自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

出版社、書店など出版業界の怠慢

ネット時代になり、世の中における書籍や雑誌などの存在意義が変わってきた。

 

しかし、出版社側は取次社を通じて書店に強制的に出版物を購入させるシステムを崩したくない。

おそらく、キックバックのような恩恵を受けている者もいるのだろうし、書店側は返本できるとはいえ、一時的には取次店を通じて出版物を購入することになるから、一旦は出版社側の収入になる。

 

そうした旧態依然とした不透明な利益で儲けることができないから、出版社は電子版の販売に消極的で、販売しても紙の出版物とほとんど変わらない価格で世に出している。

 

単なるデータなのに、フィジカルの商品と同じ金を支払うのはバカらしいから、消費者は電子版を買わない。しかし、電車の中で書籍やコミック、雑誌を読む習慣はなくなってしまった。というか、読んでいるとスペースを無駄に取る邪魔者扱いされることもある。なので、読書離れは進み、書籍などは売れなくなる。

 

問題は出版社や取次社だけではい。書店側の愚策も多い。書店は売れないのは立ち読みする客のせいだと思い込み、雑誌やコミックに次々とビニールカバーをかけてビニ本状態にしてしまったり、ビニール紐でとじたり、ビニールテープでとめたりして、中を見られないようにしてしまった。中には小説ですらビニールがかけられているものもある。

 

確かに立ち読みで済ませて購入しないケースも多々あるが、それと同時に中身を確認してから購入するケースだって、かなりあったのに、そのチャンスを客から奪ってしまったので、無駄金を使いたくない客は、お気に入りのアイドルが表紙を担当しているとか、付録が付いてくるなど、明らかに損をする要素がないものしか買わなくなってしまった。

 

当然、この愚策のせいで、どんどん書籍や雑誌などは売れなくなっていった。

 

そこへ来て、去年7月からレジ袋の有料化が義務付けられるようになると、今度は紙袋を有料化しだした。中には、小説やコミックにかける書店名入りのカバー(実質広告)ですら有料にしているところもある。

 

ビニール消費を減らすのが目的のレジ袋有料化なのに、紙袋を有料化するのは全くもって意味不明だし、ビニール製のレジ袋よりも紙袋の方が高い店も多い。全くもって理解できない策だ。

 

とにかく、何かに便乗して客から金をむしり取ることしか考えていないようだ。

 

そして、本来ならレジ袋を拒否した客は環境保護に協力したのだから、書店側は感謝すべきなのに、多くの店は、わずかな追加料金を払うのをケチった歓迎できない客とみなすようになった。というか、万引き犯扱いするようになった。

 

その結果、書籍や雑誌などに直接、購入証明としてビニールテープを貼る書店が続出した。ビニールテープの中には剥がしにくいものもあるし、ビニールは剥がれても糊部分が商品に残ってしまうことも多い。つまり、商品にビニールテープを貼る行為というのは、書籍などを傷つけていることになる。書店員というのは、本を愛している人たちではないのか?本を愛しているのなら、本を傷つける行為なんてできないはず!

 

そもそも、レジ袋有料化になっても、相変わらず、立ち読みさせないために商品にビニール袋をかぶせたり、ビニール紐でとじたり、ビニールテープでとめたりという愚策は続いている。つまり、書店は相変わらずビニールの過剰消費を続けている。

さらに、万引き防止という名目で商品にビニールテープを貼る愚策中の愚策まではじめてしまった。全くビニール消費を減らす気がないのはミエミエだ。

 

結局、紙袋なのに“レジ袋”代金を取っているのは、立ち読みさせないために雑誌やコミックなどをビニ本状態にした際に使うビニール袋や、万引き防止という名目で商品に直接貼られてしまうビニールテープ代をかわりに請求されているってことでは?

 

本当、出版社、取次社、書店問わず出版業界は愚策ばかりで全く同情する気がない。

 

作家や読書家の中には、商品の税込み表示義務化は、多くの絶版作品を生むことになるから反対だと言っているが、個人的には税抜き価格表示は安く思わせて買わせる詐欺行為だと思っている。商品を手に取った瞬間に、客がいくら払うかが分かる税込み価格表示は客に優しいサービスだと思う。

 

どの分野でもそうだけれど、熱心な支持者って業界側の意見になってしまう人間が多いけれど、自分は単なる読者なんだから、そういう業界側の詭弁に騙されてしまうのはダメだよ。

 

商品に直接ビニールテープを貼ることは万引きに苦しむ書店を救うためだとか、税込み価格表示の義務化は出版社の負担を増やすだけだとか、自分も業界人になったフリして愚策を擁護するのはやめようよ!

 

旧態依然としたシステムはとっとと駆逐しなければ、日本の出版業界はどんどん劣化していくだけ。海外の出版社は、ネット時代だって、きちんとやっているんだからさ!

f:id:takaoharada:20210404133421j:plain