自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

樹海村(ネタバレ含む)

“2度あることは3度ある”とか“3度目の正直”という言葉は真理なんだなというのを実感した。

この作品、実はこれまでに3度も見るチャンスを逃していた。

最初は体調がイマイチだったためにパス。

2度目は前日にやろうと思っていた仕事の作業ができなかったために、さすがに今日は手を付けないとまずいなと思い再度パス。

そして、3度目は行く気マンマンだったが、家を出ようと思っていた時刻の20分前に、職場の人から“電話で打ち合わせたいことがあるから待っていてほしい”と言われ、その結果、書類の作成やメールの送信などで2時間ほど時間を要することになり三たびパス。

そして、今回、4度目にして、やっと見ることができたが、実際に見た感想は噂にたがわぬクソ映画というものしか抱けなかった。

やっぱり、3回までの機会で成功できなかったものは縁がないものとして諦めた方がいいということなんだろうね。

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通常、Yahoo!映画のレビュー欄というのは実写邦画作品に限っていえば、公開初日から5日間くらいまでは、出演者や監督、原作、過去の関連作のファンなどによるマンセーコメントばかりになることが多いので(何故か、洋画や、邦画でもアニメだと公開初日でも酷評は多いが)、実写邦画作品は5日目以降のレビューしか信用できないと個人的には思っている。しかし、この作品に関しては公開初日時点でかなりの酷評コメントが寄せられていた。なので、超ド級のクソ映画なんだろうなとは思っていたが、想像を遥かに上回るクソ映画だった。

 

もう、つなぎ(編集)があっち行ったりこっち行ったりだし、説明不足だし、観客を混乱させるために意図的にやっているのかもしれないが、デタラメにしか思えないんだよね。あと、ストーリー展開もご都合主義だらけ。笑ってしまうくらい酷い。

 

まぁ、同じ清水崇による東映の「村ホラー」シリーズの前作「犬鳴村」よりはホラーになっていたと思うし、関わった者が次から次へと犠牲になるのは、清水崇の代表作「呪怨」にも通じるものがあるとは思う。でも、主人公たちが戦うことになる樹木人間?みたいな呪いの存在の描写は「犬鳴村」のゾンビの出来損ないよりも笑ってしまうビジュアルだった。

「犬鳴村」では、呪いの正体の背景として犬を食べる人たち=在日コリアンや中国人に対する迫害をメタファーにしたような部分はあったが、今回は障害者に対する差別がテーマのようだ。人種問題が関わっていない分、メタファーも何もなく、あっさりと、障害者(フィジカル、メンタル問わず)に対する差別と登場人物によって、はっきりと口にされているしね。襲われた人間が指を切断されるのは、指を失うことで障害者の仲間になるってことなんだろうね。それから、怪奇現象を察知できる主人公が精神病院に入院させられるのも、精神的な障害者の仲間入りってことなのかな?

 

それにしても、前作にしろ本作にしろ、在日とか障害者を悪役にしてしまっていいのかなって気がするな。一見、差別問題を描いているようで、差別を煽っているようにも思えるんだけれどな。その辺の中途半端な社会意識が日本の映画製作者って感じではあるかな。

 

そして、本作の主演(といっても精神病院に入院させられてからは出番が減るが)の山田杏奈は、立て続けに出演映画が公開されているが、ヒロイン役の「名も無き世界のエンドロール」、主人公の妹役の「哀愁しんでれら」、そして、主演の本作と、出番に差はあれ、いずれも、広義のスリラー系に括られる作品で、しかも、いずれも、クソ映画ってのはどうなんだろうかって心配したくなってしまうな。

さらに、演じている役もいずれも不幸な生い立ちだ。「名も無き世界のエンドロール」では親がいなくて、いじめられている上に、事件に巻き込まれてしまうし、「哀愁しんでれら」では彼女自体はそうでもないが、一家には次々と不幸が訪れる。そして、本作では霊的な現象に巻き込まれた一家の中で最もその影響を受け継いでしまった役だし(終盤まで姉が一家の呪いを忘れていたのはご都合主義もいいところだが)、山田杏奈には陰のあるキャラクターのイメージがあるのかな?関東では倫理的な面で放送できなかったドラマ「幸色のワンルーム」で、そうした印象が植え付けられたのかもしれないな。

 

ところで、本作をTOHOシネマズ錦糸町オリナスの方で見たけれど、男子トイレの大便器の数が減ったような気がするのは気のせい?何かの心霊現象で、前はもっとあったように感じただけ?

それとも、コロナ禍になって観客が減ったし、掃除するのも大変だから便器を潰してしまったのかな?あるいは、最近、TOHOシネマズ錦糸町は話題作は楽天地の方のスクリーンにかけている傾向があるから(集客力の強い超話題作だけは、座席数の多いオリナスの2番スクリーンでかけているが)、オリナスの方は自然と客が減ってしまったってことかな?

とりあえず、TOHOシネマズ錦糸町で長らくディズニーの新作の告知用に使っていた掲示板にディズニー映画ではなく邦画や韓国映画のポスターが貼られるようになっているのには笑ってしまった。

話題作の劇場公開を取りやめ、次から次へと配信送りにしているディズニーへの抵抗かな?まぁ、TOHOシネマズ錦糸町がオープンした時点では存在していたディズニーの配給ブランド名“ブエナ・ビスタ”が記されているボードをいまだに使っているのはどうかとは思うけれどね。

ディズニーが知ったら怒るのかな?

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