自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話

2015年11月に劇場版が公開された際にはリピーターが続出した。“ガルパンはいいぞ”といった流行語も生まれ、興行収入は25億円を記録した。これは今でも深夜アニメの劇場版の興行収入では歴代のトップ5に入る成績だ。

そして、このガルパン人気を受けて全6作からなる最終章(6本もあって最終章はないだろ!テレビドラマが一時期最終回と勘違いさせて見させる最終章詐欺をやっていたが、それより酷い…)が発表されたが、何しろOVAをDVD/ブルーレイの発売に先駆けて劇場で上映する、いわゆるイベント上映作品だから、1作品あたりの上映時間も短い。

 

2017年12月公開の第1話こそ、劇場版の余韻がある中で公開されたから、イベント上映作品としては特大ヒットと呼んでいい成績をあげたが、その後はなかなか、続きが上映されず、2019年6月公開の第2話は若干、失速した興行成績となってしまった。

そのせいか、やっと、この3月に公開された3作目は上映回数などが過去2作よりも減ってしまったようだ。

 

あと3話も残っているのに(第1話と2話の間の1年半ペースで今後も公開されたとしても、完結するのには4年半もかかる)、既にガルパンというコンテンツがオワコン状態になってしまっているが大丈夫なのか?

 

やっぱり、連作もののイベント上映作品というのは最低でも年1ペースで上映しないと飽きられると思うんだよね。特に上映時間が60分前後と短い作品は尚更。

 

数ヵ月の間に3本とか4本を立て続けに公開する作品に対してはさすがに観客のことを考えろよ!その作品以外に興味がない人はともかく、普通のアニメファン、映画ファンは他の作品も見るんだからさって言いたくなるが、ガルパンのように1年半とか1年9ヵ月とかの長いスパンがあるのはダメでしょって思う。

 

「シン・エヴァンゲリオン」のように上映時間が2時間35分もある作品なら、前作から8年4ヵ月も待たされても構わないけれど、「ガルパン最終章」のような50分前後の作品なら、もう少し短いスパンで出さないとね。まぁ、1本作ってそれで得た利益で次の1本を作るといったような自転車操業なんだろうね。あと、水島努監督が忙しいってのもあるのかな。

 

そういえば、「ガルパン」といえば、ミリタリー思考=戦前の古き良き日本を礼賛=ネトウヨ的思想の人が喜ぶ作品というイメージが強いが、去年、水島努監督がコロナ禍における政府の対応を批判したりしたことからも分かるように、結構、作中でも反戦的メッセージは含まれていたりするんだよね。でも、同じミリオタ思考のパヤオの作品ほど政治的メッセージが表に出ないというか、戦闘シーンが中心の構成だから、あまり、そうしたメッセージが気づかれていないってのはあるのかもしれないな。

 

もっとも、最終章の過去2作に比べて本作が盛り上がっていないのは、去年の水島発言でネトウヨ寄りのアニオタが監督を反日扱いし、彼の作品から離れていったという部分があるのかもしれないなと思ったりもする。

 

それにしても、今回の第3話も劇場版などと同様、戦闘シーンばかりだったな。2話はそこまで感じなかったけれど、今回はちょっと冗長に感じた。

個人的にはアクション・シーンの長い作品って、実写だろうとアニメだろうと苦手なんだよね…。集中力がないからなのかな?あるいは、ドライアイで長時間瞬きしないのが難しいからかな?まぁ、描写はリアルで迫力はあったとは思うけれどね。

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