自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

レオ様とブラピが初共演となれば、そりゃ2人の間の年齢くらい(レオ様寄り、日本でいえば、同じ団塊ジュニアだが)の世代の映画好きとしては、この映画を見ずにはいられないよなとは思う。90年代は、男がレオ様やブラピが好きと言うのは、言いにくい部分があったが、レオ様でいえば、2000年の「ザ・ビーチ」、ブラピでいえば、99年の「ファイト・クラブ」あたりからは男も好き、あの人が出ている映画なら見ておきたいって言える俳優になったよなとは思う。
 
ドキュメンタリーや声の出演のみの作品、カメオ出演や蔵出し映像系の作品、裏方に徹している作品、日本劇場未公開作品、日本では映画祭のみで上映された作品、配信用映画などの中には未見のものもあるが、出演作品としてきちんと紹介された作品であれば、レオ様なら「ザ・ビーチ」以降、ブラピなら「セブン」以降は全作品、スクリーンで見ているからな。そりゃ、この作品は楽しみだった。
 
ところで、クレジットはW主演のため、下手:レオ様、上手:ブラピと出るが、その際に映っているのは後ろ姿とはいえ、下手:ブラピ、上手:レオ様ってのはどうなのだろうか…。まぁ、主従関係上、車を運転するのがブラピで、米国だから左ハンドルなので仕方ないし、上段:レオ様、下段:ブラピみたいな出し方だと、W主演ではなくレオ様がメインになってしまうから、結果論としては、ああいう出し方しかないのだろうが…。そういえば、運転シーンといえば、レオ様を乗せている時は、安全運転なのに、1人で運転するとかっ飛ばすブラピ良かったな。全体的にブラピのチョイ悪感が良い。あと、明らかにブラピが年上なのに、アル・パチーノがブラピを見て、「レオ様の息子か?」って言うのは面白かったな。
 
そして思った。タランティーノ監督作品は毎度毎度長い…。これまでの作品で2時間半以内に収まっているのって、「キル・ビル」はVol.1は2時間以内だし、Vol.2も2時間半には到達していないが、元々1本の作品になるはずだったということを考えれば合わせて4時間超えの大長編だし、「デス・プルーフ」も単独では2時間以内だが、ロバート・ロドリゲス監督の「プラネット・テラー」と合わせて「グラインドハウス」という作品を構成していると考えれば、3時間超の作品になる。そう考えると、純粋に2時間半超えしていないタランティーノ監督作品って1作目の「レザボア・ドッグス」しかないんだよな…。個人的には、インターミッションありの上映とか、前後編や〇部作みたいな公開の仕方でない作品で上映時間が2時間半オーバーになる映画は、どんなに面白くても編集能力のない人たちが作った凡作だと思っている。なので、タランティーノ監督作品は楽しんでも絶賛したことはない。本作も約2時間40分という長さは感じなかったし、尿意と闘う羽目にはならなかったし、そういう意味では面白かったのだとは思う。でも、冗長に感じたのは事実。30分くらいは切れたよねとは思う。
 
それにしても、平日とはいえ、ガラガラだったな…。イマイチ日本での興行成績が振るわないのは、日本での洋楽や洋画人気が不振と言われて久しいからなんだろうなと思った。洋楽好きなら、ガンズのカバーやマリマンのアーティスト名の由来として、チャールズ・マンソンは知っているが、マリマンで日本で一番知られている曲でもある「マトリックス」の主題歌は20年前だし、ガンズのカバー・アルバムは25年前だからな。
洋画好きなら、ロマン・ポランスキーを通じてチャールズ・マンソンは知っているだろうが、ミニシアター系でヒットした「ゴーストライター」を除くと、全国的なヒット作って、日本公開が16年前の「戦場のピアニスト」まで遡らないといけないしな…。
結局、ハリウッド俳優や洋楽アーティストが日本でスター扱いされたのって、00年代前半までだもんな…。要はレオ様・プラピ辺りで日本のハリウッドスター信仰は止まってしまっている。しかも上映時間が長いし…。ヒットしないのも仕方ないか…。
 
洋楽といえば、のちに名曲と呼ばれる当時の楽曲が次から次へと流れるが、それらの楽曲を聞いて思った。今の邦楽の音って、この辺と変わらないじゃん…。日本の音楽シーンって、50年前でストップしていないか?というか、70年代の方が洋楽と邦楽の差が少ないのでは?と思った。邦楽の音質やバンドの演奏能力は90年代以降、洋楽に劣らなくなったけれど、音楽性自体は全然、進歩していないなと思ってしまった…。
 
そういえば、ブルース・リーの扱いに関係者が怒っているというニュースがあったが、師父のファンなら、まぁ、あんな感じだよねと納得すると思うのだが…。話し方や動きも結構、本物を意識していたし。まぁ、プラピに簡単に吹き飛ばされるのはちょっと疑問だが…。そもそも、タランティーノカンフー映画好きなんだから、師父を見下すわけないんだよね。アジア人蔑視的なブラピの台詞は当時の米国としては至極まっとうだしね。
 
とりあえず、マーゴット・ロビー、プッシー、子役の3人が可愛い映画だった。
 
≪追記≫
あのパラレルワールドでは、ロマン・ポランスキーは犯罪者にならないのだろうか?

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