自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!(ネタバレ含む)

きのう、自分がよく行くシネコンの上映時間や混雑具合をチェックしていたら、多くの劇場でプリキュア新作映画のチケットが売り切れ間近となっていた。正直言って驚いた。もしかすると、今週末に限っていえば、「エヴァ」よりも人気があるのではと言いたくなる勢いだった。

 

おそらく、その背景にはこれまでのプリキュア映画では子どもの来場者にしか配っていなかった来場者特典を大きなお友達にも配布すると発表したことが影響しているのではないかと思った。

どうせ、特典がもらえないのなら、子どもや家族連れに冷たい目で見られる土日祝日や、子ども・家族連れの多い時間帯に見る必要はない。それなら、大きなお友達しかいない曜日や時間帯にゆっくり見ればいいと思うが、特典をくれるとなれば品切れになる前にもらいたい。勿論、初日のはやい時間帯の回に行こうってなるのは当然のことだしね。

 

そして、今回、大きなお友達にも特典を配布することにした背景にはコロナがあるのは間違いないと思う。コロナ禍になって、興行的に苦戦を強いられているのは、中高年向けの作品か、子ども・ファミリー層向けの作品だ。プリキュア映画は大きなお友達の観客が多いとはいえ、メインターゲットは子ども・ファミリー層だから、去年秋に公開された映画は従来の作品よりも大幅に興行成績を落とした。だから、大人の観客をグッズで釣って来場者を増やそうという考えになったのかな?

 

オタクはコロナだろうとなんだろうと、イベントが開催されていれば、見たい映画が上映されていれば、中高年だろうとやってくるしね。しかも、グッズ目当てで何度もリピートしてくれるのもいるしね。そういう懐事情が大きなお友達優遇策に転じた理由ではないだろうか。

 

それにしても、「ドラえもん」や「ポケモン」といった東宝作品は大人の来場者にも特典を配るのに、東映の「プリキュア」はくれないのはあくまでも子ども・ファミリー向け作品だとアピールしたいからなのかな?まぁ、最近の「ドラえもん」や「ポケモン」の大人が泣けるアピールはしつこいと思うけれどね。

 

そして、映画館にはプリキュア以外にも「シン・エヴァ」の上映があるということで多くのオタクが詰めかけていたが、本当、オタクって、シネコンとかイベント会場近くの駅とかオタク以外がいる現場でも、コミケ会場とかで作られるような独特の列の作り方をするよね。うまく口で説明できないけれど、本当、オタク現場の列ってフォームが一般の列と違うんだよね。軍隊的に訓練された列というのかな…。自分たちのルールを一般の現場に持ち込むからオタクは嫌われるんだよって思ったりもする…。

 

そして、入場したが、いったん渡された特典を回収されてしまった。なんなんだよ…。それから、中学生以下にしか渡さないって、弁明された。大人ももらえる特典の配布は2週目らしい…。勘違いして初日のチケットを取ったオタも多いのでは?いったん渡したのに回収するってことは、映画館側でも、特典配布のルールが徹底されていないってことかな?まさか、一瞬、中学生に見えたなんてことがあるわけないしね。

 

あと、今回鑑賞した映画館(TOHOシネマズ上野)側の対応はこれに限らず疑問なことも多かった。特典配布が全員ではないということで入場時間に時間がかかるのに、上映開始10分前を切っても入場開始にならないし、入場をスムーズにするためにチケット確認前に体温を測ったはずなのに、別のスタッフがチケット確認時にまた検温しているし。

 

それから、客にもロクなのがいなかった。混んでいるのに、隣の席にこっちがついただけで睨みつけてきたいかにもオタクな風貌の観客がいた。脚は広げているし、しょっちゅう、マスクを外して飲食しているし、首とかをずっと、ボリボリとかいているし、他の観客への配慮がないのはお前だろって言いたい。しかも、これだけ偉そうな態度をしていながら横目で視界に入っている限りだと、しょっちゅう、スクリーンから目をそらしているように見える…。画面から1秒たりとも目をそらさずに見届けるのが、オタクやマニアってものではないのか?

 

そんなどうでもいい話を長々としてしまったが、併映の短編を除くと、同じ東映作品の「シン・エヴァンゲリオン」の半分以下の尺しかない「映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」の方は、まぁ、想像通りのストーリー展開だったが、バトル・シーンもしっかりしていて感心した。結局、「プリキュア」シリーズってのは、魔法少女アニメと特撮の戦隊ものという東映が長年得意としてきたジャンルを融合させたものなんだなというのを実感する。

 

それから泣けた!ベタな展開だけれどね。朝ドラの「おちょやん」もそうだし、古くは「スター・ウォーズ」シリーズもそうだけれど、悪事に手を染めた親とその子どもが和解するストーリーって弱いんだよね…。

まぁ、自分の父親が家を出て別の女と再婚した経験があるから尚更、そういうストーリーに弱いってのはあるけれど。うちの父親は、死期が迫り、だいぶ体が弱ってきた時に、再婚相手の息子ではなく、自分を頼ってきたけれど、そういうのを思い出してしまって泣けてくるんだよね…。

 

というか、今回の作品のベースって「竹取物語」だよね。ディズニーが童話の「人魚姫」をハッピー・エンディングの「リトル・マーメイド」にしたように、これは、「竹取物語」をハッピー・エンディングにしたって感じかな?

 

ところで、本作にはバーチャル・リアリティ的なシステムの“ゆめアール”というのが登場するが、最初はイベント会場限定で楽しむものみたいに扱われていたのに、いつの間にか東京全体で機能するシステムみたいになっているのは謎だったな。

 

それから、東京ガールズコレクションとか、国立競技場とかが実名で出てくるのは、日本のアニメにしては珍しいと思ったが、タイアップかな?

あと、東京スカイツリーもちょくちょく映っているが、最近、色んな作品にスカイツリーが登場するようになったのは、東武が昔ほど守銭奴ではなくなったってことなのかな?

東武スカイツリーを商業作品とされるものに使用しただけで莫大な使用料を要求するから誰も使わなくなり、その結果、みんな、東京タワーばかりを描写するようになったから焦って方針を変えたのかな?

 

併映の短編「映画 トロピカル〜ジュ!プリキュア プチ とびこめ!コラボ♡ダンスパーティ!」は「プリキュア」の新シリーズのプロモーション・ビデオみたいなものだから、特に言及するも何もないとは思うが、意外と映像はしっかりしていたと思う。

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