自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

フラガール- dance for smile -

ずっきー目当ての鑑賞なのに、乃木坂モバイルの先行販売でチケットを入手してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

ところで、コロナ禍になってからのコンサートや演劇ではチケットにグッズを付けて販売するケースが増えている。

それは、会場でグッズを販売すると行列ができる=密になるので批判を恐れて避けているのと同時に、ネット通販のみでの販売ではそれほど捌けないってことなんだろうなと思う。

なので、グッズ付きチケットを購入すると良席が用意されるケースが増えてきた。中には、グッズ付きのチケットを買ったのに、スタンド席だったこともあったけれどね。

 

そして、本作のチケットを発券したらC列と書いてあったので、“ラッキー!”と思った。でも、よくよく座席表を見るとシアターコクーンにはA席の前に特別席(X席)が3列あるので、実際は6列目だった。まぁ、それでも十分に良席だけれどね。

 

それにしても、このご時世なのに、全席開放販売しているんだから、日本の芸能界って世界で一番危機感ないよねって思う。まぁ、五輪を中止したくないから、イベントの類は通常運行にして、五輪開催は問題ないアピールをしたいんだろうね。逆に観客の方が冷静だよね。前方の席でも空席になっているところがあったしね(=来場取りやめ)。

 

朝ドラ「おちょやん」の主人公は、観客は戦時下でそれどころではないのに、自分たちが公演できないのはおかしいとブーブー文句を言っていたが、日本の演劇人というのは昔から自分勝手な人種なんだろうね。

もう完全にコロナは風邪モードになっていて、普通に複数回カーテンコールをやっているしね。去年の秋頃は1回しかやらないとか自重していたのにね。

 

公演自体は非常に感動的で良かった。映画版を公開当時に見た時はここまで感動しなかったのに…。

それから、特に感心したのが主人公の親友を演じていたずっきー。演技うまいな!今後の演技仕事に期待だな!というか、途中までは主人公より目立っていた。

それにしても、主人公は乃木坂、親友はAKB。それ以外にもラスアイや劇団4ドル50セントのメンバーも出演しているのに、秋元康企画じゃないんだな…。

そして、改めて思う。本当、ずっきー可愛いな!

 

ただ、マイクノイズが目立ったのは残念だった。最近、舞台ではヘッドセットマイクをつけて演技をするのが当たり前になったけれど、結局、それだけ、声量のある役者が減ったし、人気俳優やアイドルを起用するとなると小劇場での芝居というわけにもいかないから、後部座席にまで音声を届けるとなるとヘッドセットが必要ってことなんだろうね。でも、装着状態が視界に入ると現実に引き戻されてしまうから個人的には好きではないな。

 

ところで、この「フラガール」という作品は福島が舞台だが、本作を見ると福島気質ってのがよく分かるよね。

本作の舞台となった1960年代の福島の人たちが、既に時代には合わなくなってしまった石炭にしがみつき、新しいことをやろうとする人を邪魔しようとする描写なんて、嫌でも福島第一原発事故以降の福島県人の言動を想起させる。

 

これは、2006年の映画版を見た時には抱かなかった感想だけれど、東日本大震災の発生を経て、この物語に触れると、「フラガール」というコンテンツは福島気質がよく描かれている作品だということに気づいた。

 

映画版を見た時は、そこまで評価する作品か?監督が在日系だから、在日系が力を持っている日本映画界では評価されやすいだけなのではと思っていたが、今、改めてこの物語に接してみると、政治的な作品だったんだというのがよく分かる。

 

でも、当時のハワイアンセンター建設反対運動は労組のパワー全開で左翼的だけれど、その後の原発村的になった福島って右翼的だよね…。まぁ、理想が崩れて左翼から右翼に転身する人は多いしね…。

 

福島には時代の流れが変わったり、災害や事故が起きても、国や自治体、企業などに全額補償させることしか考えず、自分からは何も動かない人が多い。そのくせ、時代に合わなくなったものを切り捨てて新しいことをやろうとする人を叩きまくる。それって、福島気質そのものだなって思った。

自ら動かないから、より一層貧しくなったり、成功を逃したりすることになったのに、新しい仕事を手に入れた人や成功した人を妬んだり、僻んだりするんだよね、福島気質の人たちって。

自分が長年属していたコミュニティが機能しなくなったにもかかわらず、そのコミュニティにとどまったのは自分なのに、新しい世界に向かった人に嫌味を言うんだよね。

 

昔住んでいた家の隣人が福島出身だけれど、まさにそういう福島気質全開の人間だった。

自分のみならず、息子やその妻にも自営の工場以外の仕事に関わることを認めなかった結果、自分たちは冠婚葬祭以外では町内から一歩も出ないような生活になった。だから、バブルがはじけたらつふしが効かなくなってしまった。なのに、こっちが外に出てそれなりの仕事をするようになったら嫌味を言ってくるようになったからね。

自分からチャンスを捨てておきながら、別の人がチャンスを手にすると妬み、僻むのって典型的な福島気質だよね。

 

ちなみに、こちらがその家を離れることにしたのは不動産的な理由だった。昔からの権利者がよく分からなくなっていた当時の我が家や周辺家屋の地主の所在が全てクリアになり、不動産会社が新たに権利者となったことで、“微額だけれど不動産会社に買い取ってもらう”か、“不動産会社と改めて契約する”という選択肢となった。

そして、我が家は前者を選んだ。このまま老朽化した家に住むのはほぼ不可能。不動産会社から土地や居住権を買ったうえで建物を事実上建て替える金なんてないし、しかも、昔のいい加減な基準で建てられた家だったから、建て直したら居住スペースは減ってしまう。だから、微額でもいいから居住権を不動産会社に買ってもらい、その金で母親の借金とか税金の支払いが滞っていた分などを精算し、移転先の賃貸マンションの敷金・礼金など引っ越し費用を産出させた方が得だと考えた。

ところが、変わることを嫌う隣人一家はこちらが出ていくことに対してイヤミを言い、自分たちは残ることを選択した。彼らは借金が増えるばかりなのに、不動産会社から居住権を買い、改築することを選んだ。本当、どう考えてもこれ以上続けても負けていくだけなのに変わろうとしないんだよね、福島気質の人って。そして、変えようとする人を批判する。本当、腹立つ。

 

東日本大震災による原発事故問題が解決しないのは自民党東京電力のせいでもあるが、一番の要因は福島気質だと思うな。

 

そういえば、映画版の脚本も手掛けている李相日監督は、この「フラガール」で一気に知名度が上昇したけれど、この作品以降、長編映画って、たったの3本しか撮っていないんだよね…。14年半以上も経っているのに…。

30代から40代にかけての時期なんて普通の監督なら作品を量産する時期なのにね…。

アニメみたいに長編を作るのに3年を要するなら別だけれど、実写だからね…。

フラガール」が評価されたせいで、それ以上のものを作らねばというプレッシャーが高く、周囲もそれを期待しているせいなのかな?

それとも、2012年の第2次安倍政権以降、ネトウヨ思想の人が増えたせいで、在日系監督と仕事すると左翼イメージをつけられてしまうということで、避けているスタッフやキャストが増えたのかな? 

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