自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021

『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』

 

3本立て(オープニングの3S映像をカウントすると4本立て?)の中で一番尺が長いということもあり(といっても、上映時間は39分だから日本アカデミー賞の審査対象にはならないんだけれどね)、この作品が3本の中では最も映画らしい作りになっていた。

 

本来なら毎夏恒例の「仮面ライダーシリーズ」の劇場版と「戦隊シリーズ」の劇場版の2本立て興行で公開される予定だったものの、新型コロナウイルスの影響で公開が延期になったために、今回は「ライダー」はシリーズ2作の劇場版をまとめて年末に(通常、この時期は「ライダーシリーズ」のクロスオーバーもの映画が公開される時期)、「戦隊」はシリーズ3作の劇場版をまとめて2月に(毎年きっかり、この月というわけではないが、「戦隊シリーズ」のクロスオーバー映画は第1四半期に公開されている)公開という変則的な形となったようだ。

 

通常、「ライダー」映画と同時上映される「戦隊」映画はかろうじて30分を超える程度の上映時間のものが多いが、今回の「キラメイジャー」はもう少しで日本アカデミーで長編扱いしてもらえるくらいの尺になっているってことは、ここ最近の「戦隊」ものの中では、「キラメイジャー」の人気は高いってことなのかな?それとも、「ライダー」のオマケという公開ではなくなったから、通常ではカットされていたようなシーンも見せることができたということなのだろうか?

 

本作のストーリーが複数の階層にわたる夢の世界で主人公たちが奮闘するというものだと聞けば、多くの人が「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」を想起してしまうが、こういう構成の作品は「インセプション」など、前から頻繁に作られていたんだよな…。

 

それにしても、最近の「戦隊シリーズ」にしろ、「仮面ライダーシリーズ」にしろ、女子キャラが可愛いよね!「キラメイジャー」でいえば、個人的には緑が好みかな。

 

あと、今回の悪役の壇蜜、ハマっていたね。元々、ウヨ思想オヤジに受けるようなタイプの女性だから、こういう悪女役ってハマるよね。保守系政党の女性政治家ってこんな感じだし。

 

あと、全米ヒット曲「PPAP」を久々に聞けたのも良かった。何か最近のネット発でヒットしている邦楽よりも、きちんとした音楽に聞こえてしまう…。

 

『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリー・オブ・ソウルメイツ』

 

これは3本の中で一番上映時間が短い作品でわずか15分しかないらしいが、もっとボリュームがあるように感じた。もっとも、変身シーンやアクションシーンは全メンバー分の時間は割いていなかったので、いかにもオマケ作品という作りであることは誰が見ても明らかではあるが。

 

そして、こちらは謎の女性役の宮原華音が可愛かった。あと、アクションは誰よりも光っていた。本当、「ライダー」にしろ「戦隊」にしろ、最近の特撮モノって、イケメンと可愛い系をキャスティングしたり、人気声優をボイスキャストに起用したりしていて、女性、男性問わず大きなお友達のファン獲得に熱心だよね。

 

『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い! オール戦隊大集会!!』

 

最後のコレは間もなくスタートする新シリーズのエピソード0的作品。上映時間は通常のテレビ版の1エピソードより気持ち長い程度。

今回の劇場版を見た限りでの印象ではあるが、どうやら、「ライダーシリーズ」ではすっかりおなじみとなったメタ構造が、この「戦隊シリーズ」最新作でも取り入れらているようだ。エンディングで(放送開始日の)3月7日にふれているのもメタな要素かな?

 

「戦隊」といえば、変身したヒーロー姿で悪と戦った後に、メンバーたちのそれぞれのメカが合体してロボットとなり、巨大化した敵と戦うというのがお約束になっているが、本作は通常のヒーロー1人と人間サイズのロボット4人でチームを組むという不思議な組み合わせになっているようだ。

しかも、その唯一の通常ヒーローは、「戦隊シリーズ」が始まった頃のようなデザインになっている。約46年(今回で45作)もやっているので、「戦隊シリーズ」は3世代で楽しまれるものになっているが、その一方で、初期のシリーズを親しんだ世代の中には、最近のイケメン・可愛い系キャストや人気声優ボイスキャスト路線にはついていけなくなっている人も多い。ここで改めて「戦隊シリーズ」を総括し、初期シリーズを楽しんだ世代にも、最近のシリーズを楽しんでいる世代にもアピールできるものを試してみようって感じなのかな?

 

とはいえ、イケメン・可愛い系のキャストは今後、増えていくんだろうとは思うけれどね。

それにしても、ネトウヨ思想全開のつるの剛士がヒーローものの主題歌を歌うって、どうなんだろうか…。まぁ、当時は反権力のイメージがあった金八役の武田鉄矢もすっかり、ネトウヨ老害になっているしね…。

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