自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

米国のエンタメにかぶれた人間にとって今年は寂しい2月に…

本来なら2月というのは、米エンタメ界(スポーツ含む)のビッグイベントが毎週開催される月だったんだよな…。

冬季五輪が開催される年などは1月下旬から3月上旬までの期間にばらけるが、そうでない時は基本、4大ビッグイベントが週がわりで開催されるパターンだったんだよね…。

ちなみに4大イベントとは「スーパーボウル」、「グラミー賞授賞式」、「NBAオールスター」、「アカデミー賞授賞式」のこと。年によって順番は多少変わるが、今あげたオーダーが最近は多かったかな。

 

ただ、「NBAオールスター」は楽天が権利を手にしてしまったおかげで、NHK BSでもWOWOWでも放送されなくなってしまったので、日本のテレビ的には3大イベントになってしまったけれどね…。本当、腹立つな!一時期はNHK BSとWOWOWで同時に中継していたこともあったんだけれどね。そして、この2局で同時放送されていた場合は、自分は迷わずWOWOWの方で見ていた。

 

理由は明快。NHKの実況はハーフタイム・ショーなどアーティストがパフォーマンスしている際にも延々と実況するから。ロンドンで五輪・パラが開催された際には、開会式や閉会式のセレモニーに日本でも人気のある新旧の洋楽アーティストが続々と登場したが、その中継でNHKのアナウンサーがアーティストのパフォーマンス中も延々と実況し続けて批判されたことを覚えている人も多いと思う。

NHKやキー局系の実況アナって、他のスポーツの中継でも歌やダンスの際にも実況するんだよね。それは実況アナはスポーツのことしか知らないから。そして、日本のスポーツファンにはスポーツ以外のものに興味がない人が多いから。海外では芸能もスポーツも一体化したエンターテインメントとして見せるのが当たり前だが、日本では、スポーツ系のジャーナリストはスポーツのことしか知らないし、スポーツファンはスポーツにしか興味がないってのが多いんだよね。だから、スーパーボウルには欠かせない要素であるハーフタイム・ショーをいらないなんて言う輩が大勢いるんだよね。

 

その日本の実況アナが海外芸能事情に疎いというのは今回のスーパーボウルの中継でも実感できた。愛国歌のパフォーマンスを行ったH.E.R.には、さんを付けていたのに、ハーフタイム・ショーに出演したザ・ウィークエンドは呼び捨てにしていたのって、もしかすると、ザ・ウィークエンドがソロ・アーティストだって知らなかったのではという気がする。

ザが付いているから、グループだと思っていたのでは?国歌や愛国歌を歌うアーティストは基本ソロが多いから、H.E.R.というよく分からない名前だけれど、グループだったら、ハーではなくゼムだろみたいに解釈して、おそらくソロだろうと判断し、さん付けにしたのかな?

 

ところで、「星条旗よ永遠なれ」の歌唱パフォーマンス、今年はデュエット形式という珍しいパターンだった。しかも、カントリーのエリック・チャーチとR&Bのジャズミン・サリヴァンという異なるジャンルのアーティストによるコラボというか、白人アーティストと黒人アーティスト、さらにいえば、男性アーティストと女性アーティストのコラボとなっていたが、これって、完全に政治的メッセージだよね。

トランプ政権が終わり、バイデン政権になって、人種や性別などによる分断はなくなったということを言いたいのかな?しかも、バイデン大統領夫妻からのメッセージ映像も流れたからね。トランプ政権時代にはこんなことはなかった。ここまで露骨に芸能・スポーツ界が民主党寄りの姿勢を見せるのはどうなんだろうっていう気もするけれどね。

 

ザ・ウィークエンドのハーフタイム・ショーについては観客を減らした形での開催ということで、スタジアムにいる人よりも、テレビ中継などを見ている人のためにパフォーマンスをしたっていう感じには見えたかな。

そういえば、ザ・ウィークエンドは今回のハーフタイムでもパフォーマンスした「ブラインディング・ライツ」が2020年を代表する楽曲となったにもかかわらず(実際、ビルボードの年間チャートで1位になった)、グラミー賞では1部門にもノミネートされなかったことが問題となっているが、これって、行き過ぎたポリコレ、Black Lives Matterのせいだと思うんだよね。「ブラインディング・ライツ」や「セイヴ・ユア・ティアーズ」など最新アルバムからのヒット曲って、80年代っぽいし、日本で当時ブラコンと呼ばれていたジャンルの音楽にも近いサウンドだしね。そして、ブラコンというのは黒人音楽を白人化したようなサウンドだから、行き過ぎたポリコレが進んでいる現在の米国では白人に媚びを売っていると解釈され、評価されないんだろうなという気がする。

 

そして、改めて思う。トム・ブレイディってすごいな…。自分がスーパーボウルを見るようになったのってよく考えたら、ブレイディがデビューしたシーズンからだしね…。自分にとってはNFL界最大のスターだな。

 

それにしても、今年はコロナ禍ということで、グラミー賞の授賞式が3月中旬。アカデミー賞の授賞式が4月下旬になってしまったから、日本のテレビで見られる2月の米国エンタメ4大イベントはこのスーパーボウルだけになってしまったんだよな。なんか寂しいな…。

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