自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

LOVEBITES RIDE FOR VENGEANCE TOUR 2021 @TOKYO DOME CITY HALL

これまでずっと、現場に足を運びたいと思っていたが、なかなかスケジュールが合わず見る機会がなかったLOVEBITESのライブにやっと参戦することができた。

といっても、新型コロナウイルスの影響で延期となった公演がリスケージュルされて改めてチケットが再発売されてから購入したので、席は非常によろしくないが。TDCホールの3階で、後ろから2列目だからね…。

 

それにしても、ガールズ・メタル・バンドといえば、嬢メタル・ブームが起きた2010年代初頭からAldiousが長いことトップ・ランナーで、Cyntiaが2番手って感じだったけれど、Cyntiaがメタル色のほとんどないアニメとのタイアップ曲がそこそこヒットした辺りからAldious陣営も焦りだし、同様にポップ路線になってしまったんだよね。

そして、見た目はキュートでもハードでヘヴィな音楽を演奏するというのを好んでいた人たちはAldiousからもCyntiaからも離れていってしまった。

また、両バンドをアイドル的、アニソン的なノリで支持していた人たちは、元々はアイドルの課外活動だったBABYMETALの方に興味が移ってしまった。そうしたシーンの変化などが影響したのか、Cyntiaは解散してしまった…。

さらに、Aldiousに関しては、メンバー・チェンジが多く、特にボーカルが変わるたびに音楽性に多少の変更が出てしまうこともファン離れに繋がってしまったと思う。

 

そうした中、デビューしたのがLOVEBITESだ。彼女たちは、音楽賞を受賞したり、フェスに出演するなど、AldiousやCyntiaがなしえなかった海外での成功も手にしてしまった。発音は洋楽好きには聞きにくい日本語訛りではあるものの、英語で歌唱していることが海外進出しやすかったのだとは思う。

そうした、海外での高評価のおかげで、国内チャートを意識した一般邦楽的なサウンドの楽曲を発表せずに済んでいることから、気がつけば、メタル好きからの評価はあっという間にAldiousを上回ってしまった。最近のBURRN!での取り上げ方とかを見ても完全に、数多ある嬢メタル系の中でトップ・ランナー扱いになっている。

 

そして、嬢メタルといえば、音楽性よりもルックスが重視される傾向はあるが、Aldiousよりかはロックっぽいビジュアルでありながら、可愛い系のルックスのメンバーもいてバランスの良さはあると思う。

 

でも、観客の顔ぶれを見ると、ほとんど、アイドルとかアニソンのライブ会場と変わらないな…。それは、だいぶ前にAldiousのライブを見た時にも感じたことだけれどね。まぁ、メタル野郎にはドルオタやアニオタが多いというのは昔から言われていたけれど、これだと、一般の邦楽ロックや洋楽のファンからは、所詮、嬢メタル人気はアイドル的な人気であり、音楽ではなくルックスで支持されているんだと言われても仕方ないかな…。ちなみに自分はドラマーが好みだ。

ところで、海外でも活動しているアーティストなのにライブ本編どころか開演前や終演後でも場内での撮影禁止ってのはおかしいでしょ。まぁ、コロナ禍で海外での活躍が難しいから国内での活動が中心になると、結局、そういう古臭い日本の芸能界システムでやらざるをえないんだろうね。BABYMETALが紅白に出たみたいなものかな。

 

それから、TDCホールでの開催なのに1ドリンク代別途必要っておかしいだろ!TDCホールはライブハウスとかライブスペースと呼ばれる飲食店扱いの施設ではないんだからさ!

コレって、LOVEBITES側がコロナ禍で中止や延期になった1ドリンク制の公演で取り損ねたドリンク代を回収しようとしているのか?それとも、TDC側がコロナ禍の市松模様の座席販売では利益が出ないから客にドリンク購入を強制しているのか?どっちなんだろうか…。

いずれにせよ、TDCはライブハウスやライブスペースではないんだから、コロナ禍で懐事情が厳しいんだったら、最初からチケット代をその分、値上げしておけよって思うな。

 

ちなみにライブ自体は久々にライブらしいライブを見たって感じだった。コロナ禍になってから見たのって、アイドルとかアニソンばかりだったしね。唯一の例外はあいみょんだけれど、ソロ・アーティストだからね。バンドは本当に久しぶりだ。

しかも、こういう低音が耳や体に響いてくるジャンルのライブは久しぶりだ。ここまで、ラウドにやっているのに、やっぱり、アイドル的人気がメインな気がするんだよな…。まぁ、ビジュアルがいいから仕方ないよね。というか、ドラマーは可愛いと思うし。

 

それにしても、ジャンルを問わず、邦楽のライブって頭から3曲ほど歌ったあたりでMCを入れるし、あと数曲で本編が終わるのに、“まだまだ、これから”的な煽りを入れるのは何故なんだろうか?

ただ、ジャンルを問わず邦楽のライブで、リリース情報とかライブ情報などの告知タイムがないのを見たのは久しぶりだった。

 

とりあえず、日本ではバンドのライブがコロナ禍でも開催できるというのは、日本の芸能界が自転車操業だから集金したいとか、日本人に危機感がないといった理由もあるけれど、一番の大きな要因は、邦楽のアーティストやファンの間ではシンガロングはやってはいけないとなっていることだと思うな。洋楽、特にロック系なんてシンガロングなしではライブなんて成立しないしね。

最後に一言。LOVEBITESって名前が海外も含めたメタル好きに支持されやすい理由ってのもあるよね。ハード・ロックヘヴィ・メタル系の音楽が好きな人間であれば、デフ・レパード最大のヒット曲(全米ナンバー1ヒット)の「ラヴ・バイツ」を知らない人間はいないしね。

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