自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

「バレンタイン・キッス」とバレンタインデー

今年も言っておくか。国生さゆりwithおニャン子クラブの「バレンタイン・キッス」は2月14日の曲ではなく、2月13日の曲だぞ!そして改めて思う。秋元康ってすごいなと。

 

日本人って、バレンタインデー(本当はバレンタインズデー)のことをバレンタインと言っている人が多く、きちんとした言葉を使わなくてはいけないアナウンサーや新聞記者ですら、ただ単にバレンタインと言っていることも多い。

 

いかにその言い方がおかしいかということに気づいていない人が多いよね。それって、米国の祝日でいえば、コロンブスデーをコロンブスと呼ぶことだし、日本でいえば、天皇誕生日天皇って呼ぶことと同じなんだけれどな…。

 

でも、秋元康ってきちんとバレンタインデーって言うんだよね。

曲のタイトルでは省略されているけれど、サビの歌詞ではきちんと、“バレンタインデー・キッス”と言っているし、乃木坂46の「気づいたら片想い」でも、“誕生日もクリスマスもバレンタインデーも”ときちんと言っている。炎上しやすいワードをよく使う康だけれど、実は、ちゃんとした言葉遣いを誰よりも意識しているんだよね。それは感心する。だから、AKB48の「ハイテンション」では、わざわざ、“間違い英語 関係ねぇ”って言っているしね。その辺がデタラメ英語を気にせずに使っている小室哲哉との違いだよね。

 

バレンタイン・キッス」は「テニプリ」のキャラソンとしてカバーされ、歌い継がれたことによって、おニャン子クラブ(正確には国生さゆりwithおニャン子クラブ名義だけれど)という、数年間だけ人気になったアイドルが放ったノベルティ・ヒットとして懐メロになるのではなく、その後の世代にもバレンタインデーのBGMとして歌われて、聞かれるスタンダードになったという部分はあるかなとは思う。

一時期は「バレンタイン・キッス」を上回る存在のバレンタインデー・ソングになりつつあったPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」が今では古くさく感じるようになってしまったのは、歌い継がれていないというのが要因だと思う。

そうなる理由には、Perfumeが今でもコンスタントに新曲を出し、音楽番組にも定期的に出演し、チャートでも好成績をあげている現役アーティストであるということがあげられると思う。現役アーティストなら、2月であっても、新曲のリリース前後であれば、「チョコレイト・ディスコ」よりも新曲をプッシュしたいってなるしね。

 

その辺が新曲を出しても、熱心なファン以外には訴求せず、結局、クリスマス・ソングが毎年、年末になると街角やテレビ番組のBGMとなってしまう山下達郎マライア・キャリーとの違いなのかな?山下達郎は新曲を出しても音楽番組に出ないし、マライアは最近は結構、自らをクリスマスの女王と割り切っている部分もあるしね。

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