自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ホリミヤ(実写ドラマ版)

アニメ版と同時期に実写ドラマ版も放送という形になった「ホリミヤ」。関西地区では、どちらもMBSで放送されているので、関東では系列のTBSがドラマ版のみを放送するというのは(アニメ版は関東ではTOKYO MXなどで放送)、明らかにTBSがアニメを軽視しているということだと思う。

 

アニメ版全13話(現時点で12話まで放送)に対して、ドラマ版はおよそ半分の全7話となっているが、そのエピソード数があらわすように、かなり駆け足の展開だったと思う。

そもそも、アニメ版の時点で、かなりの駆け足展開だったと思う。普通のアニメなら2クールくらいかけてやる内容を7話の時点で達成してしまっていた(メインの2人が性行為を持ったと思われる描写がある)。

そのアニメ版のおよそ半分のエピソード数でドラマ版は展開されているのだから、ドラマ版以上にスピーディーになっているのは当然といえば当然だ(性行為を持ったと思われる描写はさすがに避けたけれど)。しかも、アニメ版にはなかったエピソードも描かれていたので、詰め込めすぎ感は強かったと思う。その一方で、最終回は帳尻合わせって感じで、ダラダラ話が進むんだから、本当、何がやりたかったんだろうっていう気がする。

 

先行劇場公開版がドラマ版の1〜3話までで構成されているのは、普通のアニメや深夜ドラマなら1クールで描く内容はこの程度のボリュームだよってことだったんだろうね。今回のドラマ版で劇場公開版で描かれていなかったストーリーが展開される4話以降が蛇足に感じたのは、そういうことなのかな?

 

ところで、本作のメインディレクターである松本花奈監督に対しては、HKT48はちみつロケットなどのMV(TrySailの「Free Turn」も彼女が手がけたと知って驚いている…)とか、HKTメンバー主演の短編映画、配信動画「片想い送信中」くらいしか見ていなかったし、そんなに特別な才能があるとも感じていなかった。若くて可愛い女子がいかにも可愛い女子のセンスで作るから、年上のオッサンどもにチヤホヤされているだけだと思っていた。

でも、この「ホリミヤ」というコンテンツはどちらかというと、男のオタクよりも腐女子に好まれるものだから、今までのオッサンのノスタルジーを喚起するようなアイドル曲MVとは違うんだよね。というか、三木孝浩とか廣木隆一のようなキラキラ映画の巨匠に近い手堅さを感じた。アイドルの青春系MVを何作も手掛けているうちに、学園もののマスターになってきたような気もする。他の監督と違って、生徒役の俳優と年齢が近いってのは強みだよね。

 

それはさておき、この実写版のキャスティング、どうにかならなかったのだろうか?タイトルロールでもある堀と宮村のうち、堀はアニメ・原作とビジュアルは違うけれども、久保田紗友が可愛いからOKとするが、宮村役の鈴鹿央士は、原作・アニメの持つ学校では陰キャ、プライベートではピアスのイケメンという設定には無理がある。ただのポッチャリ男子だよね。

 

それから、吉川なんて全然別人!原作・アニメ版の要素は皆無と言ってもいいくらい。透はメイン4人の中では一番ビジュアル的な差異は少ないが、それでも、何か違う感が強かった。特に性格というか、モノの言い方というか、そういうのが違うように思えた。

 

ビジュアル的にも、演技的にも違和感がなかったのは、レミと桜の生徒会仲良しコンビくらいかな。

 

最後に一言。学校とプライベートでは全く違う人物に見えるっていう初期設定、無理があるよね。宮村はまだ、メガネを外したらイケメンだったというお約束描写だからいいとしても、堀はプライベートだとすっぴんだから地味に見えるってのは無理があるでしょ。いくら、今の女子高生の中にはメイクして登校するのもいるといっても、そこまで、他人に見えるほどのメイクは女子高生ではないでしょ…。

 

アニメならそんなに違和感ない設定も実写だとね…。

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