自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

D4DJ First Mix

10月下旬という変則的な時期にスタートしたので、キャラを演じる声優陣のライブやインタビュー、総集編などの特番(番外編)を挟みながら3月末までに15話前後のエピソードを放送する形にするのかなと思っていた。

実際、12月には、そういう特番も放送されたから、てっきり、そうなるのかと思っていたが、元日ですら最新エピソードが放送されたので、どうなるんだろうと気になっていた。結局、1月いっぱいで放送終了。しかも、エピソード数も1クール分のフルである13話で終了してしまった。

同じブシロード作品である「BanG Dream!」が1月下旬という中途半端な時期からスタートし、4月下旬までに13話を放送するという変則的1クールになったが、それと同じパターンになったのか。

 

そして、今回放送されたエピソードは最終回とはなっているものの、予想通り、続きがあることを匂わせる終わり方になっていた。それも、「バンドリ !」と同じ展開かな。

 それから、キャラを演じる声優が出演する番組でミニアニメが放送されることも発表されたが、それも「バンドリ !」パターンか。コロナ禍で開催できるのかどうか分からないが、5月には大規模な野外ライブが予定されているから、それまではこの番組で繋いでいくのかな?そして、おそらく、この番組なりライブなりで2期とかの発表もされるんだろうね。

 

ということで、全13話を見終えたが、感想を一言で言うと、全然、DJの話じゃないなって感じかな。

 

結局、アイドルアニメなんだよね。それは、アイドルアニメの流れを受けて作られた「バンドリ !」をはじめとするバンドものアニメにも言えることなんだけれどね。

アイドル的人気のある声優、あるいはこれから、そういう路線を進もうとしている新人・若手声優をキャスティングしているから、全てのバンドメンバーがボーカルパートを担当しなくてはいけない。勿論、洋楽でもドラマーを含む全てのメンバーがリードボーカルを取れるバンドは存在する。ザ・ビートルズはメンバー全員がソロでも全米ナンバー1ヒットを放ったくらいだしね。でも、ほぼ全ての楽曲で全メンバーのリードパートがあるってのは不自然なんだよね。要はアイドルグループの歌割りと一緒。全メンバーのボーカルパートがないとCDが売れないからなんだよね。

 

そして、画をみても分かる通り、ファンはペンライトを振っている。つまり、ロックではなく完全にアイドルのライブのノリなんだよね。まぁ、キャラを演じている声優が現実世界でライブをやる際には、いくら、バンド形式で演奏したとしても、ファンはアイドル的な扱いで彼女たちを応援しているし、ファンも実際にペンライトを振るから、作中でファンがペンライトを振る描写にした方がグッズとしてペンライトを売れるという作戦なんだろうなとは思う。

現実世界でも、アイドルやアニソンに括られないバンドなのに、ファンのノリが完全にアイドル現場というのもいるからね。Silent Sirenっていうバンドなんですけれどね。だから、サイサイが「バンドリ !」のPoppin'Partyとのコラボ曲をリリースしたのも必然的な流れと言えるのかもしれないが…。

 

そして、この「D4DJ」は実質アイドルアニメのバンドものアニメのフォーマットをDJに変えただけなんだよね。

歌唱とかダンス、曲作りで悩むシーンはあっても、曲と曲をつないで場を盛り上げるというDJ本来の業務について描かれている場面はほとんどないからね…。

そして、バンドものアニメと同様、キャラを演じる声優をアイドル売りしているから、メンバー全員にボーカルを担当させなくてはならないし、現実世界で行うアニソンマナーで開催されるライブやイベントとリンクさせるためにも、ファンがペンライトを振る様子が描写されている。その辺はまるっきり、バンドものアニメと同じ。

まぁ、「バンドリ !」も「D4DJ」もブシロード作品だし、そもそも、アイドルアニメで最も成功したプロジェクトと言ってもいい「ラブライブ!」シリーズだって、ブシロード作品だから、こういう展開をするのは当然といえば、当然なんだけれどね。

そういえば、歌うDJといえば、楽曲によっては、カルヴィン・ハリスは自分でボーカルを取ることもあるから、別にDJ担当メンバーが歌うこと自体は否定しないけれど、結局、楽曲をCDとして出す時に全メンバーがボーカルを取らないと売れないから、こういう不自然な歌割りになってしまうんだろうね。

 

それにしても、最終回では流れなかったが、エンディング曲は水樹奈々らが歌う「WOW WAR TONIGHT」のカバーだし、作中では「気分上々↑↑」のカバーも披露されたし、ターゲット層って、「ラブライブ!」や「バンドリ !」より上なのかな?まぁ、今回の最終回のラストでは喫茶店マスターの過去のDJ活動を匂わせる描写があったし、そのメンバーの年齢層もちょっと広めっぽいから、そういう設定に合わせて30代後半から50代前半くらいを意識した選曲にしたのかな?

 

ところで、放送開始時には、視聴者からのリアルタイムの意見と称したツイッター表示が出ていたが、いつの間にかなくなったよね。その後、元日放送版の時だけ復活したけれど。まぁ、意味ないよね。金ローで何度も再放送されるアニメ映画なら、ながら見視聴でツイートする人も多いだろうが、初放送作品なら、アニオタは真剣に見るからツイートなんか、するわけがないしね。

それに、初見の作品でもながら見視聴するようなライト層向けの作品でもないから、そもそも、そのコンセプトが間違っているんだよね。だから、明らかにスタッフの書き込みにしか思えないツイートもやたらと流れていたしね。そりゃ、企画倒れになるよねって感じかな。

 

最後に一言。りんく可愛いよね。アフリカ滞在歴があるために自由奔放なキャラという設定はちょっとステレオタイプ的なアフリカ蔑視に見えるところはあるけれどね。

 

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