中国人なんていないよってツッコミたくなるステレオタイプにすらならない語尾が“アルヨ”だしね。

要は日本に外国人が来なければ日本は素晴らしい国のままだったという主張のもと展開されるパラレル・ワールド的な作品。つまり、ネトウヨ思想と親和性の高い、これまた当時はそんな言葉はなかったかもしれないが、“なろう系”の作品だと感じた。

だから、自分はずっと、「銀魂」という作品に嫌悪感を抱いていた。

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そんな自分が多少なりとも、「銀魂」という作品に親近感を持てるようになったのは、福田雄一監督による実写映画のおかげだと思う。

それだって、監督が福田雄一、キャストにハシカン、長澤まちゃみって布陣だから見る気になっただけで、そうでなかったら見なかったかもしれない。

 

これまでのアニメは、テレビも映画もまともに見ていない。でも、実写映画版を見たということもあるし、さらに今回は、ファイナルという触れ込みなので鑑賞することにした。

 

ぶっちゃけ、本編のシリアスなバトル部分はキャラクターに思い入れがないので、早く終わって欲しいと思ってしまった。

冒頭の「ドラゴンボール」のパロディ(♪チャラ〜ヘッチャラ〜って流れたのには笑ってしまった)と、後日談的なパート、オマケの楽屋オチあたりはくだらないと思いつつも笑えたけれどね。

 

多分、これまで、テレビや映画でアニメを見てきた、原作を読んできた人にとっては、とてつもなくエモーショナルな作品なんだろうが、自分にとっては、まぁ、よくあるテレビアニメの劇場版って感じだったかな。

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テレビアニメの劇場版といえば、「鬼滅の刃」のように大盛況とはなっていなかったな。「銀魂」の過去のアニメ映画や実写映画の実績を見れば、もっと混雑していても良さそうなのにね。緊急事態宣言が出された影響で、映画館へ出かけるのを避けた人が多く、「銀魂」のファン、あるいはアニメ映画ならとりあえず見ておくという人たち、アニメだろうと実写だろうと、あらゆる新作映画に手を出す層。その辺以外は、緊急事態宣言下では、わざわざ映画館に行かないってことなのかな?しかも、来ている客層は圧倒的に20代が中心だった(お前らが遊びまくっているせいで感染が拡大しているとワイドショーで悪役にされている世代)。

 

そして、この週末はさすがに「鬼滅」も動員が鈍っているようだ。ということで、この週末の映画館の入り具合で持論はほぼ確信に変わった。それは、「劇場版 鬼滅の刃」を何度もリピートしていたのは、普段、アニメも映画もロクに見ないオーバー30の人たちとその子どもたちだということ。

本当に好きな人は身の危険を感じていても、見たい作品が供給されていて、尚且つ、交通機関もきちんと動いていれば、行ってしまうからね。

でも、映画やアニメそのものに興味がない人は、わざわざ、身の危険を感じながら映画館には行かないしね。

つまり、鬼滅信者ってのは、鬼滅以外の映画やアニメには興味がないから、繰り返し、鬼滅ばかりを見ていたってことなんだろうね。

果たして、そんな人たちに支えられている作品って、映画界やアニメ業界のためになるのかなって気がするな。

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そういえば、本作の主題歌「轍~Wadachi~」を担当しているSPYAIRに対して、今まで良いイメージを持てなかったんだよね。その理由は「アメイジングスパイダーマン」を字幕版で見たにもかかわらず、エンド・クレジットが彼等の曲に差し替えられていたから。なので、それ以来、ふざけんなって気持ちしか持つことができなかった。

でも、今回の「轍」はめちゃくちゃ良い曲だよね!初めて評価したくなった。