自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

あなた犯人じゃありません

“青春高校3年C組”というプロジェクトが終了してしまうのは残念で仕方ない。せっかく、“あな犯”という略称で毎週ツイッターなどで話題になる深夜ドラマに出演し、これから知名度が増していくことになるはずだったのに、プロジェクト自体が終了することになってしまったのだから…。

 

学校設定の大所帯集団だから、密を避けなくてはならないコロナ禍での活動には限界があるから仕方ないんだけれどね。特にテレ東は日本のテレビ局では一番と言っていいくらい、コロナ対策にうるさい局だからね。

 

まぁ、自分も彼等の活動母体であるバラエティ番組は夕方時代にはまともに見たこともないし、深夜になってからも、録画されていたものを早送りで何となく眺めていただけなので、残念だと言う資格はないのかもしれないが。

 

ただ、秋元康系アイドルはなんだかんだ言って好きなので、これまでに出した2作のCDシングルは購入していた。

 

そんな、中途半端な注目しかしていなかった青春高校だが、何故か、この“あな犯”の放送開始が告知された時には“見なくては!”って思ったんだよね。おそらく、過去にもAKB48グループや坂道シリーズのメンバーが多数出演するドラマを見たことによって、推しメンができたり、演技力のあるメンバーを発掘したりできたことが念頭にあり、そういう発見の楽しさを期待していたのだとは思う。

 

そして、そうした期待を胸に“あな犯”を見始めたわけだが、1話から引き込まれてしまったんだよね。

まぁ、深夜ドラマ特に学園もの特有の問題点はあったけれどね。こういうドラマって、不自然なくらい大人の登場人物が出てこないからね。まぁ、予算やスケジュールに余裕がないから仕方ないんだけれどね…。

本作でも、捜査担当の刑事と殺害された教師以外の大人のキャラはほとんど出てこない。主人公の母親などちらっと出てきたのが何人かいる程度だ。

 

さらにいえば、殺人事件なのに刑事が1人しか学校に来ないのも変だし、生徒に捜査情報を教えているのもおかしい。さらに、刑事が捜査している現場に教職員が立ち会っていないのもおかしい。そもそも、刑事と生徒がコンビを組んで捜査すること自体ありえない。

 

でも、そういう不自然な点などどうでもいいと思うくらい面白かった。今クールに放送されたドラマ、アニメの中で最も面白いと思うくらいだった。

 

その面白さの要因となったのが主人公の“めーな”と事件の鍵を握る人物を演じた“るちゃ”の2人だと思う。“めーな”の陰キャ演技は良かったし、刑事との不思議なバディ感も良かった。自分の危機を知らせるために“デートの日程”を伝えるという形で刑事にヒントを伝えるシーンでは、もしかしたら、恋愛感情に近いものも芽生えたのかと思ったりもしてしまった。

それから、“るちゃ”は何といっても、ジャージー姿が印象的だった。正確に言うと、制服のスカートははいているけれど、上がブレザーではなくジャージーになっているという姿だけれど、こんなにジャージー姿が可愛い娘なんていないと思うな。

 

そして、この2人の関係性が判明する最終回は感動的だった。というか、全話を通じて、この2人の演技は本当に良かった。今後、この2人が出る映画やドラマはチェックしたいと思うほどだ。

 

まぁ、最終回は、この2人を中心にした青春ドラマとしては最高に感動的な終わり方だったけれど、ミステリーとしてのオチはちょっとイマイチかなという気はしたけれどね…。

 

あと、3年C組による主題歌「自分のことがわからない」は名曲だった。過去2作リリースされたCDシングル表題曲より良曲だと思う。3年C組というプロジェクトの終了により、きちんとプロモーションされないのが残念と言いたくなるくらい良曲というか神曲なのに…。まぁ、イントロから歌い出しは乃木坂46の「君の名は希望」などの陰キャ路線曲で、サビはラストアイドルの「バンドワゴン」って感じで、どこかで聞いたような曲ではあるんだけれどね…。

 

それにしても、“あな犯”って略称、酷いよね…。3年C組や、このドラマのことを知らない人は、AVなどでよく使われる、アナルをレイプするという意味だと思ってしまうよね…。“アナル犯ったんじゃありません”とかいうパロディAVはさすがに出てこないとは思うけれどね。そこまで、認知度は高いとは思わないし。そもそも、“あな犯”というワードがツイッターなどで話題になっていたといっても、木曜日の深夜から金曜日の朝くらいまでの話だから、ほとんどの人は知らないしね。

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