自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

スペースシャワーTVは最新MVをチェックするメディアとしての役目を終えたのか?

4月1日から既に一部枠に変更は出ていたが、今日から本格的にスペシャの新編成がスタートした。一番驚いたことは、最新ヒット曲のMVや解禁されてまもない新着ビデオを流す枠が大幅に減らされていることだ。

 

これまでスペシャでは、そうした最新ヒット曲などを流す枠は早朝と夜の「BIG HITS!」及び新着ビデオを原則3曲オンエアする朝の「NEW CUTS」として放送されていた。

 

スペシャの番組表上の放送日ではなく、カレンダー上でのカウントになるが、特番や停波などがなければ、放送枠は以下のようになっていた。

 

「BIG HITS!」

火曜日〜木曜日 午前2時〜5時

金曜日 午前3時〜5時

月曜日〜金曜日 午前7時15分〜8時

月曜日〜金曜日 午後7時〜8時

※月曜日や土曜日の早朝など上記以外に放送される時もあり

「NEW CUTS」

月曜日〜金曜日 午前7時〜7時15分

 

単純計算で週あたり21時間の放送枠があったことになる。

 

4月編成からは「BIG HITS!」が「NOW HITS!」とタイトルを変え、新着ビデオのみを流す「NEW CUTS」は廃止となった。

 

枠があいた時などにイレギュラーで放送されるのは「BIG HITS!」時代と同様だが、「NOW HITS!」の基本放送枠は以下の通りだ。

 

火曜日〜金曜日 午前4時〜5時

火曜日・水曜日 午後2時〜3時

月曜日〜金曜日 午後6時〜7時

 

何と、合わせてたったの11時間と半分ほどに減ってしまった…。

 

その一方で、新旧のMVをまぜて放送する(旧曲の比率が高い)「スペシャベストセレクション」や、ストリーミングサービス(サブスク)と連携した同じく新旧のMVをまぜて放送する(旧曲の比率が高い)「THE PLAYLIST」は存続している。

 

これはつまり、ストリーミングで音楽を聞く人が増えた今の日本のミュージック・シーンでは、新曲というものが、そのアーティストのファン以外には求められていないということなのではないだろうか?

 

確かにストリーミングのポイントを重視しているBillboard JAPANのチャートを見ると、上位の顔ぶれはなかなか変わらない。Official髭男dismの「Pretender」なんて100週以上チャートインしているし、去年の年間チャートには2017年リリースのエド・シーラン「シェイプ・オブ・ユー」やあいみょん「君はロックを聴かない」、2018年リリースの米津玄師「Lemon」やあいみょんマリーゴールド」などといった旧曲がランクインしていた。

 

日本の音楽リスナーが新しい音楽を摂取しようとしないのはチャートを見ても明らかだと思う。だから、音楽ランキング番組「CDTV」(従来の深夜版)が終了するのも当然といえば当然だと思う。ランキング番組というのは音楽情報番組も兼ねているが、何ヵ月も顔ぶれが変わらないのでは情報提供の場として機能しないから、そりゃ、終了するよねって感じだしね。

 

日本より遥かにストリーミングが浸透している米国のチャートでも確かに長期エントリー曲は多いけれど、それでも、毎週のようにコンスタントに新曲がトップ40内にランクインしているから、そんなに停滞している感はないと思う。

 

でも、日本の総合チャートは完全に停滞しているんだよね。かといって、CDなどフィジカルのセールスに特化したチャートだと、上位にランクインするのは固定層の支持で成り立っているアイドルやアニソン、K-POPばかり。しかも、上位に初登場した翌週には一気にランクダウンするというパターンばかりで、これはこれでミュージック・シーンも何も形成されていない。

 

どんな曲をリリースしてもフィジカルを購入する固定層は楽曲そのものには興味がないんだろうし、何ヵ月も同じ曲をストリーミングで聞いている層は積極的に新曲を求めようとしないし、いずれにせよ、日本人って音楽に興味がなくなってしまったってことなんだろうね。

 

だから、スぺシャは、新着MVをチェックしたい人は個々のアーティストやレーベルの公式のYouTubeチャンネルやホームページでチェックしろ。あるいはDVD付きのCDを買えって方針に転換したのかな?

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