自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ARIA The CREPUSCOLO

正直言って、かろうじて上映時間が1時間を超えている作品(キネノートやYahoo!映画によると61分)で、1800円均一の入場料金を取るのはぼったくりに近いと思う。しかも、続編の告知もされていたのだから、尚更、だったら、それと合わせて通常の2時間程度の映画として公開しろよと言いたくなる。まぁ、元々、低賃金のブラック労働だったアニメ業界が、コロナ禍になって、余計、懐事情が厳しくなったのだから、寄付と思って見ればいいのかもしれないが…。

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ただ、こうした上映時間の短いイベント上映作品のアニメって、本当、止め画が多すぎる。映画館でかけるんだから、もう少し動かせよと言いたくなってしまう…。

日本のアニオタというのは、やたらときれいな画であるか否かを評価の基準にしていて、画が動いているか否かで批評している人って少ないんだよね…。

彼等が作画崩壊と言う時は大抵、キャラクターデザインなどが雑になっていたり、背景が手抜きだったりすることを指しているようで、あまり、キャラクターや背景が動いているか否かで見ている人って少ないんだよね。だから、日本のアニオタって、CGを毛嫌いするんだろうね。そのおかげで、セルルックなんていうガラパゴスな技術が発展してしまったけれどね。

 

あと、話もなんていうか、DVDやBlu-rayに収録されているオマケって感じで、正直、劇場で見るレベルには達していなかったと思う。まぁ、癒しは感じるけれどね。この「ARIA」というコンテンツは癒しのアイテムみたいなものなんだろうから、癒し効果さえあればいいのかもしれないが…。

 

ところで話は変わるが、自分は声優アイドルブームが起きた90年代に、“米国のアニメーション映画にはミュージカル作品が多い。一方で日本には歌手活動をしている声優が多いのにミュージカル・アニメがほとんどないのは何故?”と思っていたことがあった。

しかし、2000年代以降になると、この状況は逆転してしまった。米国ではCGによるアニメーション製作が主流になり、ミュージカル調のアニメーション映画は一気に減ってしまった。

それに対して、日本ではキャラソンがヒットチャートの上位にランクインするのが当たり前になったり、アイドルものやバンドもののアニメが続々と作られるようになったりして、アニメにミュージカル要素が増えていった。しかも、歌唱やダンスのシーンでは、アニオタが毛嫌いするCGも積極的に使われるようになっていった。

本作はCGを使って動かしまくるようなタイプの楽曲を扱う作品ではないが、広義の音楽ものアニメであることには違いないとは思う。タイトルも「ARIA」だしね。そして、その歌が本作の癒しの要素の一つになっているのだとは思う。

個人的には今回のエンディング曲「echoes」にはかなり癒されてしまった。というか、東山奈央のバック・コーラスがいいよね。

つまり、いつの間にか日本のアニメは広義のミュージカルものだらけになってしまったってことかな。

おかげで最近は音楽ソフトの支出の半数くらいがアニソン関連になっているからね…。

「アイドリープライド」とか、「D4DJ」とか、「ラブライブ!」関連とか、CD出しすぎなんだよ!

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